穴にハマったアリスたち

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(第23話)わんだふるぷりきゅあ!「願い事はワォ〜〜〜〜〜ン」感想

2024年07月14日 | ハグプリ最終回考察
■(第23話)わんだふるぷりきゅあ!「願い事はワォ〜〜〜〜〜ン」感想

キラリンアニマルさんが全員集まりました。おめでたい。
謎のオオカミも徐々に姿が見えてきて、次回からは大きくステージが変わりそう。
「鏡石へのお願い」を七夕に引っ掛けたりと、相変わらず構成が丁寧です。

それはいいとして、その割に犬飼さんが気がかりです。
冒頭からして大失態ですよ。こむぎさんが折角重要そうな夢を見て問いかけてるのに、「お祭りのことだね」と流して終わりです。いや犬飼さん視点では、重要度を察しろという方が無茶なんですが。

今作の「主役」はこむぎで、犬飼さんは補佐担当です。
ただ、なまじ主人公ポジションに見えるだけに、どうにもここまでの扱いに疑問がわく。

①お友達がいっぱい
犬飼さんは学校の人気者です。人気者なのだけど、こむぎさんと一緒にお散歩してれば満足の子なので、いまいち他の子との交流が目立たない。

今回、烏丸さんのお家が登場しましたが、犬飼さんはノーコメント。
兎山くんはここがご自宅と知らなかった(普通、同級生女子の住所を把握はしていない)。
じゃあ犬飼さんは知ってたんだろうか?

また、犬飼さんは烏丸さんのことを何て呼んでるんだろう?
以前の話を未確認で申し訳ないのですが、烏丸・蟹江・大隈さんらは名字しか公開されていませんから、呼んだとしても名字です。
猫屋敷さんと兎山くんのことは下の名前で呼んでいるので、微妙に距離を感じる。

尤も、逆で考えた方がいいのかもしれない。
クラスメイトと距離があるのではなく、兎山くんとの距離が近い。
気付くんだ兎山くん。犬飼さんはあなたのことを特別扱いしている…!

猫屋敷さんについては、引っ越したばかりで不安だろうからと、意図して普段と違う距離の詰め方をしたとかかしら。

②動物大好き
実際アニマルタウンの動物情報に詳しいので看板に偽りはない。
とはいえ如何せん兎山くんが解説役をしてくれてるので微妙に脇に回ってる。遠吠えの説明も、犬飼さんも本来できたはず。
兎山くんがしている動物説明が基本的で簡単なこと(子供番組の宿命)なもあって、それ犬飼さんがやればよいのでは?と気まずい感じ。

ただ、これも考え方が逆で「兎山くんの役割を意図的に作ってる」が正なのかもしれない。
犬飼さん的には兎山くんに一緒にいて欲しいので、説明役を任せている。
うんうん悟くんは頼りになるなぁと、にこにこ笑顔で顔を立ててる感じ。
実際、遠吠えの説明の時、すんごく優しい顔で兎山くんに振り向いています。

…上記ふたつを合わせると、犬飼さんって兎山くんと既に付き合ってる認識だったりしないかしら。鈍感で天然と言われるより、個人的には納得感ある。

テーマらしき「言葉と伝えること」にも重なっています。
告白しなくても想いは伝わる。あるいは、告白しないと自分の認識は伝わらない。

③戦闘
さして役に立っていません。
というか猫組が優秀すぎる。特にニャミーさん。毎回確実にヘルプキラリンアニマルして販促にも貢献。犬組とのこの差はなんだ。
実質2チーム体制なこともあって、あまりに露骨に差が開いてる。

これについては次回から戦闘環境が変わるはずで、そこで何か動くのかも。

【オオカミと絶滅】
キラリンアニマルを連想させる亡くなった動物を祀った像。
絶滅したオオカミと遠吠え。

個人的予想としては、死後の世界的な展開にはならないかなと。
死んでも存在が続くとなると、色々と厄介な問題が出てくる。
(ドキプリ映画やオアシスさん等、前例がないわけではない)

絶滅についても、そのまんまの動物愛護の方向ではなく、「明日喧嘩(絶滅)するとしても今日なかよくしない理由にはならない」関連と予想してみる。

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「えみるの決断/さようならルールー」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年05月29日 | ハグプリ最終回考察
原点に立ち返ってみる。


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

私がハグプリの考察を始めたきっかけは「えみるは研究室に行けないはずだ。なのに実際には行っている。何故だ」がきっかけでした。

あの世界の正確な成り立ちは分かりません。未来は不変・歴史の改変可能・パラレルワールドのいずれなのか不明。

ですが、劇中人物である愛崎えみるの視点では、パラレルワールドは真っ先に除外される。
ルールーが「未来で待つ」と言っているからです。「別の空の下で待つ」などではない。

※パラレルワールドだと判断したとしても、基本的な思考は後述の歴史改変の場合と同じなので、以下の内容に支障はないはず。

もしも未来が不変ならば、自ら積極的に研究室には行きません。後述の問題があるので、怖くてできない。
もしかしたら研究室に行くことが正史なのかもしれませんが、未来が不変なら自由意志と関係なくいずれは行くんですから、自分から飛び込む必要がない。

歴史が改変可能なら、研究室には行けない。
何がトリガーなのか分からないので、「研究室に行く」が正解で、行かなかったら未来が変わってしまう可能性もあるにはある。
ですが研究室に行き、ルールーのことを現トラウムに話すとパラドックスが発生します。

未来から来たルールーに会ったから、えみるはルールーのことを知った。その情報を現トラウムに伝えたので、ルールーが完成した。
では、最初に「ルールー」を生み出したのは誰だろう?

パラドックスが起きたらどうなるのかは分かりませんが、歴史に大きな影響が出ると考えるのが自然でしょう。だからえみるは、積極的に研究室には行けない。
また、歴史が変わるのであれば、あの幼ルールーはえみるが知っているルールーとは別人ですから、勝手に「親友」呼ばわりするのはグロテスクだ。

※この種のパラドックスはリコさんがやらかしているので、プリキュア世界では実は経験済みなのですけど、ここでは横に置きます。

【未来を変える】
上記のように考えて「えみるは未来不変だと判断するはずだ」等を前提に、これまで考察を進めてきました。
だけど逆の可能性もあります。

仮説『えみるは未来を変えるために、あえて積極的に現トラウムに会いに行った』

動機としては未来の破綻を変えるため。
具体的にはクライアスの誕生を防ぐ。

手っ取り早いのは現トラウム達を抹殺することですが、プリキュア的にそれはNGだとして、明確で分かりやすいのは「未来の出来事を現トラウムに話す」です。
その情報を元に、現トラウムが意識的に異なる未来を目指せば、直感的には未来は変わる(変わったとえみるも確信できる)ように思える。

つまりルールーの残した「未来で待つ」とは、「自分が存在する未来を、えみるが消し去るのを待つ」。
もしえみるが決断できなければ、自力で未来を救う覚悟で2043年に戻った。そして、ルールーの想いを理解したえみるは決断してくれた。

えみるの研究室訪問により、2043年の未来は上書きされ消滅。
「ありがとう、えみる。信じて待っていましたよ」と微笑みながら、ルールーもまた消えていく…といったイメージ。
これなら「未来で待つ」発言とも矛盾しない。

※この情景は論理的には明らかに誤り。歴史が変わった時点で、過去・現在・未来の全てが上書きされるので、こんなリアルタイム進行での描写は起きえない。えみる当人の記憶も変わる。ただ理屈に拘るのをやめて、物語を優先するのも当然ありだとは思う。

※失敗をなかったことにするのはテーマに反するように思う。また、そもそも未来の破滅はクライアスのせいではない。が、そのあたりも曖昧にして避けます。

※ルールーが自ら現トラウムに会いに行き、自ら上書きを行わなかったのは、「消滅する存在から情報を知らされる」要素を省いてタイムパラドックスの影響を抑えるため。これも論理的には誤りですが、物語を優先するなら感覚的には受け入れやすいとは思う。

【やり直しの未来】
えみる本人が改変を意識していたのなら、ルールー2号機に過ぎない新ルールーとの「再会」も納得できます。

こんな状況を考えてみよう。

『未来で親友と共に戦ったが、力及ばず友は死亡。
過去に戻り、まだ幼い友と再会して、タイムパラドックスを誘発。未来は変わった。
そして幼い友に「私はあなたの親友だ」と名乗る』

