穴にハマったアリスたち

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(第46話/最終回)トロピカル~ジュ!プリキュア「トロピカれ!わたしたちの今!」感想

2022年01月30日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第46話/最終回)トロピカル~ジュ!プリキュア「トロピカれ!わたしたちの今!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第46話より)

記憶を消して女王になるか、夢を捨てて地上に残るか。
ローラが出した答えは「女王になる」でした。

己の本質は貫き通す。描かれてしまえば明白な選択だった。「プリキュア」シリーズとし見ても、ローラが夢を捨てる展開はなかった。

トロフェスのお芝居はこれまでの彼女たちの足跡を忠実に盛り込んでいます。ラストシーンも変更し、現実通りのお別れエンドに。
記憶が消えても芝居は残る。これを見ればローラのことを忘れてしまっても、彼女たちの物語は残る。
シャンティアのシャロン王女の歌と同じ流れです。完璧な大団円ではなくとも、できうる範囲で想いは残している。

これだけでも納得のいく綺麗な終わり方でしたが、「結果的に」乗り越えてきました。

太古の人魚さんが開発した記憶消去システムの性能は凄まじく、物理痕跡や電子媒体まで根こそぎ消えていきました。明確に描写はされていないものの、お芝居のシナリオも消えてたんじゃなかろうか。身も蓋もなさすぎる。

だけどグランオーシャンの机に書かれた落書きは、なぜか残りました。『魔女の屋敷にいけ』。
これは「グランオーシャンの物理痕跡は消去対象から漏れていた不具合」なのかは不明。個人的には「消さなければいけない事が多すぎて、システムの限界に達して消し残った」を推したい。

ローラは大勢の観客に人魚の尾びれを晒しました。彼女が今一番やりたいことが、それだったから。
お芝居のシナリオも、たくさんのシャボンピクチャや写真も、でかいメロンパンクッションや何やらも、彼女がそれをやりたかったからやった。
その結果、消さねばならない事柄が大量に溢れた。そして消しきれず、たまたま机の落書きは生き残った。きっかけがあれば記憶が蘇り、抑えきれずに装置も暴発した。

もしかしたらローラは、この飽和攻撃を狙って尾びれを公開したのかもしれない。痕跡を残しまくれば、記憶復活の可能性も上がりそうです。
ただトロプリの「計画して動くのではなく、今一番やりたいことをやる。その結果として目的が実現する」の精神を思うと、打算ではなく結果論だと思いたい。
落書きそのものは計画的でも、これが残ったのは「今一番やりたいこと」の結果論。

トロピカる部設立の12話で出てきた、卒業生とペンギン像にも通じます。
卒業すれば色々と失われたり疎遠にもなる。でもペンギン像を介してまた思い出して集まれる。

一歩間違えれば、あとまわしの魔女様と同じ展開になりかねなかったのも胸にきます。
残念ながら落書きも消えてしまい、数百年後にたまたま魔女の屋敷にいったときに、たまたま記憶を聞かされるような展開もありえました。
もしそうなったら手遅れを嘆き、それこそ思い出さなければ良かったと苦しむかもしれない。魔女様のように。(そしてサマーさんがオアシスさんの如く亡霊と化し、最終的に踊り狂ったりするんだ)

あるいは「魔女の屋敷にいく」を後回しにしても起こりえます。女王候補として忙しいんだから、この選択も大いにありえた。魔女の屋敷に行く合理的な理由はない。
屋敷までは行ったとしても、元幹部らの説明を信じないこともありえる。信じたとしても重要視せず、「へぇそうなんだ」で流して地上に行くのは後回しにするのもありえる。
重要視しすぎて女王様に相談し、再び別室送りもありえます。
この策は、記憶を失ったローラがそれでもなお「今一番やりたいこと」をブレずにやり抜き、地上に直行することを前提にしています。策というか、未来の自分にジャッジを委ねたとも。

元あとまわし勢が、それほど詳しくは情報を伝えなかったのもさりげなく良いですね。似顔絵の一つも描いて渡しそうなところ、そんなことはしていません。
彼らの「やる気がない」性格にも合致します。いきなり善人化して全面協力してくれたのではない。
そしてそこから推察するに「地上に行け」と強く勧めたのでもないんでしょう。地上に確認に行ったのは、おそらくはローラの自発的な意思。何となくここは大事な気がする。

