穴にハマったアリスたち

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(第45話/最終回)デリシャスパーティ♡プリキュア「デリシャスマイル~! みんなあつまれ!いただきます!!」感想

2023年01月29日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第45話/最終回)デリシャスパーティ♡プリキュア「デリシャスマイル~! みんなあつまれ!いただきます!!」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第45話より)

【1】
フェンネルさんの返答やいかに…と待った1週間でしたが、彼から具体的な語りはありませんでした。
なので思い込みを先行させながら、考えてみる。

彼の願い「ジンジャーの愛を独占したい」は叶わない。愛は無限であるが故に、その全てを一人では受けきれません。
和実さんのお祖母ちゃんが街中から愛されていたように、親が遠くで働いているように、愛そのものは無限でも、個人が受け取る量は減ってしまう。
でも独占して受け取っていないからといって、愛まで制限がかかってると思うのは間違い。

39話の「娘のために手作り料理を頑張る父」も、綺麗ごとで言うなら全リソースを調理に注ぎ込むのが「正しい子を愛する姿」とも言えますが、それでは実際の生活は回らない。適宜「手を抜く」(手料理以外にリソースを使う)としても、愛まで減ったわけではない。

①ある特定の料理ーースペシャルデリシャストーン
②レシピーースペシャルデリシャストーンの製法
③調理者の愛ーージンジャーの愛

この構成で考えて見ると、①は有限。③は無限。②は先達から引き継いで、時代に合わせ発展させる(和実さんのスポーツ少女、おでん少年の回参照)。

①を独占できないことを理由に、フェンネルさんは③を疑った。
そして②を奪い、①ごと独占を図ったのですが、これは果たせない。③が無限なので②は苦しみながらも生まれ続け、①もなくならないから。

フェンネルは②の継承に成功しているのだから、そこをもっと重視すればよかった。
彼が作る①は、ジンジャーさんのそれとは違っています。ただ、正しく運用してさえいれば、劣化版ではなく「ジンジャーの想いを受け継いで、今に合わせてより良くした」のであり、ジンジャーが望んでいた形でしょう。和実さんがお祖母ちゃんの言葉の丸コピーから脱して、自分の考えを込めだしたように。

【2】
別の視点でいうと、仮に①をフェンネルが独占的に継承していた場合、②の取得には至らなかったかもしれない。作る必要性がなく、満たされてるんだから。
あるいは、ジンジャーの愛は無限なのだから結局は独占できず満たされないのか。

ナルシストルーやセクレトルー、和実さん以外のプリキュアの面々も、同様の文脈で考えられると思う。
ケーキのシーンを見るに、ナルシストルーは小麦アレルギーを持っていそうで、①「ケーキ」そのものは食べられない。
そこで③まで疑って嫉むのではなく、「ケーキ」の独占は無理だと認めて、②「レシピ」を工夫し、アレルゲン除去した①「ケーキ」を作る。その方向を目指すのが前向きだったと思われます。

セクレトルーは逆方向からで、③は十分にあるが②を実現するスキルがなく、①が不完全になり、それが許せない。①が不完全だと、彼女的には③も疑わしくなってしまう。
②は本来はただの手段(であると同時に個々の手段には思いが込められている)ですから、自炊が苦手ならテイクアウトでも良かった。図らずもジェントルーが負け戦後にやっていたことは正解だった。

【3】
映画の重要ワードである「お子様ランチ」でいえば、「ハンバーグが大好きだからとハンバーグを独占してそれだけを食べてたら、おなか一杯になってしまって他のものが入らず、ハンバーグも結局は全部は食べきれない」とか。
スペシャルデリシャストーンを独占して継承していたら、それ以外のジンジャーの愛を受け取る余裕がなくなり、製法の会得もできなかったかもしれない。
だからお子様ランチのように、色々な種類をたくさん食べる。子供っぽいかもしれないけれど、そうやって土台を作る。