この例でも戦友は別人になっているんですが、違和感は少ないように思う。
今回の仮説でのえみるの立ち位置はほぼこれと同じ。「戦ったのは未来ではなく過去」等の相違は、論理的には問題ないはず。
故に、えみるがルールー2号機を「親友」と呼んでも不自然さはない。

以上により、「愛崎えみるは、未来ルールーを抹消する決断をし、研究室を訪れた」という説を考えてみた。

自分で書いておいてなんですが、普通に「未来は不変(+歴史改変)」でも矛盾なく説明できるのだから、こんな仮説を採用せねばならない理由はないです。
ただ「歴史改変」と聞いて連想するいかにもな説(過去の登場人物の行動により、未来の人物が消えていく)も思考の幅のためには大事だと思うので、アイデアの一つとして残してみます。

●参考:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「死後の世界」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年05月17日 | ハグプリ最終回考察
「時間停止」と「死」は極めて近い。
また「タイムトラベル」は、量子力学や宇宙の成り立ちに関わってきます。

そういったわけで、ハグプリ考察をやっている過程で浮かんだ、死後の世界の仮説を再掲します。


(「HUGっと!プリキュア」24話より)

[1] 死んだら無になるので転生する(沼男仮説)
[Wikipediaより引用]
ある男がハイキングに出かける。道中、この男は不運にも沼のそばで、突然雷に打たれて死んでしまう。その時、もうひとつ別の雷が、すぐそばの沼へと落ちた。なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥と化学反応を引き起こし、死んだ男と全く同一、同質形状の生成物を生み出してしまう。

この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言う。スワンプマンは原子レベルで、死ぬ直前の男と全く同一の構造を呈しており、見かけも全く同一である。もちろん脳の状態(落雷によって死んだ男の生前の脳の状態)も完全なるコピーであることから、記憶も知識も全く同一であるように見える。
[引用終]

この沼男と同等の状況は、現実にも起きえます。
発生確率がゼロと言ってよいほど低いので、まず見かけないだけ。

ですが確率がゼロでない以上はいつかは起きます。何億年の何億倍のそのまた何億倍の時間の果てには、いつかは起きてしまう。
元ネタである「沼男」では同一人物と呼んでよいのかが問題となっていますが、あらゆることが起こりうるのなら、まさしく同一人物のケースも起きるでしょう。

死んだら無になるのであれば、どれだけ長大な時間の断絶があろうと意識できず、一瞬です。
宇宙が終わり、また別の宇宙が始まり、その宇宙も終わり…と繰り返す永劫の時間を越えて、遂には沼男が出現し、そこに意識が接続されるなら、つまりは「転生」です。

実際には完璧なコピーでなくても意識は繋がりそうに思えます。
また、記憶が連続している必要もない。私らは昨日のことを忘れていても、それでも自我の同一性を保てています。

一瞬だけ自我が接続され、またすぐに霧散し…を無限に思える時間と回数で繰り返し(だけど当人はその長大な時間を認識しないまま)、安定したのが今の私達なのかもしれない。

[2] 多世界解釈により死ねない(量子自殺仮説)
「シュレディンガーの猫」という有名な思考実験があります。
猫を箱に閉じ込めて、「毒ガスが出る」「出ない」を完全ランダムな方法で決定する。さて、箱の中の猫はどうなっているのか?

量子力学的には、箱を開けて中を見るまでは「猫が死んだ」「猫は生きている」が確定しません。
世界は二つに分岐する(分岐している)。
中の様子を観測して初めて「猫が死んだ世界に我々はいた」「生きている世界に我々はいた」と確定できます。

では猫ではなく、自分自身の生死を完全ランダムな方法で決定したらどうなるか。
「自分が死んだ世界」は観測できないので、必ず「自分が生き残った世界」を観測するのかもしれない。

もしそうなら、如何なる死の危機に直面しようと、奇跡的な確率で生き残ることになります。
私らは主観的には死ねない。周囲が順当に亡くなっていく中、それぞれの平行世界でそれぞれたった一人になっていく。

●参考:「停止した時の果て」

[3] 時間は流れていないので、同じ人生を永遠に繰り返す(5分前仮説)
物理学でも哲学でも「時間は流れていない」が主流の解釈です。
過去・現在・未来は同時に存在している。

私たちは明らかに時間の流れを認識していますが、これは脳の補完機能のせいと推察されています。
パラパラ漫画を見て、存在しない「動き」を認識してしまうようなものか。

仮に人生がランダムに再生されたり、巻き戻ったり、飛ばされたりしても、私らはそれに気が付けません。
「今」に至るまでの記憶があり、「未来」の記憶がなければ疑う材料がない。

よって、たまたま「今」を「今」だと認識しているだけで、実際には過去や未来も同時に存在しており、たまたま「今」を見ているだけ。
死の瞬間を経験しても、次の瞬間には誕生直後や何やらを認識しているのかもしれない。全く気が付かずに。

●参考:「時間の牢獄」

[4] この世界は不自然。仮想空間である(コペルニクス原理)
コペルニクス原理という考え方があります。
私たちは特別な存在ではなく、ありふれた確率に従ってここにいる。

例えば21世紀の今は、人類史上で人口が最大です。これはラッキーで繁栄期に生きているのではなく、人口が多いんだから確率的にはこの時代に生まれるのが「当たり前」だからです。
80億の人類の一人として生まれる方が、氷河期のたった数人のホモサピエンスとして生まれるより、明らかにありふれています。だから今を生きている。

この考えに基づくなら、これから先、何万年も続く銀河帝国のようなものは出現しません。何百兆もの人類が栄える時代があるのなら、たった80億しかいない黎明期に私達が生まれたのは確率的に不自然だからです。

しかし宇宙誕生から138億年という現在は、トップバッターを走っているぐらいの黎明期に思えます。
太陽が誕生したのが50億年前、寿命も残り50億年。赤色矮星が白色矮星になり始めるのが8000億年後、別の銀河が観測不可能な果てに消えるのが2兆年後。
これだけの時間があって、なぜ今なのか。

仮に今が黎明期だとすれば、仮想空間の遊びとして選んでも不思議はないように思えます。
私らの感覚でいえば、幕末~大正時代にバカンスを楽しみに行く感じ。盛り上がりたいなら戦国時代や恐竜時代かもしれませんが、スリルと休養のバランスをとるなら今でしょう。
よって、死んだ後はゲーム機から目が覚める。

●まとめ
[1][2][4]ならば、あと100年もすれば自分の体験として真相が分かります。[3]だと永久に不明。
最も悲惨なのはおそらくは[2]。死ねないだけのまま主観が残り続けるので生き地獄です。

[1]も場合によっては苦しい。何だかよく分からない状態に意識が接続され続けると、「何もない空間で永劫の時を過ごす」かのような状態になりかねない。
ただ根性を見せて「自分はプリキュア世界に親和性があるんだ」と魂レベルで信じ抜けるのなら、そこに意識が接続される可能性が上がるかもしれない。いつかはきっとプリキュアっぽい世界も出現するはずなので。

もし[1]や[2]が真相で、茫漠の絶望の時を経験する羽目になったなら、上記のからくりを踏まえつつ、これまでの人生やプリキュアさんのこととかを思い出して頑張ろう。

【参考】
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「2018年の謎(ジョージの最優先は野乃はなではない説)」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年04月20日 | ハグプリ最終回考察
「なぜジョージは2018年で時間を止めようとしたのか」という基本に立ち返ってみる。
※ハグプリの物語が2018年である保証はないのですが、ここでは2018年だとして進めます。


(「HUGっと!プリキュア」8話より)

【疑問】
トゥモローを追いかけてクライアスがやってきて、2018年で戦いが始まった…のには幾つか奇妙な謎があります。

●疑問1「なぜ2043年で時間を止めなかったのか」
トゥモローが過去に逃げたのなら、放置してそのまま2043年で時間を止めればよいです。

当初こそミライクリスタル反転方式による時間停止を試みていましたが、他の方法でも彼らは時間停止が可能です。
世界の真相がどうであれ、ジョージ達は「未来は変わらない」と確信しているので、トゥモローが過去で何をしようが現在の彼らには影響なし。
わざわざ追いかける必要がありません。

最も単純で否定できない確実な解答としては、「理由は分からないが歴史がそうなっていたから」と思われます。
ジョージ達は2018年に何があったかを知り得ますから、「2018年にクライアスとの戦いがあった」ことは把握できます。
なぜクライアスが2018年を戦場に選んだのかは分からないが、とにかく歴史がそうなっているのだから、漫然とそれに従った。
「未来は変わらない」と確信しているのだから、抗う道理がないです。

ただこれは深刻な問題をはらんでいます。
ジョージは過去の戦いを知っていて、しかも今の自分が時間停止していないことを知っている。
ということは、2018年の戦いは敗北すると初めから分かっています。

2043年で時間を止めることを選んでいれば、勝敗はまだ分からない。
2018年で時間を止めることを選ぶと、確実に負ける。

この条件下でそれでも2018年を何故選んだのか。

●疑問2「なぜ人生最良の日を選ばなかったのか」
ジョージが2043年以外を選ぶとしたらいつだろうか?

