■映画プリキュアスーパースターズ!
幼少のみぎりにお約束を破った野乃さんの元に、復讐の鬼が現れるお話。
何を血迷ったかその鬼は、プリキュア全撃破を図り、案の定というか3チーム目で敗退。頑張った。
仮にそこを抜いてもプリンセス組が立ちはだかり、それをどうにかした後のハピネスチームの物量に絶望したことでしょう。
こうしてみると、改めて歴史と戦力の厚さを感じます。15周年、万歳。
今回の映画、最も印象に残ったのは「坂を上る」だった。
新人の非力さで敗退した野乃さん、赤ちゃんを抱えて、えっちらおっちらと坂を上ります。
この坂を越えればプリキュアがいる。それだけを頼りに、とにかく上ります。
そして絶望するのです。坂の上から転落する赤ちゃんを見て。
シチュエーションとして、これはとてもよく理解できる。
終わりのない坂。苦しい状況。待っていても助けはこない。
何せ周りにいるのは赤ちゃんと謎生物です。立ち止まっていてもどうにもならない。
しかし上ったところで、それ自体は解決にはならない。
上って、それから友達を助けにいく。問題は山積みです。
でも。それでも上る。上った先に、プリキュアがいると信じて。
薬師寺さんや輝木さんの過去エピソードからも分かるように、今作は失敗からの立ち直りをテーマにしているようです。
そしてその「失敗」は、単なる一過性の失敗ではなく、繰り返し起こるタイプのもののように思う。
平たく言えば「振り出しに戻る」に立ち向かえるかがあるように思えます。
10周年のハピネスさんでの、それまでの集大成として立ち向かったテーマは「プリキュアは無意味だ」だった。
プリキュアさんの描く未来は、娘さんらの台詞とは裏腹に妙に暗い。
世界はいずれ滅びるし、夢は叶えても意味がなく、人生山も谷もあるが最終的には死ぬ。
夏休みはいずれ終わり、子供のころに夢見たキラキラしたあの気持ちは、現実の前には無力だ。
そして新しい10年。いわば、無力と分かっていることに、もう一度挑むわけです。
これは1回目よりもかなりきつい。
薬師寺さんらは、「ハピネス」のつむぎさんらと同じ経験をしている。その上でまた立ち上がっているわけですが、困ったことに、彼女らの課題は繰り返し起きる。1回乗り越えれば、それで解決する類の問題ではない。
仮にここを突破しても、また怪我なり何なりすれば振り出しに戻ってしまう。その時に、また立ち上がれるか。
本編で今まさに対峙しているのバブルさんなのも象徴的です。
正に、過去に一度やらかした失敗そのもの。
あの時代は様々な問題が大量にあり、間違ってもそのまんまあの時代に戻ってほしいとは思いませんが、経済的なものや勢いでいえば「バブルよもう一度」の気持ちは分かる。ですが仮にバブルが起きたなら、その後の悲惨な時期もセットで思い起こされるし、それを分かっていて、あの当時のようにがむしゃらな働き方はできない。
宮本佳那子さんのED「七色の世界」は胸に染みました。
クローバーくんが外に踏み出せなかったのは、結局のところは自分の問題だった。
彼の絶望のトリガー自体は、「この世界から抜け出せるかも」という希望から、「やっぱりなし」と振り出しに戻され、改めて孤独に立ち向かわねばならなくなったから。だけど、そこを乗り越えて自分でもう一歩踏み出していれば、未来は変わっていた。少なくとも、プリキュア全チーム撃破なんて、自暴自棄な夢に突き進むことはなかった。
ただそうは言っても、自力でその一歩を踏み出すのは、実際のところかなり厳しい。
だからプリキュアさんがいる。
この坂を上れば、この扉を開ければプリキュアさんがいる。いたところでどうなるものでもないんですけど、とにかくいる。
そう信じられれば、その一歩が踏み出せる。
正直なところ、野乃さんの言う「応援」はいまいちピンと来ていなかったのですけど、あの坂を上るシーンで胸に刺さりました。本当に、あの気持ちは良く分かる。
個人的にここしばらく、仕事やら何やらで「振り出しに戻る」に直面し続けていただけに、「それでも、もう一度」の勇気を出せるかは課題だった。この坂を上れば、プリキュアさんがいる。それならもう一度、歩みだせる気がする。
【お子様1】
子供と一緒に見に行きました。
前回の「パリ」映画も一緒に見に行きましたが、さすがはお子様、数ヶ月で成長なさってる。
以前は敵が出るたびに怯えていたのに、今は少なくとも画面は直視できるようになった。
でも不思議なことに、クローバーくんとの対話シーンでは泣いていた。