作り手の想いの方にフォーカスすると、ド派手なお子様ランチとは真逆ともいえる「おむすび」になるのかな。
料理としては超シンプル。だからこそ、作り手の想いが直接的。手で作り、手で食べるので温かさが伝わりやすい。

マリちゃんの孤立結界はどう解釈すればいいのかしら。
「一人で戦おうとするマリちゃんの元に、壁を突破して和実さんが駆けつける」から始まったので、「街の人たちと一緒に戦う展開の前振り」とも予想していたのですが、違ったっぽい。「結界の中で戦うプリキュアたちが大ピンチ⇒街の人たちの声援が壁を越えて届く」みたいなのではなく、壁を無効化したのはブンドル団側でした。

ただ「プリキュアたちが孤立した環境でピンチ⇒みんなの応援(招き猫)が届く」ではあったんだよな。
「明白な壁がなくても我々は孤立している。しかし声援は届く」とか、「良かれと思ってやっていた壁が不本意に消失したが、結果的にそのおかげで声援が届いた」とか?

ラストの別れの言葉からも、マリちゃんはかなり抱え込むタイプと伺えます。「抱え込む」のは言い換えると「悩みを独占する」。フェンネルと構造は似ています。それならば後者かな。
「民間人の娘さんらが突入してきてプリキュアになった」時点で、申し訳なく思うのではなく、「そうか、孤立せず皆で協力して戦うのが良いのでは」と結界戦術を破棄していれば、もっと早く解決したのかもしれない。というかもしかして、結界を張っていたせいで蓄積装置が危機を感知できず、発動が遅れたんじゃ…?

今作は噛めば噛むほど味が出る構成になってる気がします。
私が上手く言語化できないだけかもしれないですけど、ビシッと明確な1本のテーマがあるというより、味が染みこんだような感じというか。
1年間、ありがとうございました。

【20周年】
「プリキュアは初期視聴者の年齢とテーマがリンクしている」説に則ると、今作は20代半ば。新社会人からの脱皮を目指すあたり。

直面する課題として考えられるのは、時間や体力気力の制約で、一つのことに打ち込めない/一つのことを独占できない等。
交友関係が疎かになったり、自分ひとりで回せる仕事量を超えたりとか。
学生時代なら毎週デートしていたのが、月一になったり、たまにリモート通話したりに減ってしまう。でも独占に拘ると両者ともに苦しくなる。
フェンネルさんの事情に置き換えられそう。

来年はいよいよ20周年。新成人や就職活動の壁(15周年)を乗り越えたその先の話です。
デフォルトが丁寧語(主役格ではブロ子以来の二人目?)なのも良いですね。
15周年のハグプリはいまだに考察を書き続けてる(記事一覧)ぐらい好きだったので、20周年のひろプリさんにも期待が高まります。
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(第44話)デリシャスパーティ♡プリキュア「シェアリンエナジー!ありがとうを重ねて」感想

2023年01月22日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第44話)デリシャスパーティ♡プリキュア「シェアリンエナジー!ありがとうを重ねて」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第44話より)

招き猫に象徴される「ありがとう」の気持ち。ほかほかハートが世界中から満ち満ちて、ゴーダッツ様への反撃の狼煙となりました。
愛は無限。ありがとうは無限。重ね合う気持ちは、誰にも奪えない。

…のだけれど。

フェンネルが苦しんでいたのは、正にそこです。
愛が有限だったなら、まだいい。独占できる可能性があるから。
しかし無限となってしまうと、彼の願いは本質的に叶わない。

これは、ちょうどプリキュア視聴年齢のお子様の何割かが直面する悩みと同じです。
弟や妹が生まれて、それまで自分の絶対の存在であったはずの両親が、弟妹にとられてしまう。

親の愛は無限。我が子に順番なんかない。
理屈としてはそうでも、すんなり納得できる子ばかりではありません。現に自分に割いてくれる時間は減ってるし、自分が一番であって欲しいんです。