ジョージにとって最重要は野乃はな(仮)です。
※以降は、野乃はながジョージの妻だとの前提で進めます。

普通に一般的な感覚でいえば、野乃さんが最も幸せだった瞬間を選ぶと思います。
そして普通に一般的な感覚でいえば、「妻の人生最良の日を選べ」と言われたら、結婚式・子供や孫の誕生直後・入学式/卒業式/旅行などの家族イベントではないでしょうか(妻本人は違う回答をするかもしれませんが、夫が選ぶとしたら)。

ジョージは2018年にタイムトラベルしていますから、ぼんやり待ってれば2030年なども停止の瞬間に選べます。
彼は「プリキュアとして戦うこと」も「野乃はなにとっては不幸」だと捉えていましたから、さっさと戦いを放棄して待てばよい。

他シリーズのボスと違い、時間制限はない(少なくとも2030年までは野乃さんは生存している)し、待つ積極的な理由もある。それなのにジョージが選んだのは2018年です。
この年が野乃さんにとって人生最良かといえば、かなり疑問です。

(1)プリキュアになった
(2)親友と出会えた
(3)ジョージと初対面

等が挙げられますが、(1)は戦わない方が幸せ。(2)は言い換えれば「直前までは友人がいなかった」のですから、これから「最良」は始まります。
(3)に至っては歪んでいるとしか思えない…。ジョージはそういう思考をしそうではありますけど。

【仮説】
手探りで考えてみる。

●仮説1「ジョージは時間を止めるつもりはなかった」
負けが確定していると知ったまま、流れに任せるがままに2018年で戦った。
彼は「何もしない男」「見ているだけ」と評されていますから、身も蓋もないですがこれで説明はできます。

そしていざ負けた後。負けると分かってはいても、実際に経験するのはやはり違う。「何もしない見ているだけの男」も心が動き、野乃さんとの最後のやりとりに至った…のかもしれない。(参考:「ジョージの別れと再会」

●仮説2「時間停止に意味がないと知っていた」
仮説1の発展形。

仮に停止に成功しても、膨大な時の果てには再び時間は動き出します。時が止まっているのに「時の果て」があるかは別として。

2043年にジョージ達が動き回れることは、時間停止に失敗した証拠にはなりません。
逆に言えば、勝っても負けても結果は同じです。野乃さんの戦いは、実のところ無意味とすら言える。
(参考:「停止した時の果て」

戦いが無意味なら、いつの時代を選ぶかに拘る意味もない。
だからジョージは虚無的に2018年を流されるがままに選んだ。

●仮説3「ジョージの最優先は野乃はなではない」
2018年に何の意味があるかといえば、「トゥモローが逃げ込んだ先」が考えられます。

もしもジョージにとって重要なのが、野乃さんではなく、娘のはぐたんの方だったとすれば、追いかけるのは理解できます。
2043年で停止したとしても結果は同じかもしれませんが、同じ時間帯で止めたいのは心情としては分かる。

はぐたんの成長を待たなかったのは、「成長すると不幸になる」と考えたからでしょう。
「はぐたんには不治の病があり、成長すると発病する」といった具体的な害があったのか、「成長すると嫌なこともいっぱいあるよ。何も考えないでいい赤ちゃんの時が一番幸せ」のような抽象的なことなのかは分かりません。どちらもありえそうには思います。

「赤ちゃんが最良」であるなら2030年でも良いはずですが、2018年を選んだのは「人生最良の時は今この瞬間である」と認識していたから。
先ほどの「最良の時を選べと言われたらいつか?」の質問は、「結婚式」等以外に「今この瞬間が一番幸せだよ」もよくある回答だと思います。ジョージに似合わないですけど。

ジョージの主観でいえば「今この瞬間」とは、2043年のトゥモローから地続きの、2018年にいるはぐたんです。だから2030年ではなく、2018年を選んだ。

・赤ちゃん時代が一番幸せ
・生き抜いてきた今この瞬間が一番幸せ

この両立しなさそうな二つを、「若返ったトゥモロー」は満たします。奇跡的に条件が揃った。だから2018年が戦いの舞台になった。

物語としては発展性はあるようには思えます。深堀してみたら面白いかもしれない。
ただジョージは明らかに、はぐたんではなく野乃さんに執着していますから、肝心要の本編の描写と齟齬があるのが残念。
野乃さんの遺言で娘を頼まれたから…といった経緯なら、「はぐたんに興味はないが、はぐたん基準で時間を止める」としても矛盾はないかな。

●仮説4「2023年に何かが起きる」
ジョージにとって最悪の何かは、2030年以降ではなくもっと早く起きた。
時間の猶予がない。だから2018年での停止を急いだ。

その「何か」が起きるのは2019年とかでも良いのですが、ちょうど今20周年をやっていますし、2023年だと仮定しよう。
つまりは「プリキュアオールスターズf」で破滅的な何かが起きる。ジョージはこれを避けたかった。

そんな未来が来ないことは祈りつつ、もしも「プリキュアシリーズ完結」などが発表されたら、「ジョージが言っていた絶望はこのことだ」と決めつけよう。

【結論】
結論といっても決定的な根拠はないので、投げっぱなしです。
ジョージをどんな人物と捉えるかで、「仮説1か2」「仮説3」のどちらなのかは分かれそう。「仮説4」は起きないことを願う。

パラレルワールドを導入してもっと複雑な仮説にすれば、もしかしたら発見があるかもしれない。

【参考】
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「if世界での再会/ルールー分裂問題」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年03月23日 | ハグプリ最終回考察
うちのブログでは歴史改変については、下記の解釈でいます。
『世界は一つだけで、ルールーは改変後の未来から来ている。「歴史が変わること」が最初から織り込み済みなので、結果として全く同じことを繰り返している』


(「HUGっと!プリキュア」22話より)

図に書くならこのようなイメージ。
複数の世界を想定せずともハグプリは説明可能なので、シンプルにこれで済みます。



ただ「世界が複数ある」説の方が人気があるのも事実なので、その前提での解釈も試みてみる。
もしも続編が出た時に、パラレルワールドが全面に出される可能性はかなりありますから、それにも備えたい。

まず前提を整理します。

(1) 歴史改変のトリガーは「タイムトラベルをしたことそのもの」であると断定する理由はない。
ここに拘るのは、タイムトラベルそのものが原因だとすると、描写内容と大きな齟齬が生まれる上に、未来への帰還時にも分裂してしまうから。
(私としては「黒白キュアの召喚」がトリガーだと解釈しています)

(2) ルールーの「未来で待つ」発言と整合性を取りたい。また、2030年にえみるが「再会」したルールーが、まさしくあのルールー本人であると示したい(以下「ルールー別人問題」と呼びます)。
この問題をクリアできないと、ハグプリ全体の印象が大きく変わってしまいます。

【二股の世界】
「世界が分岐した」「異なる世界線に乗った」と言われたとき、イメージするのは下記のような「2018年から先が二股になっている世界」かと思います。



これは本来はおかしい。2013年が別々の世界で共有されてしまっています。
2013年に住む人々からすると、時間が経過して2018年になった時に、複数の自分に分岐していってしまう。
現代物理の多世界解釈においても、過去と未来はセットで扱われています。「改変前の過去と改変前の未来」・「改変後の過去と改変後の未来」が存在しないと奇妙だ。

それに「私たちが見ていたハグプリ」で失敗したパターンが生まれるのはテーマ的にどうなんだろう?
第1話冒頭時点の野乃さんは「改変が起きる前」ですから、ここから「改変後(成功パターン)」「改変前(失敗パターン)」に分かれることになる。
私たちが視聴したのが『たまたま』成功したパターンだった、というのは釈然としない。

とはいえ物語として分かりやすいので、続編ではこれが採用されたとします。
この場合は諸々の問題は容易に解決できる。全ての騒動の後、ルールーは2018年の分岐より前にタイムトラベルすればよい。
そしてそのまま物陰に隠れ、2018年の自分たちの未来への帰還を見送った後、さらっと合流すれば再会できます。
ルールーの主観では「未来で待つ」と言えます。