「魔女の屋敷に大事なものを取りに行く」のは、アンデルセンの「人魚姫」オマージュとしても面白いです。
あの人魚姫がやるべきは、王子を殺すか泡になるかの二択ではなく、声を返してもらい尾びれに戻ることだったのかもしれない。原作ではクーリングオフ禁止だったかもしれませんが、まぁそれはともかくとして。

「今一番やりたいことを目的も計画も定めずにやる」という通常とは因果が逆転した動きをするシリーズなのに、結果的に「最終回の一大イベントを、数話かけてじっくり準備する」構成の妙。一つ一つは行き当たりばったりなのに収束した。たぶん決着が最初にあって、そこからお話が作られたのかしら。

16年以降のシリーズに色濃い「何かを切り捨てても先に進む」の精神も一貫してて爽快です。
ローラはうじうじと悩まないし、女王様も「本当は記憶は消えない。試しただけ」とかではない。
先ほど少し触れましたが、構造は「卒業して離れ離れ」と同じですから、ずっとそこに居続けるのはおかしいのでしょう。
ローラ以外の面々も、やっぱりそれぞれどこかに旅立っていく。飛鳥先輩はもとより、みのりん先輩とかも(明言はされていませんが)文芸部に比重を移したりしたんじゃなかろうか。

ただそうすると夏海さんが最後まで謎存在ですね。「夏海さんの元に一時的に集まり、トロピカる精神を培ってそれぞれの道に戻る」の構造だと思うのですけど、では夏海さん自身は何なんだろう?
あの夢原さんですら「教師になる」と夢を持ったのに、夏海さんは具体的な何かはありません。

今回、久々の「未来を描かない」エンドだったこともあり、彼女がどうなったのか不明。
サマーさんはマルチカラープリキュアですし、意図的に具体性を排したのかもしれない。もはや人間ではなく概念存在か何かな気がしてきた。

今作は久々に全話感想を書くほど熱く観ていました。人魚さんは素晴らしい。そして人魚をきっちり活かして魅せてきたのが本当に素晴らしい。
以前にも書きましたが(第17話 初変身回)、「プリキュア」としてだけでなく「マーメイドもの」としても評価されて良いと思う。人魚の研究本にディズニーの「リトル・マーメイド」が引用されるように、現代の人魚考として「トロピカル~ジュ!プリキュア」が扱われる日も来ないかしら。
以前のまほプリ(魔法学校もの)やハグプリ(時間SFもの)もそうですが、プリキュアの枠を気持ちよく超えた感。

とても素晴らしい1年でした。ありがとうございます。
次のデパプリさんも楽しみです。

【蛇足】
些細な疑問なのですが、バトラーのやる気は何故ああいう消え方をしたんだろう?
てっきり最終回のエクストラバトルに絡むのかと思いきや、特にはなし。

「みんなのやる気が戻ったらバトラーも復活するのでは?」を解消するために消し去ったんだろうとは思いますが、女王様が「預かる」と一旦発言したのが謎です。
この1カットは展開上は不要で、サマーが「これどうしよう」といった後に消える…で問題なかったはず。それ以前に、戻っていく他の方々のやる気の中で、バトラーのだけ静かに消滅…でも良いです。
わざわざ尺を割きテンポも落としてまで何故「サマーが悩む→女王様が預かる発言→消える」の手順を踏んだんだろう?

