【来年度のプリキュアさん】
「オールスターズ」も着々と準備中。
キャッチコピーは「わたしたちは、ひとりじゃない!」。
良いですね。「わたしたち」が誰を指しているのか、それだけでもモワモワ妄想が広がります。
プリキュアさんの場合「後に続く人たちがいる」「他にも戦っている友だちがいる」だし、視聴者の場合「私たちもプリキュア」。
「あなたはひとりじゃない」ではないところが、凄く良い感じ。
【来年度のプリキュアさん2】
「ドキドキ」さんは優秀な方が多いそうで。
いきなり紫の方がでかでかとCM起用されてます。ようやく現れた芸能界の成功者。
まず、レモネや完璧娘に、ちゃんとご挨拶に伺う事をお勧めします。
最初が肝心ですからね…。挨拶の順番を間違えただけで、とんでもないことになりそう。
■スマイルプリキュア! 第48話(最終回)「光輝く未来へ!届け!最高のスマイル!!」
絶望の現実に沈みこんだ星空さんでしたが、メルヘンたるキャンディさんに引き上げられ再び現実へ。
メルヘンは形もないし触ることもできない。だけどこうして救いになってくれる。
かつてのあの頃のようにメルヘンから助けてもらい、いざ、最後の決戦へ。
でかい。でかすぎます。
とりあえず殴ろうと思って振り上げた拳のやり場に困ります。
星空さん:
「あたしたちにできることを全部やろう!」
そして速攻で大技発射。
この1年間、最後までそこだけは成長しない子たちでした。
まずは必殺技。とにかく必殺技。
しかし案の定、ざっくりと破られてしまいました。
それもピエーロ様の拳で。
物理攻撃が最強なんです。ここに来て真理が露呈。
身も蓋もない破壊描写。
バッドエンド化とかビームとか砂漠化とか色々ありましたが、殴った方が早かった。
やっぱり物理攻撃が最強。
あまりといえばあまりの攻撃に、頼みの綱のスマイルパクトも壊れてしまいました。
かの玩具がいかなる原理で動いているかは存じませんが、絶望が一定値を超えたために、メルヘンランドとの通信を切られたとかじゃないでしょうか。
さしものバンダイ様の超技術でも、電源ケーブル抜かれたらどうしようもありません。
星空さん:
「大好きな人たちがいるこの世界で」
「もっと。もっと」
「生きたい…!!」
あの楽しかった日々。
無駄と言えば無駄、無目的と言えば無目的だけど、だからこそ楽しかった子供時代。
ずっと続くと思っていたメルヘンは、今はこんなにも遠い。
その時。悲鳴をあげる現実に、無力なメルヘンも最後の意地を見せた。
残された最後の力を振り絞り、玩具が再起動。
だけどそれを使うと、ご多聞に漏れず、メルヘンランドと断絶。
キャンディさんとも会えなくなってしまう。
かつて先輩たちも通ってきた道なれど、星空さんは断固拒絶。
「プリキュア」というメルヘンと別れるなんてありえない。
何せつい先ほど、絶望の底から救ってくれてます。このメルヘンを、手放すのか…?
星空さん:
「どんなに辛くても苦しくてもいい」
「友だちがいなくなるのだけは、嫌だ」
あたかも壊れた玩具を手放せないお子様のように。
星空さんの拒絶は大変に強い。
「メルヘンに救われた」というこのシリーズの根底に関わる部分なんだから。
ピエーロ様:
「希望だという友だちは失われ」
「地球もなくなり」
「明日は永遠に来ない」
星空さん:
「それが、絶望…」
終わりのない怠惰の意味を、星空さんは実感として噛みしめる。
永遠に明日が来ない。
怠惰と絶望がリンクした。
もう何が大切か分からない。
もちろん現実が大事で生きたいけれど、メルヘンだって大事なんです。
錯乱して動きを止めた星空さんを見て、しかしキャンディは先に一歩を踏み出した。
キャンディ:
「大切なことは、ちゃんと自分で考えて」
「自分で決めるクル」
CMの最中も拒絶を続けた星空さんでしたが。
メルヘンからのこの言葉に、覚悟を決めました。
本当に守りたいものは何だったのか。
メルヘンは現実には存在しない。
それでも私たちを救ってくれる。
救われた私たちが戦えるのなら、架空のメルヘンにだって意味があったと確信できる。
だけど「メルヘンを守るために戦う」になってしまっては本末転倒。
この期に及んでメルヘンランドが戦線に参加しないのも、お伽噺そのものが話に絡まないのも分かる気がしてきた。
星空さん達はメルヘンを守りたいんじゃない。現実を守りたいんだ。
現実を守ったその結果、メルヘンも守られるのであって。