これだけだと2030年で作成されたルールーが別人になってしまうのですが、ルールー本人が横にいるなら2号機でもそんなに不気味ではないように思う。
もしくは後述の解決策をとる。

【平行世界】
「世界の分岐」を、物理的により正確な解釈をするなら下記です。



改変が起きた瞬間に、2018年より前の過去も分岐します。分岐というか分裂。感覚的には完全なる別世界です。

ただ上図には誤りがあります。
ルールーらがタイムトラベルしたのは「改変後の世界」なので、もう少し正確にはこうなる(但しこれも誤り。後述)



彼女らは最初から「改変後の過去」に移動しています。そして「改変前の未来」に帰る。
異なる世界にどうやって移動しているのか分かりませんが、とにかくできるのであれば、もう一度同じことができても不思議はないでしょう。

ハグプリ本編での描写のみでいえば「未来との繋がりが薄れている(異世界へのゲートが閉じかけている)」ので片道切符に思えます。
ですが、続編でパラレルワールドが描かれるのであれば、「移動可能」であると示されます。だったら解決は容易い。シンプルに「未来で何度か行き来がある。だから未来で待つと言った」で終わります。
最初に前提に置いた通り、タイムトラベルそのものが分岐を誘発しないのであれば、気軽に移動されても特には困りません。

移動が可能ならば、ルールー別人問題も解決できます。
2030年以降(仮に2033年)に、幼いルールーを改変後の世界から改変前の世界に送り込めばよい。



明確に反する描写が出てこない限り、これでどうにかなります。
ルールーは2030年に改変後の世界に誕生し、2033年に改変前世界に旅立ち、2043年から2018年にタイムトラベルする際に改変後に戻り、2018年から2043年の改変前世界に帰った。

※ここまで「世界が二つに分岐した」ケースで考えてきましたが、更に大量の世界に分かれたのだとしても考え方の基本は同じ。

※「改変前/改変後」は、それぞれ「(タイムトラベルした結果)失敗/成功」に読み替えた方がイメージしやすいかも。

【分裂するルールー】
ただ深追いするのなら、正確にはこうです。



ルールーは改変前/改変後のどちらか一つにトラベルしたのではなく、両方にトラベルしています。
ルールーは2018年の時点で二人いる。

「改変前」/「改変後」の各世界は、「タイムトラベルしなかった世界」/「タイムトラベルした世界」の違いではありません。
「タイムトラベルしたが救われなかった世界」/「タイムトラベルして救われた世界」です。
もし「タイムトラベルしなかった世界」があるなら、タイムトラベルした時点で歴史が変わってしまい、劇中描写と大きく乖離してしまう。

二人いるこのルールーは、どちらも改変前世界(失敗した世界)の出身なので、事が終わると改変後の2043年に帰還します。
そうすると、改変前2043年世界で、二人のルールーが鉢合わせる。
2030年に改変後世界でルールーが作成されていますから、そのまま成長させると、改変前世界の2043年に二人、改変後世界の2043年に一人の計3人になる。
「世界は二つに分岐したのに、ルールーは3人いる」という不可思議な状況。

※改変に失敗した方のルールーは、失敗したんだから死亡していてもおかしくはないですが、問題から逃避しているだけなのでここでは考えないものとします。

※逆にいうなら「改変前世界に戻った時に合体する」の逃げ道もない。片方が死亡している可能性があるので、同じタイミングで未来に戻れる保証がない。

これを解消するためにも、前項の通り2033年などに改変後世界のルールーを、改変前世界に送り込む必要がでてきます。それをやっておけば、とりあえずルールーは二人で済む。世界が2つだから、ルールーも2人。違和感はないです。
あとは2043年の決着がついた後に、改変後世界のルールーが戻ってくれば良い。
この解釈に則るなら、2043年の戦いでは、ルールー&ルールーによるダブルアムール変身とかも見られるのかもしれない。

あるいは、マシェリのプリハートが分裂した理由にこじつけても面白そう。
5個目のプリハートは、改変前世界のプリハートを召喚していたんだ。そのおかげで改変後世界にはアムールが誕生できた。
しかしそのせいで改変前世界ではプリハートが3個になってしまい、アムールどころかマシェリも誕生せず。結果、失敗にもつながった。
真相がこれなら、ルールーが未来に帰りたがるのも納得がいきます。プリハートを返却し、責任を取らねば。

【分裂する人々】
ここまでは何とか辻褄は合わせられるのですが、分裂してしまうのはルールーだけではありません。トラウムやハリーも同じだ。
ということは、「2033年にルールーを改変前世界に送り込む」と似たようなことをしなければいけなくなる。
当然、そんな経緯があったとは彼らは口にしていない。

ルールーは記憶を消去されていたとかで言い訳するとしても、ダイガンやパップル達にまで同じ処置をするのはかなり無理を感じます。
が、「二つの世界に3人のチャラリートがいる」を避けるためには、改変前世界に旅立っていただくしかない。
したがって2033年あたりに大災害的なものがあり、改変後世界の住人がごっそりと(少なくともタイムトラベルした面々は)転移してしまったんでしょう。本人たちがそれを認識しているのかは別として。
ジョージの語った「野乃はなに訪れた不幸」も、これ絡みかもしれない。

「分裂する」というのはかなり不可解ではありますが、シュレーディンガーの猫が二匹になるようなものです。現実世界では異世界への移動はできない(というか、移動できないから異世界)ので、生きてる猫と死んだ猫が再会するような現象は起きない。それを「できる」と設定されてしまったら、上記のような説明で突破するしかない。説明に無理があるというより、そもそも「分岐した世界を移動できる」前提のせいです。
まぁ「人間の分裂」を許容するのであれば、最初の方に書いた「二股の世界」でいいんじゃないか?という気もするのですが、私としてはこちらの方が納得はできます。

それでも受け入れづらければ、「改変前世界(失敗世界)でも2030年にルールーが作られた」としましょう。その上で改変後(成功)からルールーを送り込み、2043年のタイムトラベルの前の時点で、ルールー(およびトラウムやパップル達)を2人にする。2人のルールーは、それぞれ失敗世界と成功世界の2018年を目指してタイムトラベルする。これなら分裂はしません。

解決できたのか自分でも怪しく思うものの、とりあえず現状ではこのような理解でいます。

【参考】
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「続編なんか怖くない」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年03月15日 | ハグプリ最終回考察
オトナプリキュア&続編シリーズが発表されました。

今まで「どうせ真相は明らかにはならない」と好き放題に考察もどきをしてきたのに、何かが描かれてしまう可能性が出てきてしまいました。
散々力説してきた「未来は変わっていない」「ルールーは平行世界に帰ったのではない」等が覆ってしまうかもしれない。
喜ぶべきなんですが、もしそうなったときに心置きなく楽しめるように、今から予習しておく。

※2023年3月15日現在、ハグプリ続編は全く示唆すらされていません。


(「HUGっと!プリキュア」40話より)

【(1) 2018年以後、2030年以前の物語】
ハグプリ続編として思いつくものとしては、まずはシンプルに「野乃はなとジョージの結婚」とかを巡る物語でしょう。

例えば2028年。最終回から10年後の未来が舞台。
野乃さん達は24歳頃。薬師寺さんが医師免許を取るかどうかのあたり。えみるは大学卒業間際ぐらいか(この子ら皆、いわゆる普通の4年制大学に通うタイプの人生を歩まなさそうですけど)。
そこにルールーがやってきて、何らかの騒動が起きるような感じ。

劇中でどこまでダイレクトに言及されるかにもよるのですが、このパターンは私の考察とは直接には矛盾しない。
「2018年から2043年に帰還中のルールーが2028年に立ち寄った」「2043年での決戦の後のルールーが、2028年に報告に来た」のどちらでも辻褄が合います。
私としては「2033年にルールーが立ち寄っている/2033年に2043年からトラウムがやってきている」説を唱えているぐらいなので、むしろ補強されたと喜べる。

【(2) 2043年の決戦の物語】
次の可能性として、「2043年からSOSが届き、残っていた4人が未来にタイムトラベルして助けに行く」ようなお話。
「トゥモローも登場させられる」「未来の自分とのドラマがある」等で、見せ場が色々ありそう。

このケースだと未来の黒幕が明かされそうですが、私の考察的には問題なし。そこの部分はどうとでもなる。
「未来は変えられる」的な台詞も出てきそうですが、概念的な物だと解釈は可能でしょう。
ルールーの「未来で待つ」発言とも矛盾しません。