多分、悲しいとか可哀そうではなく、怖いの感情で。
まぁ「ごめんなさい」をしても許してもらえず、暴走したわけだから、「怖い」と感じるのは分からないでもないけれど。
それを「怖い」と認識できるとは、我が子も成長したな…。
もしくは「魔法つかい」組が敗退したのがショックだったのかもしれない。そのせいで、直後の暗いシーンに耐えられなかったのかも。
うちの子、ミラクルさんへの信頼は異常に高いです。理由はおそらく、ミラクルさんのイベントでは敵が出てこないから。
年齢的な問題で、ミラクルさんのミュージカルとか映画には行けず、握手会とかでしか会っていないのですけど、その手のイベントには敵がやってこない。
子:
「きょうはどうして、こわいのがでてこなかったの?」
(ホイップのイベントでは執拗に敵が出てくるのに)
私:
「ミラクルさんが悪いのを全部叩き潰したからだよ」
「石の下にいるのや、壁の裏に隠れてるも見つけ出し、全部やっつけたんだ」
子:
「みらくるさんは、つよいんだね!」
それ以降、彼女への信頼は著しく高い。そのミラクルさんが敗退したのは、結構ショックだったみたい。
「よりにもよってサファイアに変身したからだ」とフォローしたが、通じたかは疑問だ。
あと、とりあえず「みんなで歌う 奇跡の魔法」は当面封印しようと思う。
【お子様2】
うちの子は青いプリキュアが好きらしい。
マリンもジェラートもアンジュも、「青い」というただ一点で同系列に扱う剛腕っぷりですが、とにかく青いのが好きらしい。
人格とか、完全に無視ですね。色至上主義。
(ミラクルさんを一番信頼しているっぽいのに、ミラクルさんが一番好きなわけではないのが不思議なところ。
ちなみにマジカルさんの評価はやたらに低い。低いどころかディスられてる。リコさんが何をしたっていうんだ…)
映画を見た直後は、まだ「キュアアンジュ」の名前が分からず「青いキュアエール」とか呼んでました。ひどいにもほどがある。
最近ではパンフレットを片手に勉強し、3世代まではプリキュア名を言えるようになった。記憶力の黄金時代を、残念なことに空費させてしまった感はある。
幼少のみぎりにお約束を破った野乃さんの元に、復讐の鬼が現れるお話。
何を血迷ったかその鬼は、プリキュア全撃破を図り、案の定というか3チーム目で敗退。頑張った。
仮にそこを抜いてもプリンセス組が立ちはだかり、それをどうにかした後のハピネスチームの物量に絶望したことでしょう。
こうしてみると、改めて歴史と戦力の厚さを感じます。15周年、万歳。
今回の映画、最も印象に残ったのは「坂を上る」だった。
新人の非力さで敗退した野乃さん、赤ちゃんを抱えて、えっちらおっちらと坂を上ります。
この坂を越えればプリキュアがいる。それだけを頼りに、とにかく上ります。
そして絶望するのです。坂の上から転落する赤ちゃんを見て。
シチュエーションとして、これはとてもよく理解できる。
終わりのない坂。苦しい状況。待っていても助けはこない。
何せ周りにいるのは赤ちゃんと謎生物です。立ち止まっていてもどうにもならない。
しかし上ったところで、それ自体は解決にはならない。
上って、それから友達を助けにいく。問題は山積みです。
でも。それでも上る。上った先に、プリキュアがいると信じて。
薬師寺さんや輝木さんの過去エピソードからも分かるように、今作は失敗からの立ち直りをテーマにしているようです。
そしてその「失敗」は、単なる一過性の失敗ではなく、繰り返し起こるタイプのもののように思う。
平たく言えば「振り出しに戻る」に立ち向かえるかがあるように思えます。
10周年のハピネスさんでの、それまでの集大成として立ち向かったテーマは「プリキュアは無意味だ」だった。
プリキュアさんの描く未来は、娘さんらの台詞とは裏腹に妙に暗い。
世界はいずれ滅びるし、夢は叶えても意味がなく、人生山も谷もあるが最終的には死ぬ。
夏休みはいずれ終わり、子供のころに夢見たキラキラしたあの気持ちは、現実の前には無力だ。
そして新しい10年。いわば、無力と分かっていることに、もう一度挑むわけです。
これは1回目よりもかなりきつい。
薬師寺さんらは、「ハピネス」のつむぎさんらと同じ経験をしている。その上でまた立ち上がっているわけですが、困ったことに、彼女らの課題は繰り返し起きる。1回乗り越えれば、それで解決する類の問題ではない。
仮にここを突破しても、また怪我なり何なりすれば振り出しに戻ってしまう。その時に、また立ち上がれるか。