メルヘンを守るために戦ってしまったら、順序が逆です。
それを思うと、キャンディを守るためにプリキュアさんを起動した前女王様は、ぎりぎりの苦渋の決断だったんだろうな…。
プリキュア離れしたお子様に、「番組続かないからプリキュアを観てよ!」と頼むのは奇妙。
だって、子供を楽しませたくて「プリキュア」を作ってたんだから。
ただ、そうは言っても、作り手としては意地も願いもある。
自分たちの仕事は、意味のない架空のメルヘンなんかじゃないと。
でもだからといって、現実を犠牲にし始めたら…。
星空さん:
「あたしたちにできることを全部やろう」
「あたしたちは絶対、未来を諦めない」
大前提中の大前提。
メルヘンには愛着がある。別れたくはない。
でも本当に大切なのは、メルヘンじゃない。
星空さん:
「それがあたしたち」
「スマイルプリキュアだから」
これまでメルヘンの大切さを(そうであって欲しいという、それこそメルヘンのような願いを込めて)訴え続けてきた「スマイル」さん。
最後はメルヘンからの卒業。
星空さんは、この1年で本当に成長されました。
星空さん:
「プリキュア・スマイルチャージ」
スマイルなんて浮かべられる状況ではない。
だからこそ言う。「スマイル」を「チャージ」と。
その先に絶望があると分かっていても、だからこそ笑え。
変身再起動。そして小細工なしで、再度の大砲発射。
というか限りある電力で動いてるんです。
悠長にやってる時間はない。輝け!スマイルプリキュア!
全力でぶちかました結果、大砲が星空さん化。
ペガサスやフェニックスのエフェクトと並ぶ星空さん。
彼女がまさしく「メルヘン」を現実で体現した、まさにその瞬間。
もうメルヘンに憧れてる無力な子供じゃない。
メルヘンは、自分だ。これからはメルヘンを与える側。ほんの一瞬だけ、メルヘンが現実に。
平和になった世界。
これまでの激闘が嘘のように、もう一度、今までの生活が戻ってきました。
お好み焼きを作る日野さん、漫画賞の第一歩を踏み出した黄瀬さん、家族に応援される緑川さん、先達と共に道を考える青木さん。
いずれもちょっとずつ、メルヘンを作り出す側に。
そして星空さんも。
かつて挫折した絵本作りを目指されました。
絵本に救われた子が、絵本を守るために戦い、絵本を卒業し、絵本を作る。
そうやって各自がメルヘンから卒業していったなら。
逆説的ですが、メルヘンは意味を持つし、また自分たちのところにやってきてくれる。
曲がり角の先には何があるか分からないし、現実はメルヘンのようにはいかない。
でもそこには新しい一日が待っていて、白紙の未来は輝いている。
「メルヘン」と「現実」、素敵なテーマにありがとうを贈りたい。
「DX3」との類似を言われていますが、最終テーマが「卒業」ならば必然的にそうなってしまうのかなと。
(メルヘンたる「プリキュア」能力と向き合わないと綺麗に収まらない)
今にして思えば、「DX3」は「スイート」文法の「共有体験」で説明ができますね。
表面の表現は同じですが、細かいところは結構違っているというか、大塚監督が「DX3」で伝えたかったことは、どちらかといえば「スマイル」さんに近いんじゃないかなと思ってみる。
【今週の青】
ラストの日常カットでの掛け軸の文言は「蛇の道は蛇」。
なかなかに深い言葉です。
青木さん、一回り成長なされた。
「様々な道があり、様々なプロフェッショナルがいる」を表現した言葉として、確かにそのとおりだけど、いやそれでいいのか感も。。
【今週のバッドエンド】
一時期騒がれた「ジョーカー=ピーターパン」は、ジョーカーさんのラストを見るに、正解だったのかなと。
ピーターパンはネバーランドを脱していないので、バッドエンド王国で最後を迎えるのはさもありなん。
今の星空さんにとって、理想の異性像が誰になるのかは、ちょっと気になります。
ピーターパンとは答えないような気もするし(ピーターはジョーカーだから、とかそんな直接的な意味ではなくて)、逆に全てを分かった上で、だからこそピーターと言いそうな気もする。
【今週の鳥】
なんと特殊ED。読み終わった絵本をパラパラとめくってるような良い読後感。
OP・EDを変えないことに生命をかけてるプリキュアさんには珍しいです。
実に美翔さん時代以来。(美翔さんにしても正確にはEDではない)
[追記]
見返してみたら、美翔さんもちゃんとEDだった…!