ゴーダッツ様:
「なぜだ。なぜわたしのものにならない!わたしを選ばない!」

3,4歳の子が、弟妹が生まれてかかりきりになってるパパママを見ながら、うずくまって泣いている様子を想像してみよう。親の愛が無限であることは、その子にとって救いにならない。
しかもフェンネルの場合、親(に相当するジンジャー)が他界しています。今や真意を確認することもできない。
幼い弟妹ばかり可愛がっていた(ように見える)親が、6歳ごろに他界したとして、その子の記憶の中で「自分も100%愛されていた」と思えるのか。

※詳細は違いますが、表面的には「GoGo」のムシバーンの苦悩に似ています。高級料理に価値を置く彼が恋した相手は、駄菓子的な価値観を持つ女王。絶対に満たされない。だけど、ではどうすればいいというのか。自分にも価値観があり、現に飢えている。それを曲げて歩み寄れと?どうして自分の気持ちだけが分かってもらえず、自分だけが苦しみを我慢せねばならないのか。

思えば、(特に和実さんのメイン回では)現実的なリソースの限界を扱っていたように思えます。
スポーツ優秀な娘さんのために毎食手作りしたくても、実際の問題として時間の制約がある。
おでんが好きだといっても、野球だって好きなんだ。
自分の好きな何かに無条件で全てのリソースを投入できるかといえば、違う。そしてだからといって、それを愛していないわけでもない。

こういった現実的なリソースの限界は、愛そのものの限界は意味しない。
和実さんは「ありがとう」の気持ちを述べていらっしゃる。表面的な限界に囚われて嘆くのではなく、十全には満たされないことを受け入れて、愛されていたことに感謝の気持ちを持とう、といったところかしら。

感謝の気持ちは重なり合って、別の形になって自分にも帰ってくる。平たく雑に言えば、「子供が求める、世界の中心的な自分だけの愛」を卒業して、「与えあい分け合う愛」に成長しよう。そうすれば、当初望んだのとは違った形かもしれないけど、回りまわって愛される。そうなれば実現面で見ても愛は無限だ。

映画のケットシーも、その文脈で見返すと発見がありそう。
彼は親に裏切られて、子に隔絶空間で無限の愛を注ごうとしていた。
ケットシーが「毒親」(謎の秘密組織)にありがとうの気持ちを持つべきなのかは疑問もありますが、今の彼があるのは謎組織のおかげなのも事実なので、全否定して呪ってばかりなのもどうかとは思う。

芙羽さんの一人飯、らんらんの異様な独り言、会長さんのジェントルー案件、ナルシストルーの食事制限、セクレトルーの完璧になれない問題等々も、「100点満点の理想状態は望めない」「それを受け入れる」に通じます。
この文脈でいくと拓海くん、失恋してしまいそうで気の毒ですが…。

フェンネルさんからの返答がまだなので、期待して待ちたい。
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(第43話)デリシャスパーティ♡プリキュア「レシピボン発動!おいしーなタウンの危機」感想

2023年01月16日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第43話)デリシャスパーティ♡プリキュア「レシピボン発動!おいしーなタウンの危機」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第43話より)

レシピボンが発動し、世界から料理と食材が消えました。えげつない。
食材そのものが消えているとなると、その辺に生えてる草とかどうなってるんだろう?豚さんや牛さんも消えたのかしら。
古今東西の「料理」ですと、ヒトを食う文化もあったかと思いますので、うっかりヒトまで消滅してしまってたらゴーダッツ様どうするつもりだったのやら。

事態の打開のため、マリちゃんとプリキュアさんらはブンドル団の本拠地へ。だけれど和実さんは動けず。
彼女の背を押したのは、拓海くんから伝えれたお祖母ちゃんの言葉。「迷ったら、大切な人の笑顔に答えはある」。

…お言葉自体は分かるのだけど、これがどう和実さんの奮起に繋がるんだろう?

