蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

エビと日本人Ⅱ

2009年02月07日 | 本の感想
エビと日本人Ⅱ (村井吉敬 岩波新書)

岩波新書の発刊○周年を記念して、各界著名人が薦める岩波新書を紹介した小冊子(無料配布だが、表紙が宮崎駿さん作画という豪華さ)の中で、多くの人に推薦されていたので、読んでみた。

正直言って期待はずれ。海外で養殖されるエビは、マングローブ林を破壊し、地元住民に苛酷な労働を強い、抗生物質を多用する養殖法は危険だと主張しているのだが、実証的なデータはほとんど示されていない。たまに提示されている統計も10年以上前のものだったりする。

私の子供の頃は、エビなんて一年に一回くらいしか食べられなくて、金持ちの友達の誕生会に呼ばれていったら、白いソース(タルタルソースだったと思う。当時それが何であるのかも知らなかった)がかけてあるエビフライが一人当たり二尾もあって、気絶しそうなほどうれしかったのを覚えている。

私の子供たちもエビフライは好物で、夕食の膳に並ぶと一応は喜ぶが、昔の私ほどの感激はないようだ。
日本は豊かになり、生活はぜいたくになった。豊かになったがゆえに味わえない喜びもある、なんて思うのは、年をとった証拠だろう。
コメント
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