ただラストシーンで「今度こそ本当にお別れですね」的な台詞をルールーが発し、パラレルワールドであることが示されてしまうかもしれない。
これについては後述。

【(3) if世界を巡る物語】
ダイレクトに「パラレルワールド」を押し出してくるかもしれない。

未来に帰ったはずのトラウムたちが早々に戻ってきて、「世界が複数に分岐してしまい、元いた未来に帰れなくなった。プリキュアの力を貸して欲しい」。
そして4人も合流して改めて未来を目指して出発、スタプリの宇宙編のように色んな平行世界を訪れながら、ルールーたちの未来を目指す。
(ちなみにタイムトラベルものの原点「タイム・マシン(H・G・ウェルズ)」の続編もそんな感じです)

様々なif世界を描けるのは絵としても面白そうだし、「なんでもなれる」のテーマとも相性が良さそう。
別の世界の「野乃はな」を見て回り、どの道でも頑張っている「自分」を見て、野乃さんが自分の進路を決める。綺麗にまとまりそう。

【続編という名の突破口】
(3)(展開によっては(2)も)平行世界が前提となってしまいます。これは私の今までの考察と反してしまう。
当然ながら公式が最優先なので何ら不満はないのですが、先置きで整理しておきたい。

平行世界を持ち出した場合、下記が問題になります。

1. ジョージの「歴史は変わらない」の認識と齟齬が出る(参考
2. ルールーの「未来で待つ」発言や、2030年のルールー作成と整合性がとれない(参考
3. 「過去は変えられないが、不幸は乗り越えられる」のテーマに反する(参考

「続編がある」のなら、2.の問題はクリアできます。
要は「ルールーが助けを待つ」展開があれば、何の問題もない。彼女が言った「未来で待つ」とは「続編での再会」のことであって、2043年での再会ではなかった。
もしくは続編でも描かれていない遠い未来(例えば2053年)の再会を示唆していたのだ、のような拡張も可能かもしれない。
今までも「未来で待つとは、ミラクルユニバースやミラクルリープでの再会のことを言ってるのだ」と言い張れなくはなかったのですが、再会の場面が省略されているので厳しかった。でも続編で実際に描写されるのであれば、肩透かし感は解消されます。

「未来で待つ」発言が解決するなら、後は比較的容易です。
ちびルールーについては、「2030年に製造され、2033年に平行世界に送り込まれた」のような展開(だと解釈の余地がある)なら「別人をルールーと呼んでいる」問題は消える。
今の今まで気づいていませんでしたが、この方法なら続編の有無と関係なく、シンプルに最終回の疑問を解消できます。
もっと踏み込むなら、「トゥモローと一緒に野乃さんがif世界に移住した」とか「最終回で描写された2030年は、if世界の2030年だ」でもいい。

3. も続編の描写によって突破できます。
以前にも書いたように、分岐先のそれぞれの歴史は改変不可ならば、テーマに反しません。ストーリー上のガッカリ感が問題だったので、続編で公式に描いてくれるのであれば問題は大きく減じます。

他、「分岐のきっかけがはぐたんのタイムトラベルだとすれば、何度も何度もトラベルさせまくれば望ましい分岐世界を作れるのでは」との疑問も、分岐のきっかけは「私たち視聴者がハグプリを観測したこと(参考)」だとすれば、リセマラ地獄に挑まない説明が付きます。

問題は1. です。
3. と違い「それぞれの平行世界は歴史不変だ」だけでは解決できません。
ジョージは「この世界」で時間を止めようとしていたからです。

「この世界」で時間が止まれば、他の世界も時間が止まる…のであれば深くこだわる意味はないのかもしれない。
ただ人間心理としては、どうせ止めるなら自分の世界で止めるんじゃなかろうか。

ひとまずの抜け道としては、「ジョージが2018年に来た後に分岐したので、元の世界に帰れなくなっていた」。
はぐたんのタイムトラベルで分岐したのではなく、21話が分岐点だとすれば、分岐したのはジョージが2018年に来た後の出来事。ジョージ的には取り残されてしまったようなものです。だからやむなくこの世界で時間を止めようとした。
それでいいんだろうかという気もかなりするのですが、最終決戦であっさりと退いたのも、「この世界で拘っても仕方がないから」と解釈できなくはない。

ただこれだけだと、ルールーが未来に帰還しようとすると、分岐先の世界にいるルールーたちと鉢合わせしてしまい、ルールーが増殖してしまいます。
分岐した瞬間に過去・現在・未来の全てが作られたとすれば、矛盾まではしない…のですが、ややこしいので別記事にしたい。

以上から、どうにかこうにか辻褄合わせはできそうに思えます。
なので続編を素直に待ちたい。オトナプリキュア&続編シリーズが大成功しますように。

【参考】
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「時間の牢獄」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年03月08日 | ハグプリ最終回考察
「時間が止まる」という現象が何なのか分かりません。


(「HUGっと!プリキュア」40話より)

未来へのタイムトラベルは、現実世界でも普通に可能。
過去へのタイムトラベルも、理論上は否定はされていない。
だから一応はイメージはできる。

では時間停止はといえば、「時間停止=全ての物体が静止している状態」であるなら、不確定性原理とかその辺が理由で起きえません。
時間は止まらない。というか、そもそも時間は流れていないとも言える。

フィクションなんだから原理は無視するとしても、物語に関わる疑問がいくつか沸きます。

【素朴な出発点】
仮に2043年冬に世界全体の時間が止まるとして、43年夏のキュアトゥモローが、2018年に助けを求めてやってきた。
ストーリーとして違和感はない。

仮に時間停止が2030年だったらどうだろうか。
2043年のキュアトゥモローが、2030年に世界全体の時間が止まってしまったので、2018年に助けを求めてやってきた。
これは不可能じゃなかろうか。

2030年に時間が止まってるんだから、2043年は存在しない。もしくは凍り付いて動けない?
いずれにせよ「2043年からトゥモローが来た」のであれば、2030年には時間は止まっていません。

この理屈は2030年に限らず、トゥモローがタイムトラベルする以前の時代すべてに当てはまります。
よって2018年の最終決戦でも、時間は止まらないことは確定している。ジョージたちは当たり前にここに気づくはずです。
(というか、2043年に自分たちが動き回れてるんだから、過去に時間停止がされていないのは明白)

※パラレルワールドや歴史改変を想定すれば解消できますが、世界の真相がなんであれ、ジョージ本人は「歴史は変わらない」と確信していますから、上記の思考になるはず。

【時間の矢】
もう少し理屈面で考えてみる。

トゥモローさんの人生を表す、時間の線(矢印)を想像してみよう。
この線上の「2030年」「2031年」「2032年」…「2043年」のそれぞれに無数のトゥモローが存在します。
「過去の自分に出会う」といった現象を説明するには、このイメージがおそらく最も単純です。

では「時間停止」の逆である「時間が流れる」とはどういことか。
これも最も単純なイメージは「時間の線上の無数のトゥモローが、一定の速度で未来に向かって並んで動いていく」だと思います。
2030年のトゥモローは1年後には2031年のトゥモローになり、31年のトゥモローは32年のトゥモローになる。

ただこのイメージは、時間停止を考えるとおかしなことになる。

仮に2043年に時間が止まったとする。
2043年のトゥモローはそこで停止。
その1年後に2042年のトゥモローが43年に到達、凍り付いた自分を見た直後に停止。
2年後に2041年、3年後に2040年のトゥモローが43年に至り、続々と停止していきます。
その後時間が再開すると、各時間に一人ずつだったはずのトゥモローが、2043年だけ大量発生してしまう。

タイムトラベルも同様で、2043年のトゥモローが2018年に戻ったとして、その1年後には2042年のトゥモローが43年になり、18年目指してやってきてしまいます。
「1年後」とは書きましたが、2018年の野乃さんにとっては「現在」ですから、次から次へと大量のトゥモローが押し寄せてくることになる。
もちろんそんなことは描写されていない。故におかしい。

※「2018年」にタイムトラベルしたのではなく、「25年前」に戻ったのだとすれば、一応は解消はできる。この場合、パラレルワールド(多世界解釈)になる。ただ説明が複雑になるだけで、やっぱりおかしなことにはなってしまう。

【矢は飛んでいない】
これらを踏まえると、実際の描像として下記が考えられる。

仮説(1) 「時間が止まると過去・現在・未来の全てが一斉に止まる」
時間停止が起きたのが2043年だとして、2030年や2018年も一斉に止まる。
これなら先ほどのトゥモロー大渋滞問題は回避できます。ただタイムトラベル時の不可解な挙動は解決しない。