「尺を切り詰める必要がなかった」+「バトラーのやる気が消えることを強調したかった」のかなと思いますが、こじつければテーマ的なものが見えるかもしれない。

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(第45話)トロピカル~ジュ!プリキュア「やる気大決戦!輝け!トロピカルパラダイス!」感想

2022年01月23日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第45話)トロピカル~ジュ!プリキュア「やる気大決戦!輝け!トロピカルパラダイス!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第45話より)

最終決戦を制し、めでたくグランオーシャンは復活なされました。
幾つか気になった点を特筆したい。

(1) みのりん先輩の光る眼

これまで抜群の有用性を見せていた怪光線が、海溝の底でも役立ちました。光る。明るい。周りが見える。
「こんな使い方もあったんだな…」とは正にその通りで、悪質な目つぶし以外にこんな使い方もありました。

トロプリさんは「目的や計画を明確にして進める」ことを否定し、「今一番やりたいことをやる」を重視しています。
「今一番やりたいこと」をやり続けたら、結果として目的を達成した(後からそれが目的だったと分かった)の精神。

ローラに足が生えたのは、足を生やしたかったからではなくプリキュアになったから。
プリキュアになったのも、プリキュアになりたかったからではなく、仲間を助けようとしたら結果としてプリキュアになった。

「プリキュアになってみんなを助けたい!」でも「足があれば救えるのに!」でもない。結果としてプリキュアになり、結果として足が生えただけ。
今回のみのりん先輩の光線と同じく、「あ、プリキュア(足が生える)って散歩とかにも使えるんだ」のノリです。

考えてみれば、足が生えるのもプリキュア能力の内であれば、ローラは日常生活にプリキュア能力を転用しまくってたのか。
これまでのシリーズでいえば、マリンのお掃除やピーチらのプリクラ等ぐらいなわけで、かなり特徴的です。

みのりん先輩の光線も、元は攻撃技でもこんな使い方もあった。「今一番やりたいこと」をやっていたら、結果として他の何かの役にも立った。
絵面はなかなかシュールですが、トロプリの精神を端的に表したシーンだと思います。

(2) 女王かトロフェスか

ごたごたも片付いていよいよ明日は卒業イベント。そしてそのタイミングでグランオーシャンの復興イベントも予定され、ローラはどちらに出るかの選択を迫られる。
人間としてやっていきたいならそれも良し。戻るのであれば女王の座が現実的に。

女王様としては最大限の譲歩であり、功を労っているのでしょう。
本来なら問答無用に連れ帰り記憶消去の刑のところを、地上に残る選択を提示している。その上で、ローラが覚悟を決めて戻るのであれば、その意を汲んで女王の資格ありとして擁立する。「一日ずらせばよい」といったことではなく、ローラを労いつつ覚悟を問う選択です。

アンデルセンの「人魚姫」の「王子を殺すか、泡になるか」の二択。他アニメの例で恐縮ですが、「ぴちぴちピッチ」でも同種の「復興イベントかお友達とのパーティか」を問う二択があります。
人魚姫とは切っても切れない「己の本質としてどちらを選ぶか」。そして「己の本質を決定するには、もう一つの大事なものを捨てねばならないのか」。

破壊の魔女様は、己の「破壊」という本質を否定して消滅した。シャンティアのシャロン王女には、大事な王国を取り戻す選択肢が実はなかった。
ではローラはどうするのか。

魔女様パターンだと、海を選ぶとプリキュア能力を、陸を選ぶと人魚の姿を本質の否定により失いそう。故に「人魚はプリキュアになれない」とも。
シャロンパターンだと、ローラはいなくなったが歌(やプリキュアとしての功績等)は残ったの流れでしょうか。

かなり重要な問題が最終回まで残っており、次回はのんびり後日談ともいかなさそう。
バトラーの消えたやる気絡みで変身→ついでにデパプリお披露目かなと思うのですが、その過程で何か提示されるのかも。

バトラーの願い「破壊」をどう処理するかも、魔女様のバッドエンドのもう一つの未来になりそう。
ローラの事例に転用できるかはともかく、破壊が本質だとしても解体現場とか廃棄場で頑張るとか、道はあったかもしれないんですよね…。それで魔女様の本能が満足するかは分かりませんが。

なおエルダたちも「改心した」「反省した」のではなく、「手段に誤解があったので取りやめた」だけです。お互いの価値観に踏み込まないまま解決に至ったのは今までに例がないかも。
今回の共闘も、思いが通じ合ったとかではない。故に「復興に協力して罪をつぐなう」的な発想には(次回描かれるかもしれませんが、今の段階では)なっていません。

