ホワイトラビット(伊坂幸太郎 新潮社)
誘拐をビジネスとして営む組織の一員である兎田は、最愛の妻を当のその組織に誘拐されて組織が迫っている男を確保するよう脅迫される。兎田はターゲットの男を探すうち、ある民家でその家族を人質にして立て籠ることになってしまうが・・・という話。
著者の作品の特徴として、話の筋はコミカルといえるほど突拍子もないのだけど、登場人物はシリアス(多くの場合命懸け)に行動している、というパターンが多いと思う。両社のアンバランスに妙味があって不思議な面白さを醸し出していることが多い。
本書も筋立てはかなりエキセントリックで「ありえね~」という感じなのだが、登場人物にあまり緊迫感とか真剣さ?がなくて、全面的におちゃらけているムードになっちゃっていてユゴーにならった?著者自身が語り手としてたびたび登場するメタ的な叙述もそれに拍車をかけているように思われ、イマイチだなあ、と思えた。
作者としては、いつものパターン(マンネリ)を打ち破ろうという狙いなのかもしれないけれど、いつものパターンの方がよかったかも。
読者の錯覚を誘うトリックはけっこう鮮やかで、私も「だまされたなあ」と感じたし、終盤ではカタルシスもあるのだけど、あとがきにある通り、シリアスでヘビーな展開にしてもらったら、もっと面白かったと思う。
誘拐をビジネスとして営む組織の一員である兎田は、最愛の妻を当のその組織に誘拐されて組織が迫っている男を確保するよう脅迫される。兎田はターゲットの男を探すうち、ある民家でその家族を人質にして立て籠ることになってしまうが・・・という話。
著者の作品の特徴として、話の筋はコミカルといえるほど突拍子もないのだけど、登場人物はシリアス(多くの場合命懸け)に行動している、というパターンが多いと思う。両社のアンバランスに妙味があって不思議な面白さを醸し出していることが多い。
本書も筋立てはかなりエキセントリックで「ありえね~」という感じなのだが、登場人物にあまり緊迫感とか真剣さ?がなくて、全面的におちゃらけているムードになっちゃっていてユゴーにならった?著者自身が語り手としてたびたび登場するメタ的な叙述もそれに拍車をかけているように思われ、イマイチだなあ、と思えた。
作者としては、いつものパターン(マンネリ)を打ち破ろうという狙いなのかもしれないけれど、いつものパターンの方がよかったかも。
読者の錯覚を誘うトリックはけっこう鮮やかで、私も「だまされたなあ」と感じたし、終盤ではカタルシスもあるのだけど、あとがきにある通り、シリアスでヘビーな展開にしてもらったら、もっと面白かったと思う。