「大切な人=フェンネルさん」の場合、彼の気持ちに寄り添ってどうにかすると思われますが、方策は不明。
「大切な人=街の人たち(に象徴されるみんな)」の場合、「あなたの気持ちも分かるけど、でも戦う」路線。

どちらも何かこうもう一押しが足りない気がする。次回を待とう。

街の人たちもただただ嘆いていたのではなく。料理を編み出そうと懸命に頭を捻り、和実さんの一言をきっかけに「お結び」の再発明をなさりました。
おそらく最も原初の料理のひとつ「お結び」。人類史に再び戻ってきた。

レシピには想いや文化や歴史があるわけで、そこには人と人との繋がりがある。
「他者との交流の拒否」は、ゴーダッツ(独占)・セクレトルー(完璧主義)・ナルシストルー(アレルギー等に起因する食事の忌避)の背景に共通しています。食事を通じて、周囲や今は亡き祖母とまで繋がっている和実さんとは真逆です。

ただ、言い換えると和実さん自身の根っこが分からないとも。実際、彼女の個人回では、祖母のコピーではマズいとの演出がされました。
ゴーダッツ様は、受け継いだ事を彼なりにアレンジして使っていますから、取りようによっては和実さんより「良い」とすら言える。第三者的には彼の行動は間違っているけれど、それを言い出すと前回の轍を踏んでしまいます。

現状では和実さんがどんな回答を出すのかよく分かりません。
劇場版の「悪い大人に利用された」とは逆パターンの「良い大人(国王やジンジャー達)を利用した」なので、あの時の回答は使えず。
スタプリの時のような、どんでん返しが待っている気がしなくもない。
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「参考文献一覧」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年01月11日 | ハグプリ最終回考察
一連のハグプリ考察記事を書くにあたって読んだ・見たものを記載します。※随時更新

【タイムトラベルに関する一般書籍】
・J・リチャード・ゴット,時間旅行者のための基礎知識,草思社,2003年
・ホール・デイヴィス,タイムマシンのつくりかた,草思社,2011年
・二間瀬敏史,時間旅行は可能か?,筑摩書房,2009年

【時間に関する一般書籍】
・吉田伸夫,時間はどこから来て、なぜ流れるのか?,講談社,2020年
・高水裕一,時間は逆戻りするのか,講談社,2020年
・松浦壮,時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体,講談社,2017年
・高水裕一,物理学者、SF映画にハマる 「時間」と「宇宙」を巡る考察,光文社,2021年
・二間瀬敏史,どうして時間は「流れる」のか,PHP研究所,2012年
・橋元淳一郎,時間はなぜ取り戻せないのか,PHP研究所,2010年
※物理学視点

・青山拓央,心にとって時間とは何か,講談社,2019年
・青山拓央,新版タイムトラベルの哲学,筑摩書房,2011年
※哲学視点

【宇宙に関する一般書籍】
・村山斉,宇宙は本当にひとつなのか,講談社,2011年
・吉田伸夫,宇宙に「終わり」はあるのか,講談社,2017年
・吉田伸夫,量子論はなぜわかりにくいのか,技術評論社,2017年
・須藤靖,不自然な宇宙,講談社,2019年
・戸谷友則,宇宙の「果て」になにがあるのか,講談社,2018年
・都筑卓司,四次元の世界,講談社,2002年
・大須賀健,ノーベル賞受賞の博士が明かした! 世界一やさしいブラックホールの話,宝島社,2021年
・和田純夫,量子力学の多世界解釈 なぜあなたは無数に存在するのか,講談社,2022年
※主に時間停止やパラレルワールドに関わります

【SF小説】
・テッド・チャン,あなたの人生の物語,早川書房,2003年
・アイザック・アシモフ,地球は空き地でいっぱい,早川書房,1988年 ※収録作「死せる過去」
・ロバート・A・ハインライン,輪廻の蛇,早川書房,2015年
・ロバート・A・ハインライン,時の門,早川書房,1985年
・ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ,故郷から10000光年,早川書房,1991年
・H・G・ウェルズ,タイム・マシン,東京創元社,1965年
・スティーブン・バクスター,タイム・シップ,早川書房,1998年
・フィリップ・K・ディック,時間飛行士へのささやかな贈物,早川書房1991年
※記事で引用したり意識した本のみ記載