みのりん先輩が台本を「そしてみんなで仲良く暮らしました」エンドにしたのも布石っぽい?
悩んでいた割にあっさりすぎるので、何かがありそう。

(3) 愚者の棺

真の黒幕的なものが封印されているのではなく、破壊装置だったようです。

「愚者」の棺に「やる気」を貯めると破壊が起きるのは、いわゆる「無能の働きものが一番困る」的なやつでしょうか。言い換えると「愚者が今一番やりたいことをやると悲惨な結果になる」とも。
それとも「やる気」を「棺」に入れるのは「愚者」のすることだ、やる気を葬ってしまうと悲惨な結果=破壊が起きる、の意味でしょうか。

ニュアンスがだいぶ違いますが、どちらなのか(もしくは他の何かなのか)。次回に最後のひと騒動があれば、何か分かるかもしれない。

(4) 伝説のプリキュア様

オアシスさんは愉快な人でした。やっぱり一人で「おめかしアップ♪」とかやったり、今回の羽根つき衣装も多分上位フォームなんだと思う。
コミカルなゾウやシャークの元の召喚主ですし、魔女様を恐れず交流してましたし、一人で戦い抜くタフなメンタルの娘さんですから、あれが本来の性格なんだろうな。今までが「伝説のプリキュア」とか呼ばれておすまししていただけで。数百年後にはサマーさんも良い子な顔して現れて、最終決戦で唖然とさせたりするんでしょう。

話がそれますけど、プリキュアシリーズが200年300年と続けば、「実はサマーはこんな子」ギミックはリアルに使えますね。
現実にアンデルセンの「人魚姫」は200年前に作られた物語ですし、なくはないのか。視聴できないのが残念です。

今回の決戦でオアシスさんが現れたということは、魔女様もどこかに残っていたりするのかしら。
もし次回現れたりしたら上記(2)に直結するし、その現れた原因が「そんな使い方もあったんだ」的な復活なら(1)にもつながります。

最終決戦が終わっているのに、まだ未解決のテーマが残っているのは熱いです。目的のために手段を集めるのではなく、集まった手段が結果的に解決になるトロプリさんの最後のお話に期待が高まります。

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(第44話)トロピカル~ジュ!プリキュア「魔女の一番大事なこと」感想

2022年01月17日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第44話)トロピカル~ジュ!プリキュア「魔女の一番大事なこと」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第44話より)

壮大なるあとまわしの末に、とうとう全容が見えてきました。
あとまわしの魔女様は破壊が本能。だけど傷つき倒れたところで出会った娘さんとの交流が心残りで、破壊をあとまわしにし続けた。故にあとまわしの魔女。

物語として切なくて納得はいくのですが、構成が少しややこしい。

まず、魔女様は「破壊や決着」をあとまわしにした。これは現実を考えても「正しい」選択に思えます。解決不能な問題を棚上げにし、自然解消を目指すのはままある。
ですが、

(1) 夏海さんは「あとまわしにしたのは(破壊ではなく)仲良しになることだ」と明言している
(2) 結果的にキュアオアシスに完勝してしまった

この二つを思うと「魔女様の切ない物語」で済ませられない気がする。

厄介なことに魔女様の存在理由は「破壊」です。理由は分からんが、そういう生き物なので善悪ではない。したがって「破壊は悪いことだからやめよう」「うむ、分かった」は多様性の否定になってしまう。実際、そこには踏み込んでいない。

魔女様は自身の存在を否定しないためのギリギリの選択として、あとまわしを選んだ。しかし夏海さんは「仲良くなること」をあとまわしにしたといっている。

ではオアシスさんと握手すれば解決していたんだろうか…?
精々オアシスさんが心残りなく天寿を全うできたぐらいで、結果は「破壊のあとまわし」に落ち着くような気がします。破壊は魔女様の存在理由なので、「仲良くなったら破壊をやめる」は起きないはず。そしてその場合、オアシスさんが成仏してしまってるので今回ラストのような展開にならず、魔女様は悶々とあとまわしを続ける羽目になりそう。

ただそうすると、今回は何で消えていったんだろう。なんとなく老衰とかそんなのかとも思ったのですが、「破壊は存在理由だからやめられない」ではなく「存在理由たる破壊をやめたから消滅した」が正なのかも。

