蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと

2017年07月08日 | 本の感想
女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと(西原理恵子 角川書店)

著者の経験に基づいて、世の中で生き残っていくノウハウを若い女の子向けに説くエッセイ。

西原さんのマンガやエッセイを読むと、人生いつも修羅場、みたいな強烈な体験が綴られています。でも、現実世界では、漫画家としてもエッセイストとしてもこの上ないほどの実績があり、アル中だった夫とは離婚したものの、今では日本でも有数のお金持ちがカレシ?という、人もうらやむような大成功者なので、作品の内容は実はフィクション?あるいは相当に盛っている?なんて思ってしまいます。

本書を読むと、前夫からは相当ひどいDVを受け、離婚した後はシングルマザーとして2人の子供を育てつつ、近所とのモメ事?でうつ病・パニック障害になってしまったそうで、そんな中で膨大な量の作品を残したのですから、成功の秘訣は人並みはずれたプロ根性だったのでしょうか。

それとコミュニケーション能力が大会というのか、人たらしというのか、伊集院静さんとか高須院長とか、いかにも気難しそうな人と仲良しになってしまう能力も要因なのでしょうね。

本書では、女性もおカネを稼ぐ力を身につけておかないととんでもないことになると、繰り返し説かれています。1000万円を稼ぐ夫を見つけるより、自分で500万円稼ぎ、500万円の夫をさがすべき、なんてうまい言い方だなあと思いました。
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夜の写本師

2017年07月08日 | 本の感想
夜の写本師(乾石 智子 創元推理文庫)

主人公のカリュドウは、エンジウムの魔道師長アンジストに育ての親の魔道師を殺害され、復讐を誓って隣国のパドゥキアで魔道の修行をしようとするが、やがて魔道も使える写本師(夜の写本師)を目指すことにする。
千年の時を生きるアンジストとカリュドウには、実は隠された因縁があって・・・という話。

ヒロイックファンタジーは「剣と魔法の物語」などと言われるが、本作は魔法(魔法といっても他人を攻撃するようなダークでハードなもの)に絞ったファンタジー。魔法とは何か?というテーマを著者の定義に沿って掘り下げていっている。

日本の作家による、西洋風の世界を舞台にしたファンタジーというと、ムードが感じられないものが多いのだが、本作は翻訳作品なのかと思わせるような香り高さが、そこかしこに感じられた。
その印象を強めている要因として、登場人物の名前の付け方がいい(というか私好み)こともあげられる。特に気に入ったのは敵手の首領:アンジストだ。主人公のカリュドウもいいし、いにしえの姫君:シルヴァインもよかった。
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さよなら、シリアルキラー

2017年07月08日 | 本の感想
さよなら、シリアルキラー(バリー・ライガ 創元推理文庫)

120人以上を殺害した稀代の殺人鬼:ビリー・デントを父に持つ主人公:ジャズは、父から殺人や犯罪の手ほどきを受けて育ってきた。ビリーは地元の保安官(G・ウイリアム)に逮捕され収監されている。ジャズは近所で起こった殺人事件に父の犯罪との類似点を見つけるが・・・という話。

主人公はジャズなのですが、ジャズの記憶や行動を通してビリーの姿を浮き彫りにしようとしていて、高度なIQを持ち超イケメンのモンスター的犯罪者であるビリーがやけに魅力的に描写されています。ちょうど「羊の沈黙」のレクター博士のように。
そう言えば、ジャズが刑務所にいるビリーに殺人事件解決のヒントを貰いに行くという筋も似てるなあ。

他の登場人物もキャラが立っていて、主人公の彼女のコニ-、保安官のG・ウイリアムなどが特に魅力的でした。

本書はシリーズものの最初みたいで、ビリーが脱獄して野に放たれてしまったところで終わってしまうので、ちょっと肩透かしをくらった読後感でした。おそらく次巻ではビリーとジャズが対決することになるのでしょう。
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