蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

リバー

2024年03月03日 | 本の感想
リバー(奥田英朗 集英社)

群馬県と栃木県の両方の渡良瀬川河畔で若い女性の連続殺人・死体遺棄事件が起きる。場所や手口が10年前の未解決連続殺人とほぼ同じだった。群馬・栃木県警は警察のメンツにかけて捜査に乗り出す。心証は真っ黒の期間工が別件逮捕されるが、物証は皆無で全く供述を得られない・・・という話。

犯人捜しの要素はとぼしくて、警察小説という傾きが強い。刑事や元刑事たちが主役だが、容疑者(サイコパスの池田がいい)やその周囲の人物(特に期間工の恋人のスナックのママ:吉田明菜がいい)、マスコミ(新米事件記者の千野がいい)、オタクっぽいが有能な心理学者、10年前の事件の被害者の父、といった脇役も皆魅力的で、600ページ以上の長丁場もあまり気にならなかった。

一方で、600ページも読んできたのだがら、ラストでもう少しカタルシスがあった方がよかったかな、とも思った。(たぶん、類型化を恐れて、わざとそういう筋立てを回避しているような気もするが)
コメント
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