アンデルセンの「人魚姫」が王子の刺殺を断念して死を選んだように、魔女様も本質である破壊を放棄し泡となるのを選んだ。
経緯としては納得はいきますが、「悲恋」(魔女様の消滅)を回避できなかったのは良いんだろうか…?「今一番大事なこと」に「自死」を含めてしまうのは非常に危険に思えます。

古典的な「人魚姫」やディズニーの「リトル・マーメイド」は、犠牲を払わないと受け入れてもらえない世界観が問題視されています。
ローラに足が生えたエピソードでは令和らしい解決を見せてくれたと感動していたのですが(ローラ初変身時の感想)、ここにきて自己犠牲・自己否定による解決が浮上してきました。

シャンティアの事例とも似ているといえば似ていますが、あちらはシャロン王女の想いが何であれ力尽きるのは止められない。王女の「笑顔があふれる国にしたかった」も否定されてはいません。むしろ肯定されている。

プリキュアの秋映画はその年のテーマを圧縮した内容になっていると思っていて、今回も「今一番大事なこと」が凄く響いていました。(映画の感想
でも「人魚」(ローラの変身事例)とは私の中で上手くリンクできてなかった。今回の魔女様、ローラの変身、シャンティア王女の3つを比較すると何かが見えてくるのかも。
「今一番大事なこと」をやっていれば本心が分かる…の面がありそうなので、「あとまわし(今一番大事なこと)を続けた結果、真のやりたいことに気づけた」とか?

まだ「なぜ人間との記憶を消さないといけないのか」が解決していないので、もう一回転あるのかしら。
バトラーとの決着も、爆殺して終わりとは思いづらいので何かありそう。期待したい。

【蛇足】

①回想シーンで出てきた昔の戦いは、雰囲気的に18世紀~19世紀っぽいです。ちなみに「人魚姫」のアンデルセンは19世紀生まれ。
この時のことをローラは「数百年前」と表現しています。「数百」は私の感覚では4~600ぐらいを指すイメージなのですが、そうするとトロプリは23世紀とかだったりするんだろうか。「ハグプリ」の2030年という厄介な問題があるせいで、時系列は気になります。いや辞書的には普通に200~300も意味するようなので、揚げ足にもならないような話なんですけれど。

②伝説のプリキュア様はキュアオアシス、本名はアウネーテ。アンデルセン「人魚姫」の元ネタの登場人物の名前だとか。
サマーさんたちに名を尋ねられ「キュアオアシス」と名乗っていましたが、「アウネーテ」と名乗った方が、みのりん先輩あたりは色めき立ったんじゃなかろうか。

そのオアシスさんはゾウやサメを召喚して戦っていたようで、現代のサマー達とほぼ同じ武装だったらしい。オアシスさんもやっぱり「おめかしアップ♪」とかやってたんだろうか、一人で。
先代プリキュアが全く同じギミックを使うのは何気に新鮮です。パリのキュアアンジェがオーケストラさんを呼び出したり、ミラージュ様がかわルンルンしたり…は設定的に無理そうだものな。

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(第43話)トロピカル~ジュ!プリキュア「潜り込め!深海の魔女やしき!」感想

2022年01月09日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第43話)トロピカル~ジュ!プリキュア「潜り込め!深海の魔女やしき!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第43話より)

年末ラストにクジラに飲み込まれた夏海さん、あとまわし勢には捕まえた意識はなく、ただの事故だったようです。
「年末年始を胃の中で過ごすとは不憫な」と思ってましたが、年末年始を胃に変なモノを入れたままだったクジラの方が気の毒だった。

結果的に敵地侵入を果たした夏海さんを追いかけて、他の面々も魔女様の屋敷へ。場所は判明しています。先日ローラが連れていかれたので。じゃあ何か、ローラは本拠を知っていながら今まで放置していたのか。
ローラの目的はグランオーシャンの復興で、グランオーシャンのやる気パワーは多分あとまわしの本拠にありますから、所在が分かった時点で急襲して然るべきなはず。何で今の今まであとまわしにしてきたんだろう…。

あとまわしといえば、これまで思わせぶりなことばかり言ってきていた伝説のプリキュア様。女王様には真相を話していたようで、それがようやくローラに伝わりました。私たちは一体何と戦っているのか。根本に関わる謎がようやく解けそうですが、視聴者の我々にはまだおあずけ。この「あとまわし」っぷりも、メタ的な演出なのかしら…。

とりあえず伝説様が助けたのは、若かりし頃の魔女様だったようです。女王様の件とは時代が違うんだろうか。やっぱり当時の敵はまだ登場せぬ第三者で、伝説様を助けた人魚が魔女様?