また、物語上は別の問題が発生します。
どの時間で止めても全てが停止するのなら、決行する年代はいつでも良いはずです。
トゥモローが過去に逃げたのなら、放置してそのまま2043年で時間を止めればよい。わざわざトゥモローを追いかける必要がない。
(時間停止にミライクリスタルが必要だったから…は当初だけで、最終的には関係なく自力で止めています)

※素直に考えるなら、ジョージにとって2018年が特別な年だったんでしょう。これについて、まとめられたら別記事にしてみる

仮説(2) 「各時間のトゥモローは最初から止まっている」
時間の線上を並んで進んでいるのではなく、各時間にトゥモローは立ち止まっている。止まっているトゥモローの主観だけが時間を巡っていて、「時間が流れている」かのように錯覚している。
各時間の全てのトゥモローは、それぞれ「その時点に至るまでの過去」の記憶を持ち、「今後起きる事柄」の瞬間的な変化を目にしているため、「今まさにこの瞬間」こそが唯一の現在だと認識し、それが連続するため時間が流れているように全員が認識します。

回りくどい遠回りになりましたが、現実の物理学や哲学でも、そのような理解をしているらしい。古くからあるゼノンのパラドックスなど。
物語としての整合性から考えても一致するのだから、多分これが現時点では真相に近いのだと思う。

なぜ時間が流れているかのように錯覚するのかは色々と仮説があるようですが、ひとまず「脳の誤認識」を採用します。
それならば誤認するその脳の機能を停止させれば、時間は止まる(流れているように認識できない)。

クライアスがやっていたのは、「物体を凍り付かせて動けなくする」のではなく、「認識能力を狂わせて(正常化させて?)時間の流れを誤認できなくする」。
個人の主観の問題であれば、「トゲパワワが増殖して絶望すると止まる」描写と一致します。

この理屈ならば、全員を止めねばならないのも分かる。
未来が消えるわけではないので、時間の流れを認識(誤認)できる人にとっては、変わらず変化が起きるのが見えてしまいます。だから全員を止めた。
一方で、地球を観測できない存在には関係がないので、宇宙全てを止める必要はない。

【人生の終わり】
まぁこんな設定があるとは到底思えないのでお遊びでしかないですが、本題はこれが現実の我々にも当てはまることです。

私たちは「今この瞬間」が過去から脈々と連続している現在だと認識せざるを得ません。
が、仮に自分の生涯の時間がランダムに再生されたとしても、おそらくはそれに気づけません。
2020年が再生されたら、その時の自分には2020年までの記憶しかない。何の違和感もなく、2020年が「現在」だと認識する。
2030年、2040年、2050年等でもすべて同じ。人生が実はランダム再生されていたとしても、今のこの瞬間の認識と矛盾しない。

もっと踏み込むなら、ランダム再生のように「再生し終わったら終わり」と決めつける理由もない。
過去・現在・未来はすべて同時に存在していて、それぞれの時代の自分が「今が現在」と認識しているのであれば、死んだ後も延々と繰り返せます。
2100年に死亡した、その瞬間の主観にとっては「死」で終わりですが、2090年や2080年がなくなったわけではないので、変わらず当時の主観は「今が現在」と認識を続ける。
特に、時間の流れを誤認する原因が「脳」であるならば、脳のその機能が停止した瞬間は、時間の束縛から逃れられる可能性がある。走馬灯はいかにもそんな感じです。

この理屈でいくなら「死なない」(延々と同じ人生を繰り返す)が、世界の実態なのかもしれない。仮にそれが正しかったとしても、何を変えられるわけでもないので、意味はないのですけれど。

【参考】
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「はぐたんは若返っていない説/ハグプリ未解決問題」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年02月22日 | ハグプリ最終回考察
エルちゃんとの相違を整理する意味も込めて、はぐたんの疑問をまとめてみる。


(「HUGっと!プリキュア」40話より)

はぐたんとハリーには不可解な謎が残されています。
まずそれらを列挙し、仮説「はぐたんは本当に赤ちゃんで、トゥモローが若返ったのではない」を考えてみる。

謎①「ハリーの奇妙な言動」
ハリーの言動には不思議な点が多々あります。特に第1話。

後々の説明(主に40話)とも合わせると、あの時のハリーは「クライアスの追手からトゥモローと一緒に逃走。タイムトラベル後にトゥモローが赤ちゃんになった」と受け取るのが自然な理解です。しかしその割には動揺が見られません。
40話の回想では「何やこれは!?」「(赤ちゃんのトゥモローを見て)なんでやねーん!!」と驚いてはいます。が、その後の野乃邸では、(この事態を説明できる人物はいなかったにも関わらず)落ち着いてミルクを用意し状況を受け入れています。

謎②「はぐたんに、トゥモロー時代の記憶はあるのか」
(1) 記憶があるし、トゥモローとしての人格もある
(2) ない。完全に赤ちゃんになっている
(3) ぼんやりと記憶はある

特定できる描写はありません。はぐたんは敵に立ち向かう等、赤ちゃんらしからぬ動きもしてはいますが、「記憶はない」としてもおかしいというほどではないでしょう。
ハリーにオムツを替えてもらうのを嫌がっていませんから、「記憶はない」とした方が自然ともいえます。二人は既に、そういうことを任せられるほどの深い間柄だったのかもしれないので、何とも断言はできませんが。

謎③「トゥモローに、はぐたん時代の記憶はあるのか」
(1) 記憶があるし、はぐたんとしての人格を継続している
(2) ない。忘れている。
(3) ぼんやりと記憶はある

思春期の娘さん的には、オムツ替えの記憶が残るのはかなりきつそう…。しかも「ハリーを父親と誤認しかねない」罠までついてきます(だからハリーは、自分のことを「パパ」と呼ばせていないと思われる)。
記憶が残らなかったなら、それはそれで寂しいものがある。最終回の「ママ…」の呟きはなんだったのか。

謎④「トゥモローは、なぜ赤ちゃんになったのか」
「アスパワワが枯渇したから」がハリーの説明ですが、眉唾物です。
「ミライクリスタルを集めても復活しなかった」「同様の事例がない。トゲパワワが増えても時間が止まるだけ(トゲパワワの増殖と、アスパワワの枯渇がどう関連するのかは不明ですが)」など、否定材料はいくつかあります。

原理に踏み込んでも仕方ありませんが、ミデンの時の「記憶を失ったから子供になった」と比べて、「アスパワワ(明日への希望)がなくなったから若返る」は納得感が薄いです。「アスパワワがなくなったから時間が止まる(未来に進みたくないから)」なら分かる。

ついでに言うなら、これが事実ならジェロスさんの老い問題は解決しますね。アスパワワをなくせば赤ちゃんになれる。
(いや、解決すると思ったら希望が湧いてくるので、結局は赤ちゃんになれない…のか)

謎⑤「トゥモローはどうやって元に戻ったのか」
皆目不明です。未来に帰ったらいつのまにか戻っていた。
「過去に居続けるために力を使い続けていたからだ」と考えられなくもないですが、その割には普通に成長しています。

ちなみに、はぐたんの成長速度は普通です。
赤ちゃんの首が座るのは月齢2~4カ月ごろ、離乳食の開始が5~6カ月ごろ。
1歳になる頃には、見た目には大人とほぼ同じ食事ができるようになります。塩分や加熱時間、味付け、食材等に違いはありますが、見た目には分かりません。ミルクだけ飲んでいる期間は意外と短いです(なのでオールスターズメモリーズで、マシェリにミルクをあげようとするのはおかしい。野乃さんがいかに混乱していたかが分かる、密かな名シーン)。

確か走る描写はなかったと思いますので(一般には1歳6カ月以降)、ハグプリの劇中期間が半年~1年ぐらいなら、彼女の成長描写はリアルとちょうど当てはまります。
言葉は早い方ですが、超常の力を想定するほどではないというか、演出の都合の範囲かなと。
細かいことに拘るのであれば、人見知り・場所見知りで泣かないのは変とか、病気や体力の問題の方が厄介です。

【思考実験】
以上を踏まえて仮説を立ててみる。

●仮説
『はぐたんは2030年から来ている。若返ったトゥモローではなく、2030年時点の赤ちゃんそのものである』

●大まかな流れ
2043年10月:
窮地に陥ったトゥモローとハリーは、2030年10月にタイムトラベルした。
理由は「プリキュアに助けを求めた」「マザーの力を使った」ので、プリキュアである母が、自分を出産する時代が無意識に選択された。