【小説版プリキュア】
・大野敏哉,小説スイートプリキュア♪,講談社,2016年
・小林雄次,小説スマイルプリキュア!,講談社,2016年
・前川淳,小説フレッシュプリキュア!,講談社,2016年
・秋之桜子,物語Go!プリンセスプリキュア 花とレフィの冒険,講談社,2017年
※本編終了後の未来が描かれています

・村山功,小説 魔法つかいプリキュア! いま、時間旅行って言いました!?,講談社,2017年
※過去へのタイムトラベル

【漫画版プリキュア】
・上北ふたご,HUGっと!プリキュア1 プリキュアコレクション,講談社,2018年
・上北ふたご,HUGっと!プリキュア2 プリキュアコレクション,講談社,2019年
※野乃さんがタイムリープする

・上北ふたご,映画ふたりはプリキュアスプラッシュスター チクタク危機一髪!,講談社,2006年
※時間停止

【インタビュー記事】
・アニメージュ 2019年2月号,徳間書店,2019年
・HUGっと!プリキュアオフィシャルコンプリートブック,学研プラス,2019年

【映画版プリキュア】
・映画 ふたりはプリキュアスプラッシュスター チクタク危機一髪!
・映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス
※時間ネタの映画

・映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪
・映画 プリキュアスーパースターズ!
・映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ
・映画 プリキュアミラクルユニバース
※他シリーズとの共演からの時代考察

【プリキュアシリーズ】
・魔法つかいプリキュア! 50話(最終回)
・キラキラ☆プリキュアアラモード 49話(最終回)
・スター☆トゥインクルプリキュア 49話(最終回)

(順不同)

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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「ジェロスの輪廻」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年01月11日 | ハグプリ最終回考察
年代・年齢に関わるネタは、全員集合がありそうな20周年記念作が始まる前に吐き出しておいた方が良さそうだったので、書いてみる。


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

クライシス幹部・ジェロスさんは何歳なんだろう?

[1] 見た目からの推察
最終回2030年の姿および声の印象だと、えみる(小6)より私の感覚では幼く見えます。仮に10歳としよう(もっと下にも思える)。
2030年時点で10歳ならば、クライアスとして活躍する2043年(推測)では23歳です。

さてジェロスは老いに怯えるキャラクターです。
果たして23歳(あるいはそれよりも若い)で、あそこまで強迫観念に駆られるものだろうか?

※ジェロス救済回の45話にて、「売れ残りのクリスマスケーキ(行き遅れを揶揄する古い表現)」が出てきます。
2030年時点で12歳、2043年で25歳だとすれば、ちょうどぴったり合致するのですが、上述の通り、姿と声からはえみると同年齢とは思い難いので「10歳」として進めます。

現代日本でいうと、23歳は大卒直後。老いは意識しないというか、むしろ「社会人最年少組」ですから大学時代より「若返った」感覚を抱いてもおかしくありません。
壁として意識されがちなのは「30歳」で、ジェロスの悩みは5年早いように思えます。

[2] 名前からの推察
「ジェロス」の由来は「ロストジェネレーション(就職氷河期)」。
該当するのは1970年~1983年頃の生まれの人で、2018年時点で35~48歳です。これは本編中のジェロスのイメージとかなり違う。

同様に、
:パップル(バブル。1990年前後。その当時に22歳とすると、2018年では50歳)
:ダイガン(団塊の世代。1947年~1949年の生まれ。2018年では70歳)
ともずれています。
印象で決めつけてしまうなら、15歳~20歳ほどおかしい。