魔女様は人間との記憶を消されたので忘れていると思われますが、では何をあとまわしにしているのか。多分、伝説様との約束とか何とかに関わることなんでしょうけど、現状ではどうとも予想のしようがないです。生物所以の不可避の破綻を先送りにしたいとか、そんなの?ジョージと仲良くなれそう。

トロプリさんは「計画性」を否定するテーマ性を反映してか、ここまで来てまだ情報がほとんど出てこない。あと数週でちゃんと着地するんだろうか。

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「なないろメモリー」(優莉)に投票した理由:マーメイドメロディーぴちぴちピッチ 公式イメージソングコンテスト

2022年01月05日 | マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ
ぴちぴちピッチの新イメージソングのリスナー投票開催中です。
コンテスト公式サイト】(1月17日まで)

悩んだ末に、「なないろメモリー」(優莉)に投票することにしました。
参考:[ご本人様による曲の記事]

投票数はもちろんとしても、「なぜその曲に投票したのか」は最終審査の前に大事な気がするので、今の素直な気持ちを残してみる。

最初に聞いたとき直感的に「一番ぴっちらしいな」と感じました。
仮に「aqua」のアニメ化がされたとして、OPの映像が目に浮かんだ。特に二回目のサビのところ。るちあさん(もしくは、るきあさん)が歌う映像が凄くイメージできる。

理由を考えてみたのですけど、多分「ぴっち」のイメージソングになっているからだと思う。
アンデルセンの「人魚姫」や一般的な恋物語ではなく、あくまで「ぴっち」。この差は力説したい。

例えば歌詞の『七色のSea! 伝えるのステージで』。
意外に盲点だったのか、アイドル要素を織り込んだ曲は他にほとんど無かったように思えます。
「小さいころから大好きで、作曲にあたりアニメも見返した」そうで、確かにそれが効いています。表面的にしか「ぴっち」を知らなかったら、この歌詞は出てこない。逆に力が入りすぎていても(ある意味、格好つけづらい要素なので)抜け落ちてしまいそう。

曲名の「なないろ」も上手いです。一般には「なないろ」といえば「虹」ですが、私らにとっては「海」や「真珠」。
今まで意識しませんでしたが、「なないろ」って地味に「ぴっち」専門用語なんですね…。そういえば「Rainbow Notes♪」も同じギミックを使ってます。

あと狙ったのかどうか分かりませんが、「七色のSea」は音で聞くと「七色の詩」にも聞こえる。その後に続くのが「伝えるのステージで」なので、「詩」ではなく「Sea」だとむしろ一般論で言えば意味不明。ですが一般論では意味不明でも、私らは違和感なく納得できてしまう。海は七色です。風も七色。それをステージで伝えることの何に疑問が?
無論「七色の詩」でも全く問題なく意味が通じるので、ダブルミーニングになってる気がする。

海要素が「Sea」と「波」しかないのも思い切ってます。
しかも「Sea」は前述のとおり「詩」にも聞こえるので上手くボカされ、「波」は文脈から必ずしも海のそれとは繋がっていません。
それでいてちゃんと「ぴっち」になっている。実際、前作の曲も海要素がダイレクトに入っている曲って意外に少ないんですよね。

「ぴっち」要素を突き詰めていくと、「人魚」や「海」に関連するワードが抜けていく不思議。それでいて確かに「人魚」や「海」を連想できる。病的な境地。でも大事だと思う。
特徴的なワードばかりだと「ぴっち」を知らない人には取っつきにくくなり、間口が狭まってしまう。あまりに汎用的すぎると「ぴっち」ファンには物足りなくなる。
この両立です。「ぴっち」を知ってる人も知らない人も楽しめるのは、イメージソングとして重要です。

