蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

幸せなひとりぼっち

2018年04月21日 | 映画の感想
幸せなひとりぼっち

スウェーデンが舞台。60歳手前の主人公オーヴェは、長年連れ添った妻をガンでなくし、40年以上勤務した鉄道会社をリストラされる。先行きを悲観して自殺を試みるが失敗する。隣家にイラン人女性のパルヴァネが引っ越してくると、陽気でカベを作らない彼女やその家族との交流の中で、オーヴェは次第に心を開き、彼女に思い出を語り始める・・・という話。

映画を見終わった後に「いい映画だったなあ」と、思わずため息をついてしまうことが1年に1回くらいある。本作はまさにそういう作品だった。

今は頑固で口うるさいオーヴェの、明るく(そして今と同様)真面目な青年時代、それ以上に魅力的な妻(ソーニャ)との生活。二人は大きな試練を乗り越えて添い遂げてきた。そんな二人の人生を淡々と素朴に描く手法がとても素敵だ。

パルヴァネやその家族、長年の隣人であるルネ(今は植物状態で身動きできない)とその妻と息子もとってもいい。ルネの妻と息子がオーヴェに罵られても(長年の慣れで)柳に風と受け流しているシーンが特によかった。

(蛇足)本作のリメイクが、トム・ハンクスの制作・主演で行われるらしい。「早く見てみたい」と思う半面、素朴な味わいが消えてしまいそうで「やるなら全く別の視点の作品にしてほしい」とも思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サバイバルファミリー | トップ | 愛について語るときに我々の... »

コメントを投稿

映画の感想」カテゴリの最新記事