ハグプリは15周年記念シリーズですから「15」に意味があると狂信して差し引くと、

:パップル35歳
:ダイガン55歳
:ジェロス27歳(20歳~33歳の真ん中として)

この方が違和感がない気がする。
まぁ「20」を引けば23,24歳になるんですから我田引水もいいところですが、パップルの年齢がおかしなことになる(本編で30歳だとすると、2030年時点で17歳。最終回のあの容姿と言動で未成年とは思いづらい)ので、とりあえずは先に進めたい。

【5年の遠回り】
これらから、強引極まりないですが「2043年時点で23歳のはずのジェロスが、実際には27歳くらいに思える(約5年ずれている)」という謎が出てきます。
劇中で何も説明されていないので、更に強引に仮説を進めます。

仮説『ジェロスは2018年を2回繰り返している』

私の考察では「2033年に野乃はなに不幸が起き、悲嘆したジョージが2018年に逃避した」「最終決戦の後、妻・野乃はなを救うべく2033年を目指した」を採用しています(参考:「ジョージの別れと再会」)。
このジョージのタイムトラベルに、幼いジェロスも一緒についてきていたんだ。

2030年(10歳):最終回のあの子

2033年(13歳):ジョージのタイムトラベルにアクシデントで巻き込まれて2018年へ。
2019年:決戦後のジョージと共に過ごし、再度の2033年を迎える。

2033年(28歳):野乃はな救済を目指すジョージを横目に、この時代のジョージ(および幼少の自分)と共にタイムトラベル。
動機としては、共に歩む15年の間にジョージに恋心が生まれ、彼が野乃はなの元に向かったことに絶望したから、とか。
2018年:クライアス幹部になり、プリキュアと戦う。

これだと推定した27歳と近い年齢になる。
突拍子もなさそうでいて、この説には地味に利点があります。

① クライアス幹部がジェロスの出自を知らないことの説明が付きます。
ジェロスは2043年を生きていないので、パップル達から見れば全くのイレギュラー。知らなくて当然です。

②入社のきっかけは「ジョージがスカウトした」こと。
上記仮説の経緯であればジョージが重用しても不思議はなく、ぽっと出なのに重役に昇進したことや愛人関係も理解できます。

③45話のジンジンとタクミとの回想で出てきた「若かりし頃の貧乏生活」が自然に受け入れられます。別時代の人間だったので就職等で著しく不利だった。だから生活が苦しかった。

タイムトラベルなどせずに普通に2043年まで過ごしたのだとしたら、20歳ごろの男女が共同生活と思しき暮らしをしていることになり、親御さんの事情などなど面倒くさい背景が必要になってきます。ちなみに同シーンの「カセットコンロ」等の描写も、2040年頃の未来というより2030年と言われた方がそれっぽい。

なお「パラレルや歴史改変によりジェロスが過ごした未来は書き換わったので貧乏生活も無くなった」とすると、三人を再度結び付けた思い出が消滅したことになります。それはさすがに色々と台無しじゃなかろうか(故に「未来が書き換わった」「別の世界線」説には否定的です)。

④ジェロスの強迫観念は、「同じ時代を繰り返し経験している」「ジョージは自分の元を去ると知っている」「変えられない結末を理解している」が背景にあるなら分かる気がする。

⑤チャラリートの挫折のきっかけが推察されます。
最終回にてジェロスと同時に映っていますから、2043年時点で23歳ぐらい。個人的には違和感はないです。なので、彼はタイムトラベルとは関係なく、そのまんま2043年まで生きたと思われます。
ジェロス達とは2033年で生き別れた(彼の視点では死別)ことになり、これが彼の心に影を落としたんじゃなかろうか。

亡き友人達の意志を継ぐつもりで、そこだけは必死になってアカルイアス(後のクライアス)に入社したのであれば、自己肯定感の低さと一流企業(?)クライアスの管理職であることの整合性も取れそう。また、前述の45話の貧乏生活にチャラリートだけいないこととも辻褄が合う。
ジェロスと再会したチャラリートが特には反応を示していない理由は、「気づかなかった」で済みます。こんな奇天烈な経緯に気づける方がおかしい。