端々にある「再会」「未来」要素も嬉しいです。『また出逢おうステージで』『未来の私、伝えたいステージで』とか。
歌詞に合わせて、ステージで熱唱するるちあさん(もしくは、るきあさん)の映像が目に浮かぶ…。

『ずっと歌い続ける』等も、前作でも何度か出てきたフレーズですが、今こうして新イメージソング候補として聞くと違う重みがありますね…。るちあさんたちには歌い続けていて欲しい、本当に。

また上記のような昔ながらのファンの視点を除外し、新規ファンの視点および掲載済の「aqua」のみで考えても成立しているお歌だと思います。
懐古的に前作をなぞっているのではなく、るきあや黒砂くんの今後の「旅」、あるいはるきあとるちあの母娘の「旅」とイメージが広がります(別記事でも少し触れました)。

まぁ悪く言うなら今後の「aqua」の予想外の展開予測的なものは入っていないとも言えるのですが、「aqua」がまだ始まったばかりなのでこれはもうどうしようもないような…。
もしもこのコンテストが「ピュア」の直後の2005年に開催されていたなら、「新展開を期待したい」の意味で別の曲を選んでいたかもしれない。
ただ空白の17年を経て、全くの新規読者もいる中での「第三期」ですから、まずは「ぴっち」の根底イメージを描いて欲しい。

これまでの「ぴっち」をリスペクトしつつ、再会と未来を歌っているのがとても好きです。17年ぶりの再会と、そして第三期、願わくば第四期へと続く広がり。
1曲にあんまり前のめりになりすぎると、他の曲に決まった時に頭の切り替えに迷ってしまいそうですけど、今は素直に応援したいです。

なないろメモリー(投票ページ)


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マーメイドメロディーぴちぴちピッチ 公式イメージソングコンテスト(感想)

2022年01月02日 | マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ
「ぴちぴちピッチ」の新しいイメージソングのリスナー投票が開催中です。
このあと最終選考があるようなので、投票数だけでなく「なぜそれを推すのか」を意思表示するのも大事かと思い、ちょっと書いてみる。

コンテスト公式サイト

私の「ぴっち」観としては「生物種レベルの愛と孤独、それを受け止める母なる海」。
沙羅やガイト、ミケルやミカル、BBSやDLやみつかいたち、かれんやノエル、他皆々様の根底に孤独とそれ故に求める愛がある。男女間の愛ではなく、もっと広い生物としての物。場合によっては男女間の愛が報われないこともあるが、それを超えた生物としての愛。その象徴としての歌。
進化の過程で海を旅立ち孤独と戦う私たちと、それを見守ってくれる海。それが「ぴっち」だと思ってる。

過去のお歌の歌詞から引用すると…

●「太陽の楽園~Promised Land~」
『大きな旅に出よう 太陽と風の彼方へ きっと地図にはない 楽園のドアを開いて』
『悲しみの雨が続く そんな日も泳ぎ続ける ずっと胸の奥で信じてきたんだ 自分を』

●「Rainbow Notes♪」
『虹色の朝が来たら 光の地図を広げよう』
『はじめての別れは涙が止まらなかった』
『服を着替えて 君をむかえにいくよ 地球は愛と希望の歌があふれるワンダーランド』

●「Before the Moment」
『わたしはわたしのままの強さを信じていたい。大丈夫、間違ってない』
『いちばん好きだから いちばんの勇気になろう。旅立つ朝の静寂 自分とのあの約束』

●「Legend of Mermaid」
『誰もがいつかはここを旅立つ日が来ても 私は忘れない』

意外にも「人魚」のような特徴的なワードは使われず、「旅」「自分を信じる」等がキーフレーズになっています。
これらを念頭に、特に気になった4曲の感想を書いてみる。それぞれを勝手に一言でいうなら「ぴっちのイメージ」「17年後の視聴者」「aquaの今後の展開」「令和のぴっち」を感じます。
※応募者様に失礼な表現をしていたら申し訳ありません。