なんて子でしょうか、まったく。
【今年のプリキュアさん1】
スマイルさんの最大の問題は、扱ったテーマが、制作サイドと完全に噛み合いすぎたことじゃなかろうか。
以下、現実に存在する方の心境を勝手に慮るという、あまりよろしくないことをしますが、これも感想と言う事でご容赦。
大塚監督はあちこちで言われている通り、「自分が子供の頃に感じたドキドキを伝えたい」が、根っこにあると思われます。
それともう一つ、一昨年の大震災以降でしばしば言われた「フィクションに意味はあるのか」。
毎週「プリキュア」さんはテレビの中で「絶対に諦めない」と叫び、敵を撃破して見せます。
良かった良かった。
やっぱり諦めない心って大事だよね。愛や友情って無敵だよね。希望はいつだってある。
で、津波が来た時、何かの役に立ったのか。
ブラウン管の中のプリキュアさんが、津波を受け止めてくれたりしたんでしょうか。
なまじ真剣に制作し、思いを込めて番組を提供していただけに、このダメージはでかい。
(この影響で、一時期、工藤真由さんも調子を崩されてた)
「現実に役に立たないのに、メルヘンに意味はあるのか」を念頭に置くと、スマイルさんの構成も見える気がします。
お伽噺の世界と大々的に手を組んで何かをするのではなく、あくまで現実とメルヘンは分離している。
メルヘンが主題にあるのに、劇中のメルヘンはとても弱々しい。
テレビシリーズの圧縮リメイクである劇場版を考えると分かりやすいです。
星空さんがCMでおっしゃっていたように「昔、自分たちを助けてくれたメルヘンを、今度は自分たちが助けに行く」。
ニコさんは確かに昔、星空さんを救っているのだけど、現在の時間軸で見ると、助けられるばかりでとても弱い。
構成として非常に美しいことに、劇中の星空さんは、大塚監督ら制作陣であると同時に、視聴者にもなってる。
(ややこしいですが、星空さんは劇中では「メルヘンに助けられた人」ですが、劇外では「メルヘン」側)
かつてメルヘンにドキドキした大塚監督らが、メルヘンは無力ではないことを証明するために「スマイル」さんを作る。
「スマイル」さんを見てドキドキしたお子様が、この気持ちを原動力に厳しい現実に立ち向かう。
この連鎖が起きてくれれば、「プリキュア」は無意味なフィクションじゃないはず。
「後に続く人が現れるかどうか」は、プリキュアさんのシリーズ全体を通じたテーマみたいなものですし。
震災以後、数多の現場で似たようなことを感じた社会人は少なくないはず。
ただこの構図が綺麗にぴたりとハマりすぎていて、最初から終わりが決まっているような予定調和感が出てしまったかなとも思います。
何度か書いてますけど、予定調和そのものは、むしろ「スマイル」さんの売りの一つだと思ってる(OPカットに劇中で到達する等)。
子供だった彼女がメルヘン(つまりは伝説の戦士・プリキュア)に成長する話だったわけで、他シリーズで言う所の第1話の展開。
いわば、長い長い『第1話』が終わり、これから「白紙の未来」が始まっていく。
ラストも提供絵で終わるという徹底ぶり。
ここから本編開始なのが、毎週見てきただけによく分かる。
メタ情報も利用した見事な演出。
…なのですが、結果、「化ける」要素が不足したのかなと。
もちろん他のシリーズだって最初から着地点を見据えた上で制作されてると思いますが、「スマイル」さんはその性質上、従来よりも早い段階で決着(したように見える)。
実際のところ、言いたくても言えなかった、最後の一言があると思うんです。
『プリキュアを見て感動してくれたのなら、現実に戦ってくれ』。
でもこれ、作り手側から言うには難しいですね。。
そういう意味では、ラストシーンは星空さんではなく、「誰か別の子のところにキャンディが降ってくる」が正解だったのかなとも。
(「NewStage」で坂上さんが立ち上がったように)
何にせよ、監督の思いが最もストレートに伝わってきた(と勝手ながら感じた)シリーズでした。
1年間、ありがとうございました。次回にも期待しています。
【今年のプリキュアさん2】
好きだったシーンはいくつもあるけど、あえて一つ挙げるなら。
直近と言う事もあって前回の「キャンディが手を引っ張って、絶望から救う」シーン。
これまで「過去には助けてくれたけど、今は助けを待つばかりのメルヘン」という弱い描写が多かっただけに、「俺たちだって捨てたもんじゃないんだぜ」的な、強い気持ちが嬉しかった。
(「強いメルヘン」の意味では、田舎の河童や、ずっと見守ってくれてたお巡りさんとかも同様)
最後の変身も「自身が壊れてもなお、助けてくれたメルヘン」と思うと、非常にパワフル。
どうも制作サイド様は「プリキュアに助けられている」意識が強いというか、それはとても素敵なことなのだけど、同時にもっと「プリキュア」を助けているという強い気持ちを持たれても良いんじゃないかなと、視聴者としてはそんなことも思う。
[追記]
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スマイルさん感想:追記&紹介
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スマイルさん感想:追記その2