以上。
仮説に次ぐ仮説で、本編描写とあちこち矛盾や齟齬もありそうですが、「ジェロス2周目説」はちょっと目新しいんじゃないかと思う。

【補足】
ジェロスの年齢を5歳分調整する仮説としては、他に「クライアスは2043年ではなく2048年の出来事」説も考えられます。これなら素直にジェロスが20代後半になる。
ただ「トゥモローさんが18歳」「パップルが40歳手前」になってしまい、ありえないとまでは言わないにしても、少々苦しい気がする。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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(第42話)デリシャスパーティ♡プリキュア「ゴーダッツのたくらみ プレシャス vs. ブラックペッパー」感想

2023年01月09日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第42話)デリシャスパーティ♡プリキュア「ゴーダッツのたくらみ プレシャス vs. ブラックペッパー」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第42話より)

フェンネル=ゴーダッツ様との戦闘開始。そして逃げられました。何気にセクレトルーさん(とウバウゾー)が頑張らなかったら、ここで打倒されて終わってた気がする。

本来なら大手柄を挙げたと評価されて然るべきところでしたが、ゴーダッツ様の眼中にはなかったようでセクレトルーさんは置き去りに。彼女自身も「失敗」と認識している様子。セクレトルーさん的には、凛とゴーダッツ様の横に立ち、スマートに転移するのが理想だったんだろうな。もしくはそれ以前に、そもそもゴーダッツ様のお手を煩わせずに奪取する。

ゴーダッツの動機は「デリシャストーンを渡されなかったこと」。「世界を手に入れる」云々は、拗らせた結果の副産物っぽい。

これまで「分け合う」を掲げた来たプリキュアサイドから見れば、些細といえば些細な動機。ですが、本人にとっては大事なこと。
拓海くんでいえば、もしも急に出てきたモブ男と和実さんがくっついたなら、すんなりと気持ちの整理はできないのでは。本当に大切なものは分け合えない。「ドキドキ」で扱われた二者択一問題にも通じます。

「奪う側だから気づけない」も正にその通りで、相対的に見れば誰かが誰かのものを奪っている。
「分け合う」行為だって見ようによっては「持っている人からの強奪」だし、「元々みんなのものなのを、たまたま持っているだけの人が施している」とも言える。

ブラぺの「お前が父さんを語るな」と、フェンネルの「お前がジンジャーを語るな」が対になってるのも面白い。
それぞれ「親」に相当する人物のことですから、己のルーツとも言い換えられそう。私がなぜ今の自分になったのかを、他人のお前が語るな。

少なくとも、フェンネルが不満を抱いていたことは事実なのだから、その感情を「間違いだ」と全否定するのはおかしいはず。
ジンジャーが何故シナモンを選んだのかがはっきりしませんが、フェンネルを選んでいたら問題が起きなかったのだとしたら、果たして適切な人選だったのかも疑問です。

しかも今回のケースですと、シナモン・ジンジャー両名との付き合いはフェンネルが最も長いんですから、彼の語った人物評は正しい可能性もある。
では仮に正しかったら拓海くんが納得するかといえば、しないでしょう。
逆も然りで、「ジンジャーの真意はこれこれこうだったんだよ」と言われても、フェンネルは納得がいかないはず。
この状況下で話し合いでどうにかしようとしたプレシャスさんは、さすがに平和ボケが過ぎる。

ただプレシャス理論では打開策が見えないんですよね。打ちのめされたところから、どう盛り返すんだろう?

【蛇足】
先日のタイムトラベルネタを無理に組み込むと、「未来でレシピボン絡みの異変が起きると知ったジンジャーは、現在選んでいた後継者(フェンネル)を警戒し、シナモンに変更した」「が、それが発端となって事件が起きてしまった」とか有りかもしれない。
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