■「なないろメモリー」(優莉)
「ぴっちのイメージソング」として一番ストレートだと思う。

『約束は今も覚えているの』『絡み合うふたりの旅路』『大丈夫、絶対届けるから』
『争いは今も続いているの』『未来の私、伝えたいステージで。この思い、希望を忘れないように」

「ぴっち」の基本イメージをそのままに、あの最終回の後を想起します。
前作OPで象徴的だった歌詞『悲しみの雨が続く そんな日も泳ぎ続ける』は一人で泳いでいたイメージですが、このお歌だと『ふたり』になっている。
花森ぴんくさんもインタビューで「母と娘の物語」と語っていたことから、この広げ方はかなりしっくりきます。

あと何気に「アイドル」要素を織り込んだ数少ない曲でした。
「人魚姫」(特にアンデルセンの)ではなく「ぴっち」なので、確かにその要素がないと寂しい気がする。

その意味だと曲名にもなっている「なないろ」もそうです。一般には七色といえば「虹」ですが、ぴっち脳の我々は「七色の真珠や人魚」と「七つの海」を連想します。以前のOP「Rainbow Notes♪」と同じ手法。直接に「人魚」や「海」と歌わなくても、「なないろ」と聞けばそれらを思い起こす。
聴く人が聴くと「ぴっち」色が増す…というのはポイント高いと思う。

[追記] 詳細を別記事に書きました。

■「HOLY MERMAID」(ゆきね)
あれから17年がたった、にフォーカスを当てるならこの曲だと思う。

『大きな旅に出たの』『潮風に吹かれて思い出す。懐かしい歌声』
『大人になっても追い続けていたい』『ずっと憧れていた大人になれたのかな』
『あの日の彼女たちがいう。大好きを諦めないでと』『私たちがヒロイン』

「ぴちぴちピッチ」というより「それを見ていた私たち」のお歌。
募集要項にも「世界観を広げる」「元々の読者が今はオトナ女子になっている」ことを意識して欲しいとあり、条件に合います。
歌詞選びも前作へのリスペクトを感じます。

■「The Island」(マイケストラ)
上二つとは少し雰囲気が違い、「これまでのぴっち」というより「これからのぴっち」の印象。

『僕らは20歳になって何もかもすべて捨て去って 切ない気持ちの思い出 少し残して 僕らだけのアイランド』
『知らない日々に飛び込んで いつかどこかで会った君の元まで』

海から離れて旅に出て、また海に戻ってくる…のが前回までの話だとして、そこからまた違うどこかに行くイメージです。
「僕らだけの」をそのまま受け止めるなら、るきあさんが黒砂くんと共に海を離れていく。
これまでの「ぴっち」では起こりづらい展開ですが、生物はそうやって進化してきたのですから新時代の「ぴっち」としてありえるのかもしれない。
ただ元々「ぴっち」を意識して作られたのではない(?)のか、「僕」等の歌詞や雰囲気が「ぴっち」からずれているのは残念。

■「Blue Resonance」(水湊いづき)
この曲を「ぴっち」のイメージソングとして提出したのは相当に思い切ってると思う。
歌手の方は「Before the Moment」のカバー曲も出されているそうですから、「ぴっち」を知らなかったのでもない。

『奇跡のように絡み合う時を回した歯車』『打ち砕かれた粉々な幻想』
『真珠のように小さな輝きが はかなく淡い波に溶けるなら』
『歌声は闇をくじくように』『凍てつく心にささやかな祈りを届けて』『張り詰めたままの孤独が怖くて』

歌詞から想起される展開は、何らかの現実に直面してかつての幻想を捨てざるをえなかった るちあさん、とかでしょうか。もはや真珠すら切り札ではない。でもそんな絶望的な孤独の中でもお歌は響く、といったような。かつての「ぴちぴちピッチ」を良い意味で壊し、新しい時代に進むという意味では気になります。

「大人になった今、幻想が通じない」は「プリキュア」や「どれみ」などでも扱われており、悪く言えばパターン。「ぴっち」でそれを見たいのかどうかは自分でもよく分かりません。「母なる海」としてどっしりと構えていて欲しいとも思うし、でも「ピュア」も当初は連戦連敗の展開から始まったなとか悩みます。

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