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穴にハマったアリスたち

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「封仙娘娘追宝録」復活記念

2006年02月15日 | 小説・本
さあ今日も元気にブログを更新しよう!

と、思ったら用意していたネタが知人ともろに被りました。
ものすごく欝です。
自分の人生について考え直したいです。

でも、考えても無駄だったので、無視して書いてみる。

刃を砕く復讐者(下)

昨年末、富士見ファンタジア文庫から『封仙娘娘追宝録9 刃を砕く復讐者(下)』が発売。
上巻の発売から実に6年。
ファンの誰もが生存すら絶望視していた作者の華麗な復活。

稀に短編を発表してはいたので、多少の期待はあったのですが、まさか本当に続編が出るなんて。
切らずに待ってた出版社にも感謝。
感動したので、勢い任せに作品紹介なんぞやってみる。


あらすじ:
仙人の和穂は、封印されていた宝貝(マジックアイテムと思え)を誤って人間界にばら撒いてしまう。
その数726個。このままでは人間界に未曾有の混乱をもたらすことは必至。
責任を感じた和穂は人間界へと降りての回収作業を決心する。
ただし、さらなる混乱を防ぐため、和穂の仙人としての能力は全て封印。
和穂に与えられた力は、支給された宝貝・殷雷刀のみ。
人間形態も取る刀の宝貝・殷雷とともに、和穂は長い長い回収の旅を開始する。


ストーリー上のポイントは、以下の点。

・宝貝には欠陥がある
 ばら撒かれた宝貝は全て、何らかの欠陥のため封印されていたもの。
 その欠陥が何か、がストーリー上のキーになってます。ある種のミステリに近い。
 まぁ、『欠陥:強すぎる』とか判明してもどうしようもないのも多いですが。

・恋愛要素がない
 「元仙人の女の子・和穂」と「口は悪いが心優しい護衛役・殷雷」のペアの話なのですが、
 一切恋愛ネタを出してきません。素晴らしい。
 「とりあえずヒーローとヒロインはくっつくもの」という風潮に対する真っ向からの挑戦です。

 つうか、いくら人型が取れても、殷雷は所詮道具。
 作中でも盛んに強調されますが、道具は道具。
 「道具としての誇りがあるから人間扱いするな」といった主張が頻繁に出てきます。

 …そりゃそうだ。
 なんでもかんでも人間扱いすればいいというのは、人間の思い上がり。
 飼い犬に無理やり服を着せて人間用の食事をさせる行為と変わりません。

 ・奇跡にも根性に愛にも頼らない筋立て
 「登場人物全員が最善手を打つラブコメ」を書いたこともある作者。
 建前上、「中華風ファンタジー」と銘打たれていますが、
 本質的にはSFに分類される話です。
 昔、人に紹介するときは「中華風ジョジョ(4部)だ」と言ってたんですが、
 そのイメージで多分、そんなに間違ってない。

 ちなみに作者が言うには「(間違った)水滸伝」。
 水滸伝のストーリーを、「解放した英雄群をただの坊さんが捕まえて回る話」だと思っていたらしく、
 それをモチーフに作ったらしい。
 確かに、その「水滸伝」の方が絶対面白いと思う。


長編と短編があるのですが、内容はそれぞれちょっと違います。

○長編:

宝貝回収の本筋のストーリー。
見所は絶望的な戦力差。
例えば第1巻。

敵の所有宝貝:
 ・最強クラスの剣
 ・最強クラスの鎧
 ・致命傷も瞬時に自動回復する治癒アイテム
 ・未来予知アイテム
 ・千体以上の砂人形製作機
 ・空飛ぶ大戦艦(永久機関付き)

一方の和穂さん:
 ・相手のより劣る刀
 ・家内安全、無病息災その他のお守り
 ・なんでも吸い込む瓢箪(ただし、相手の同意が必要。相手の所有する道具等も不可) 

刀を手に、呆然と空飛ぶ大戦艦を見上げる和穂さん。
こちらの完全な射程圏外から、着弾間隔0ミリ以下で一里四方に降り注ぐ火力の雨。
最初に戦う相手じゃねぇ。

巻が進むにつれてその状況はさらに悪化。

一応、『道具を集める』話なので、相手を倒せばアイテム数は増えます。
が、たいていの場合『物騒すぎて使えない』『奪う余裕なんてないので即行で破壊』等々。
それどころか、こちらの道具が使用不能になっていく有様。

頼みの殷雷刀も無理がたたって、機能停止寸前。
ちょうど連載は「殷雷刀がとうとう壊れる」ところで中断していました。
おかげでファンの間では「次は(折れた刀を直すため)砥石の宝貝を探そう」と引きつった笑みとともに囁かれてた。

○短編:

番外編的なショートショート。
長編は戦闘がメインですが、こちらは宝貝が巻き起こす珍騒動を収めて回る話。
アイザック・アシモフ系統のワンアイデア勝負の短編集。

アシモフ作品や「星を継ぐもの」、「12人の怒れる男たち」が好きだという人になら、間違いなくお勧めできると思う。

なお、私のお気に入りは深霜刀。

機能:
 人間形態を取れる
 使用者の肉体を操れる
 冷気を操れる
欠陥:
 惚れやすい性格で、惚れた相手に使われると性能が激減
 一方、同性に使われると、心底どうでもいいため、使用者の身の安全を無視する

和穂 with 深霜刀という素敵回が一度だけあったのですが、もうお腹いっぱい。


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