蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

バイバイ、ブラックバード

2011年08月28日 | 本の感想
バイバイ、ブラックバード(伊坂幸太郎 双葉社)

太宰治の「グッドバイ」をモチーフにした連作集。

主人公は、何らかの理由で、数日後に「あのバス」でいずこかへ連れ去られることになっていて、逃亡しないよう監視役の大女(繭美)に見張られている。
連れ去れる前に、主人公がつきあっていた5人の女性に別れを告げに行く、という話。

(誰でもそう思うようだけど)繭美のキャラはマツコ・デラックスを連想させるが、この本の発行時期から考えると執筆時点では、マツコさんが今ほどは露出していないような気もして、偶然の一致なのかもしれない。(実は、マツコのキャラは本作を読んでマネをした、なんていうと、とても面白いのだけど・・・)

繭美の毒舌がすごくていっそ爽快感があるほどなのと、他の人物の会話も(例によって)しゃれていて、小説としては楽しめるけれど、著者としては、余力の範囲で書いたものかなあ・・・とも思えた。

刊行時に書き足された最後の短編は、まとめすぎようとしていて、蛇足気味とも思えた。

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