2030年10月21日:
はぐたん誕生。43年から来たトゥモロー、「ママ…」と呟く

2031年2月:
何らかのトラブルが起き、生まれたばかりの「はぐたん」(月齢4カ月ごろ)が2018年にタイムトラベルしてしまう。
巻き込まれてハリーも2018年へ。トゥモローは2030年に残留。

2018年2月~2019年:
ハグプリ本編。最終回にて2031年に戻る。
はぐたんを2031年の野乃さんに返し、トゥモローとハリーは最終決戦へ。

これだと「トゥモローが43年から30年に13年分タイムトラベルした反動で、赤ん坊のはぐたんが31年から18年に13年分タイムトラベルした」のような、なんとなくの数字の符丁も見て取れます。意味があるかはともかくとして。

【仮説の利点】
この仮説を採用すると、先に述べた謎①~⑤が解決します。

謎①:ハリーは赤ちゃんの存在を知っていて、事前準備もできるのだから、すぐに冷静になって当然である。
謎②:トゥモローが若返ったのではないので、記憶は当然ない
謎③:成長と共に普通に忘れている
謎④:若返っていないので考察不要
謎⑤:同上

綺麗に解ける。
他、いくつか補足します。

第40話の回想は、普通に見ればどう考えても「2043年から逃亡した時の描写」ですが、数瞬のカットの間に「2030年が挟まっていた」としても矛盾はしない。

同じく40話の回想にて、タイムトラベルをしたハリーが混乱している描写があります。ただこの回想の中では「なんで赤ちゃんになってんねん!?」のような決定的な台詞は発していません。
例えば「2030年でトゥモローとはぐたんがいる状況で交戦中に、タイムトラベルが発動。ふと横を見たら、トゥモローがいなくてはぐたんしかいない」の経緯でも、同じような反応をしそうです。
元々2030年ではぐたんと行動を共にしていたのなら、ミルクを用意していても納得できる。

ハリーは「ミライクリスタルを集めれば、はぐたんが復活する」と認識し、そうならなかった際に慌てていました。
これは「集めれば未来に戻れる」のような理解をしていたのなら不自然ではない。ハリーには嘘をつく動機があるのだから「未来への帰還」を「はぐたんが元に戻る」とごまかしてもおかしくはありません。

クライアスは若返ったと認識していたようにも思えますが、ハリーが隠蔽していたならありえるでしょう。
そもそもクライアスは、はぐたんをいまいち軽視しているように見えます。
例えばジョージが「(はぐたんが)マザーの力に目覚めたようだ」と語ったりしていますが、未来での戦いや過去へのタイムトラベルの発動は、マザーの力に該当しなかったのか…?
はぐたんが赤ちゃんそのものであるなら、まだプリキュアになっていませんから、「力が目覚めた」はむしろ自然に受け取れる。
他、ビシンの反応も、「トゥモローが若返っている赤ちゃん」よりも「これからトゥモローに成長する赤ちゃん」だとした方が、納得できる…ような気がする。

最終回で「ママ…」と呟いているトゥモローは、2043年からタイムトラベルしてきた直後。
あの描写は、2018年からハリーが帰還した後ではなく、ハリーが2018年に旅立つ前と思われます。

この解釈だと「ママ…」の呟きの意味が変わるので、謎③の懸念が消えます。
「育ててもらったハグプリ本編を想って呟いた」のではなく、「これから育ててもらうハグプリ本編を想って呟いた」。
「明日」の名を持つキュアトゥモローの台詞として考えると、過去を想ってよりも、未来を想っての方が似合っている気はする。

【仮説の欠点】
問題点は明らかで、個々の劇中描写と整合せず「嘘をついていた」「描写が省略されている」のようなごり押しの嵐です。
(ハリーは意識的に情報を隠しているので、「嘘をついた」にも一定の確かさはあるのがまた面倒くさい)

しかもこんな大掛かりなギミックを持ち出す必然性がありません。確かに謎は解けますが、他の方法でも解けなくはないです。
謎①は「普通に大混乱に陥ったハリーだったが、トゥモローを守るために奮起した」…で納得できるし、謎②や③はトゥモローさんに強く生きていただければ良い。オムツ替えの記憶が残った程度で、心折られるトゥモローさんではない。

仮にこの説でいくなら、テーマに何か新しい視点をもたらせるとかに期待したいのだけど、(元が完璧すぎるので)特にはなさそう。
2030年や2043年のシリーズにとっては、この構成が重要な意味を持つ可能性もあるので、もしそうなったら狂喜乱舞してみる。

【蛇足】
プリキュアコンテンツであることを無視するのであれば、
「2030年に戻った際にトゥモローは死亡している。同じく野乃はなも死亡」
「2018年から2030年に帰還したハリーは、(野乃さんが死亡しているので)そのまま赤ちゃんを普通に育てて、2043年を迎える」
「育ったはぐたんはトゥモローになり、2043年のハリーに巡り合い、過去にタイムトラベルをする。そして死亡」
も、時間ギミックとしてはありえそう。

この場合、ハリーの恋は実らない。また、おそらくは縁者に助けを求めると思われます。つまりは、同年代に成長した2030年の輝木さんと、はぐたんを育てる展開も想像はできる。輝木さん的には、何とも複雑な心境でしょうけれど。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「はぐたんはタイムトラベルしていない(はぐたんが時間を止めた説)」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年02月06日 | ハグプリ最終回考察
『タイムトラベルの哲学』(青山拓央,2011年)を読んで閃いた。


(「HUGっと!プリキュア」1話より)

私たちはごく自然に「はぐたんが過去にタイムトラベルした」と認識しています。
ですが相対的に見るなら、「世界が未来にスライドした」でも良いはずです。

(1) 「はぐたんが過去にタイムトラベルした」
紙の上に書かれた年表をイメージしてください。
未来(2043年)の地点にいるはぐたんを、ひょいとつまんで過去(2018年)に移動させる。
年表は動かず、はぐたんが移動(タイムトラベル)をしている。

(2) 「世界が未来にスライドした」
先ほどと同様に年表をイメージしてください。
はぐたんではなく、紙の方をつかんでガッとスライドさせる。
はぐたんは動かず、紙が移動している。

どちらのタイムトラベルでも、はぐたんの主観では違いはありません。
違いがないんだから、(2)を採用してはいけない理由もとりあえずはないはず。
そして(2) 世界スライド仮説を採用すると、長年の謎が解決するかもしれない。

【停止した未来】
自然発生的な時間停止現象に見舞われ、ハグプリ世界は2043年に凍り付きます。
では2043年から先の未来はどうなっているんだろう?

●仮説1「未来も止まっている」
何らかの方法で2050年を覗き見ると、時間が止まって動かない人々の姿が見える。

●仮説2「未来はまだ存在していない」
2043年から先はまだ白紙。時間が止まっているので出現していない。

どちらも大きな問題を抱えています。
まず仮説1。2050年を覗いてみたら、2050年の姿が見える。それならば2049年を見たら2049年、48年なら48年…と輪切りにされた未来の様子が見えることになります。
細分化していくと、2043年12月31日23時59分59秒の姿→2044年01月01日00時00分00秒の姿→2044年01月01日00時00分01秒の姿といった具合に、未来がどうなるかを観測できる。
これって「時間が止まっている」のでしょうか。

あるいは2050年を覗いても、止まった2043年の姿がそのまま見えるだけ?
それって「2050年」なんでしょうか。「2043年」と区別がつかないのでは。

仮説2は「なぜ2043年が基準点なのか」が不可解です。
この記事を書いているのは2023年2月6日なのですけど、私が今ここで過去にタイムトラベルしたとして、「2023年2月6日以降は白紙だ」と主張して納得されるでしょうか。
「お前がいた時間が2023年2月6日だっただけで、ただの一般人のお前を世界の基準にする理由はない」と反論される気がしてなりません。

【停止した滅び】
別の角度からの疑問としては、「なぜ停止だったのか」もあります。
素直に「2043年に世界は滅びる」でいいじゃないか。

ジョージ達が行った「時間停止」と、2043年に起きた「時間停止」は別物です。
ところが両方とも「時間が止まる」と呼ばれているせいで、混乱を招いてしまっている。
何せ登場人物たる野乃さんですら勘違いし、ジョージに訂正される始末です。

未来に起きたのは時間停止ではなく「滅び」であれば、物語としてはすっきりします。
前項で書いたややこしい問題も解消するし、お子様にも分かりやすい。何故「時間停止」だったのか。