本編で今まさに対峙しているのバブルさんなのも象徴的です。
正に、過去に一度やらかした失敗そのもの。
あの時代は様々な問題が大量にあり、間違ってもそのまんまあの時代に戻ってほしいとは思いませんが、経済的なものや勢いでいえば「バブルよもう一度」の気持ちは分かる。ですが仮にバブルが起きたなら、その後の悲惨な時期もセットで思い起こされるし、それを分かっていて、あの当時のようにがむしゃらな働き方はできない。
宮本佳那子さんのED「七色の世界」は胸に染みました。
クローバーくんが外に踏み出せなかったのは、結局のところは自分の問題だった。
彼の絶望のトリガー自体は、「この世界から抜け出せるかも」という希望から、「やっぱりなし」と振り出しに戻され、改めて孤独に立ち向かわねばならなくなったから。だけど、そこを乗り越えて自分でもう一歩踏み出していれば、未来は変わっていた。少なくとも、プリキュア全チーム撃破なんて、自暴自棄な夢に突き進むことはなかった。
ただそうは言っても、自力でその一歩を踏み出すのは、実際のところかなり厳しい。
だからプリキュアさんがいる。
この坂を上れば、この扉を開ければプリキュアさんがいる。いたところでどうなるものでもないんですけど、とにかくいる。
そう信じられれば、その一歩が踏み出せる。
正直なところ、野乃さんの言う「応援」はいまいちピンと来ていなかったのですけど、あの坂を上るシーンで胸に刺さりました。本当に、あの気持ちは良く分かる。
個人的にここしばらく、仕事やら何やらで「振り出しに戻る」に直面し続けていただけに、「それでも、もう一度」の勇気を出せるかは課題だった。この坂を上れば、プリキュアさんがいる。それならもう一度、歩みだせる気がする。
(左画像)CD 北川理恵・宮本佳那子 / 「映画プリキュアスーパースターズ!」主題歌 (右画像)映画プリキュアスーパースターズ! オリジナルサウンドトラック [ 林ゆうき ] Twitterアカウント:http://twitter.com/RubyGillis |
【お子様1】
子供と一緒に見に行きました。
前回の「パリ」映画も一緒に見に行きましたが、さすがはお子様、数ヶ月で成長なさってる。
以前は敵が出るたびに怯えていたのに、今は少なくとも画面は直視できるようになった。
でも不思議なことに、クローバーくんとの対話シーンでは泣いていた。
多分、悲しいとか可哀そうではなく、怖いの感情で。
まぁ「ごめんなさい」をしても許してもらえず、暴走したわけだから、「怖い」と感じるのは分からないでもないけれど。
それを「怖い」と認識できるとは、我が子も成長したな…。
もしくは「魔法つかい」組が敗退したのがショックだったのかもしれない。そのせいで、直後の暗いシーンに耐えられなかったのかも。
うちの子、ミラクルさんへの信頼は異常に高いです。理由はおそらく、ミラクルさんのイベントでは敵が出てこないから。
年齢的な問題で、ミラクルさんのミュージカルとか映画には行けず、握手会とかでしか会っていないのですけど、その手のイベントには敵がやってこない。
子:
「きょうはどうして、こわいのがでてこなかったの?」
(ホイップのイベントでは執拗に敵が出てくるのに)
私:
「ミラクルさんが悪いのを全部叩き潰したからだよ」
「石の下にいるのや、壁の裏に隠れてるも見つけ出し、全部やっつけたんだ」
子:
「みらくるさんは、つよいんだね!」
それ以降、彼女への信頼は著しく高い。そのミラクルさんが敗退したのは、結構ショックだったみたい。
「よりにもよってサファイアに変身したからだ」とフォローしたが、通じたかは疑問だ。
あと、とりあえず「みんなで歌う 奇跡の魔法」は当面封印しようと思う。
【お子様2】
うちの子は青いプリキュアが好きらしい。
マリンもジェラートもアンジュも、「青い」というただ一点で同系列に扱う剛腕っぷりですが、とにかく青いのが好きらしい。
人格とか、完全に無視ですね。色至上主義。
(ミラクルさんを一番信頼しているっぽいのに、ミラクルさんが一番好きなわけではないのが不思議なところ。
ちなみにマジカルさんの評価はやたらに低い。低いどころかディスられてる。リコさんが何をしたっていうんだ…)
映画を見た直後は、まだ「キュアアンジュ」の名前が分からず「青いキュアエール」とか呼んでました。ひどいにもほどがある。
最近ではパンフレットを片手に勉強し、3世代まではプリキュア名を言えるようになった。記憶力の黄金時代を、残念なことに空費させてしまった感はある。