蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

見えないアメリカ

2008年09月12日 | 本の感想
見えないアメリカ(渡辺将人 講談社現代新書)

サブタイトルは「保守とリベラルのあいだ」。
そのサブタイトル通り、アメリカにおける保守とは何で、リベラルとは何かを著者の考えで解説した本。

例えば、保守は不介入主義で海外への派兵に消極的であり、リベラルは人道介入による派兵に積極的だという。私のように知識がない者には、「それって逆じゃないの?」と思えてしまう。保守の極北みたいに(私が)思っていたネオコンは介入主義派であり、彼らの第一世代はトロッキスト左派からの転向が多かった、などと言われるとますます混乱してしまう。

また、民主党はエリート層が支持し、共和党はその逆といわれると、「まあそうかな」と思う反面、「でも民主党の主要組織って労組じゃなかったっけ?」みたいな疑問もわく。
一方、リベラルはスターバックス好き、保守はクアーズビールが好き、というのは素直にうなずける。

本書の主要テーマは「19世紀末頃には、都市部、西海岸が共和党の主要支持地域であり、民主党のそれは田舎と南部だったのに、なぜ現代においては全く逆転してしまったのか」である。

その原因は二つあり、一つは20世紀初頭の南欧系、東欧系のカトリック教徒である移民の急増であるとする。
二つめは、南部での人種差別の解消に伴い、不満を持った白人層が共和党支持者に変わってしまったことだとする。

一つめの原因はまあ、納得できたけれど、二番目の方はプロセスの解説は長かったけれど説得力を感じられなかった。

いつの時代もアメリカは対立軸が明確で、人々は常に「白か黒か」を求めてきたようだ。
我が国は、そういう割り切りとか思い切りに欠けているとは思うが、それが良かったのか悪かったのか、と言われると「いい時もあったし悪い時もあった。最近は悪かったという人が多いようだが」くらいの答えになってしまう。(ああ、なんて灰色の答え!)

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