【世界スライド仮説】
上記二つの問題は、「はぐたんではなく、世界の方がタイムトラベル(スライド)した」とすれば、解決の糸口が見つかるかもしれない。

仮説
『危機に陥ったはぐたんは、世界全体を巻き戻した』

整理のために、まず人間が移動するケースで考えてみる。
ある人が意識のみ過去にタイムトラベルしたとします。この種の移動は「タイムリープ」と呼ぶことが多いので、以下はそう呼称します。

10年前にタイムリープした。おお若返ったぞと思いつつ、再度の10年間を過ごした。そして(未来は変わらず)再びタイムリープして10年前へ。
これを延々と繰り返すと無限ループです。

1日前にタイムリープするケースではどうか。これもSFではよくある「同じ一日を無限に繰り返す」系でお馴染みの状況です。

では0.1秒前にリープしたら?0.01秒前なら?
無限に同じ0.01秒を繰り返す状況は「時間停止」と区別がつかないんじゃなかろうか。

本題である、世界全体がタイムリープするケースに置き換えてみる。
2043年12月31日08時30分00秒00(仮)にはぐたんの能力が発動し、2043年12月31日08時29分59秒99に引き戻されたとします。
0.01秒が経過して2043年12月31日08時30分00秒00になっても、再度2043年12月31日08時29分59秒99に戻され、これを延々と繰り返されたら、「時間が止まった」と言えるのでは?

この状況ならば「2043年から先の未来はどうなっているのか」は説明が付きます。
未来として存在してはいるが、0.01秒毎に引きずり戻されるので、揃って一緒に巻き戻っている(止まっている)。
※この理屈だと、未来で時が止まったなら過去も時が止まります(後述)

【大人になんてなりたくない】
滅びではなく停止だったのは、はぐたんが望んだのが「明日を迎えたくない」だったからでしょう。
明日嫌なことがある、あるいは今日何かの失敗をした。だからもう一度今日をやり直したい。
「世界が滅んでしまえ」よりは自然な発想に思えます。

ストーリー的にはクライアスとの戦いの苦痛。
テーマ的には(ハピネスチャージと似たような)「中高生になって直面する課題」からの逃避。

はぐたんの本能的な力の暴走により、世界は散発的に停止し始めて、いよいよどうにもならなくなったところで世界全体が大きくタイムリープ。
結果、はぐたんの視点では「タイムトラベルした」ように見えた。

※先ほど書いたように、未来で時が止まったら過去でも止まる。逆に言えば、過去で動いているなら未来でも動いている。
はぐたんが2018年に引き戻した時点で、未来の時は動き出したのかもしれない。

ハグプリ本編でも何度か時間が止まりかけますが、基本的にははぐたんのピンチと連動しています。
ヤバい状況に直面した→時間を戻して逃げよう。これを繰り返していた。

更にいえば、はぐたんは2043年から2018年に一気に飛んだのではなく、2042年→2038年→2033年→2030年→2018年のように、段階的に「逃げ」ていたのかもしれない。この前提なら、下記を説明できる。

・ジョージがはぐたんを捕獲した理由
→捕獲しないと無限に過去に逃避を続けていく。捕獲すればそこで時間停止(極小のタイムリープ)する。

・未来の時間停止が解決不能である理由
→はぐたんを殺せば停止は解決しますが、そんな答えは野乃さん的にもプリキュアコンテンツ的にも絶対不可でしょう。

したがって、未来の時間停止は、はぐたんが未来に進む勇気を持てたなら解決する。
若かりし頃の母親と共に過ごし、失敗した今日を抱えて、苦難に満ちた明日を迎える勇気を貰った。だから未来に戻り、その先に進んだ。
実は未来の危機は、最終回の帰還のあの時点で解決していたのかもしれない。

【仮説のその先】
と、長々と書いては見ましたが、あちこち破綻や描写との不一致も目立ちます。
ただこれまでの「はぐたんがタイムトラベルした(ワームホール2本仮説)」では得られなかった観点が発掘できそう。精査してみたら、面白い発見があるかも。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「プレシャスな人生の物語」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年02月04日 | ハグプリ最終回考察
ハグプリというよりデパプリの話ですが、最終回記念で。


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第45話より)

『あなたの人生の物語』というSFがあります(テッド・チャン作,ハヤカワSF文庫)。人生観にもちょっとした影響を受けたぐらい大好きな小説で、『メッセージ』という邦題で映画化もされています。

内容としては、「過去・現在・未来は同時に存在している」という物理学および哲学の『事実』が元になっています。

ある時、地球に「過去・現在・未来」を同時に認識できる宇宙人がやってきた。彼らには時間の流れはなく、私らが過去を「既に起きたこと」として思い返せるように、未来についても確定した事実として認識できている。「未来に干渉できる」といったことではなく、「既に起きたこと」として把握しているイメージです。
その宇宙人との通訳を任じられた言語学者が、彼らとの対話を通じて同様の時間認識に目覚め、これから生まれる自分の娘との未来の「思い出」を語る物語です。

実際に読んでいただくのが早いのですが、この語りのイメージは和実さんの祖母のナレーションに通じるものがあります。
お祖母ちゃんは他界していますから、素直に解釈するなら、あのナレーションは死後の世界だか霊魂だかの語りです(文字にすると無粋ではありますが)。
デパプリは「(例えば愛のような)無限のリソースを如何に受け取るか」が課題になっていて、最終盤での「死んだ祖母とも会話(死後の世界すらも力にできる)」は非常に熱かった。
ただそこをあえて『あなたの人生の物語』風に踏み込むと、「20年前のお祖母ちゃんが実際に語っている」でも面白いんじゃなかろうか。

お祖母ちゃんの愛は孫娘の「過去・現在・未来」を同時に認識できる領域に到達していた。ナレーションや最終決戦での対話は、「それが起きると知っていた」お祖母ちゃんが20年前に語ったもの。
この領域に和実さんも届いたので、過去のお祖母ちゃんと対話できた。過去とのタイムトラベル通話とかそういうことではなく、「お祖母ちゃんはこう言った」と「知っている」し、「孫娘はこう言う」と「知っていた」からの対話です。

もしも未来を、過去や現在と同様に認識できるなら、未来のリソースすらも扱うことができ、世界が一気に広がります。自分だけで解決するより、他者も頼った方がいい。
SFを発端に書きだしたので堅苦しい表現になっていますけど、要は「未来に託す」も根っこは同じです。

ジンジャーさんは未来で異変が起きると「知っていた」し、活用してくれると「知っていた(信じた)」から蓄積装置を作った。
後者の「知っていた」は「予知」「未来視」ではありませんが、結果としてはそれらと区別がつきません。
(ついでにいえば、巨大招き猫の動きは「未来で現れる敵はフェンネル」だと知っていた(信じた)と考えた方が、自然とも思えます。ジンジャーが言葉を尽くしてフェンネルを説得するよりも、決戦を通じての納得を知っていた(信じた)のでしょう)

起きると分かっている困難の解決を、未来の子たちに任せるのは無責任と言えば無責任です。でもそこを託す。プリキュアとして戦ってもらうことすらも心苦しく思っていたマリちゃん世代より、一歩先をいっています。
限定された過去世代・現役世代だけでなく、無限に続く未来の世代と力を合わせられれば、まさしくリソースには限りがない。

デパプリは、ジンジャーやお祖母ちゃん⇒マリちゃんやシナモン⇒和実さんやブラぺ⇒コメコメ達と、次の世代に継承していく物語ともいえます。
SF視点で言語化するのは似合わないとは思いますけど、「偉大なる師匠やお祖母ちゃんは、未来のリソースすらも使っていた(次世代の力を信じていた)」はスケールが大きくて良いかもしれない。

※時間は流れていないはずなのに、実態として私らは明らかに時間の流れを認識しています。
原因として、今まで読んだ本では「脳は時間経過をガバガバに組み立てて捏造している(例:ボールを見てから打ち返したような錯覚、間隙を実際には存在しない事柄で埋めようとする等)。」「エントロピーの増大は基本的に不可逆。この増大の流れや、それに抗う生命維持の反応が時間の流れとして認識されている」等々と提起されていました。
参考:「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?(吉田伸夫)」「時間はなぜ取り戻せないのか(橋元淳一郎)」

【えみるの人生の物語】
少しハグプリにも触れますと、未来から来た人たちは「これから起きること」を「思い出す」ことができます。
特にルールーはアンドロイドなので、記憶の認識が我々とは大きく異なっていてもおかしくはない。
彼女の残した言葉「未来で待っている」は色々な解釈ができ、いまだに妄想が膨らみます。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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