穴にハマったアリスたち

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(第4話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「マヨイノツバサ」感想

2023年10月29日 | オトナプリキュア
■(第4話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「マヨイノツバサ」感想

美翔さんがブラウン管に帰ってきた!そして壮絶に美翔さんだった!
微妙に猫背なところとか、盛大に転ぶところとか、とてもとても美翔さんです。


(「オトナプリキュア」第4話より)

このシーンも、微妙にお口あんぐりしてるところが微笑ましい。

と、小ネタを拾った上で本題。

【あの時見た未来】
往年のSSファンの議論の的「美翔舞は絵の道に進むのか?」。

美翔さんは個人回やキャラクターソングで、絵を否定的に描写している面があります。
「一人で絵を描いていればそれで良いと思っていた」とか「どんなに上手い絵を描いても、息づいている命にはかなわない」等々。
特技をネガティブに扱う、かなり奇異な描かれ方をしている。

なので私的には、「美翔さんは絵と関係はあるが、画家のような完全特化の道にはいかない」派でした。
「ロゴのサイズをどうするか」のような、(同僚からは「つまらない仕事」と認識される)作業を黙々とやってるのは、かなりイメージにあってる。
あくまで未来の一つとして描かれているだけとはいえ、今回の美翔さんはすごく納得できた。

【目をそらしたのか、直視したのか】
美翔さんは「熱中すると時間を忘れる」欠点を抱えています。
日向さんの「時間にルーズ」とセットで、なぜかSS組は時間に関わる短所がある。

大人になった美翔さんは、結婚や出産・キャリアアップがピンとこない。
別に50代や60代になってから結婚してもおかしくないし、その年代で転職や昇進しても変ではない。
ただそうはいっても一般的なルートはあるわけで、考えた上で見送るのは良いですが、目をそらすのは違う。

今回の描写では、美翔さんはこれらに実感を持てないまま、かつてのキュアイーグレットの姿を思い浮かべながら、未来につながる(可能性があった)彼氏との別れを選択しています。見ようによってはプリキュアに逃避している。

一方、美翔さんは元々人付き合いが好きな方には見えず、一人を苦にしていない子です。キャリアアップのような他者評価を気にせず、時間を忘れて絵に没頭する方が本来の「美翔舞」のようにも思えます。
それならばかつてのキュアイーグレットを見つめるのは、自分が本当に大事にしたいことを直視したとも言える。

どっちなのか現時点では全く分かりません。
プリキュアに変身する(のだとしたら)その過程では描かれそうなので、ドギマギしながら待ちたい。

【時間は戻らない】
SS本編の敵ゴーヤーンは、宇宙創成前の静寂に戻りたかった。
SS映画の敵サーロインは、時を止めて自分だけの世界にしたかった。
だけど息づく命の歩みは止められない。

では今回の美翔さん達はどうなんだろう?
先に進む(結婚やキャリアップ)ことと違う方向に進むのなら、SSの位置づけが変わってくる可能性があります。

誤解のないように念のためですが、「結婚する=前に進む」ではない。
「結婚するかしないかを決める」のが「前に進む」。
「判断を先送り」ではなく「暫定的にでも考えた上での決定」は大事だと思う。

今後の展開が本当に楽しみです。どうなるんだこれ。

【恋愛事情】
描かれていないので想像ですが、美翔さんの恋愛は一般的なそれより希薄で、ラブラブというより「同じ空間にいればそれでよい」タイプな気がします。
一人で黙々絵をかいてるだけでも、同じ空間にいればデートが成立するとナチュラルに思ってるタイプ。

美翔さんはかなりの美人さんとして描かれている娘さんですが、本人がそっちの方向に磨きをかける感じではない。野山をごそごそして絵を描いたりするので、スカートではなく泥にまみれるズボンが普段着とか。おまけに「一人で熱中すると時間を忘れる」ので、仕事に没頭すると疎かにされそう。
彼氏側からすると、まぁ別れるルートに乗るのは妙に納得できる。

この謎の「彼氏」および美翔さんがどのような恋愛をしたかは、演じた榎本さんも色々と解釈されたそうです。
何が正解かは分からない。ちなみに相棒の樹元さんは榎本さんとは逆の解釈で、もうこれは個々人が思うように妄想して、新たな「謎の行方」として楽しむのが正解な気がする。

最後の別れのシーン。榎本さんによれば「想いを込めて泣きながら告げる」バージョンも収録したそうです。
ただそれだと未練があるようにも見えてしまったので、放送のバージョンになったらしい。

【オトナプリキュア】
他、日向さんの婚約や夢原さんがココと連絡を取っていたとか、ブンビーさんの再登場など大騒ぎだった第4話。
全12話で終わるとは思えないほどのパワーです。凄いな、これ。
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ぼくプリと男子プリキュアとプリキュアらしさ

2023年10月27日 | Dancing☆Starプリキュア(ぼくプリ)
今週末の「Dancing☆Starプリキュア」(ぼくプリ)に備えて、今の内に私の現時点の考えをまとめておきます。

[追記]
観劇したので一部追記します

【プリキュアらしさ】
私は下記の3点が「プリキュア」を構成する大事な要素だと思ってる。
今のところ「オールスターズF」「オトナプリキュア」とも整合しており、それなりには確からしいはず。

(1) 玩具(詳細)
コレクターマニア的な観点ではなく、「子供時代の象徴」「メーカーからの信任」などなどを反映してる点で重要だと思う。

(2) 世代交代(詳細)
「F」の言葉でいえば「繋ぐ」。プリキュアは登場人物を総入れ替えしながらシリーズを継続していくのが特徴で、番組内でも次世代や周囲に「繋ぐ」のを重視している。

(3) 変身願望(詳細)
仮面ライダー等と違い、素の自分が成長したかのような姿をとり、ままならない現実を打破するきっかけや大人への憧れを反映しています。

前情報を見る範囲では「ぼくプリ」にはこれらがない。故に「プリキュアではない」が今の気持ちです。
※「プリキュアではない」と「面白くない」は無関係。あくまで「プリキュアなのか」の観点のみの印象で、舞台としては面白そうだと思っています。

「面白ければ良い」「小難しい定義に拘るのは本末転倒」もまた真実だとは思うのですが、鷲尾さんも「プリキュアとしての挑戦」と語っています。
自分にとっての「これはプリキュアなのか」は抱えた上で感想は持ちたい。
ひいてはそれが、既存のプリキュアの新たな魅力の発見にも繋がると思っています。

[追記]
実際に観た感想として、上記3点はやっぱり厳しかった。
特に「変身願望」が否定されてしまうのはかなりきつい。

【男子プリキュア】
私の考えでは、初代のキャッチフレーズ「女の子だって暴れたい」とセットなのは「男の子だって大人しくいたい」。
ままごとや絵本が好きな男の子だって認められるべきで、決して軟弱ではない。

ただこれはコンテンツとして見た場合、かなり難しい。
好みは当然あるので、「守られている男よりも、守る男が好きだ」も否定されることではなく、傾向としてはそちらが多数派と思われます。

実際にキュアウィングはこの問題に直面しています。
本編では比較的大人しめで、それを否定的に見る人も一定数いる。それだけなら好みの問題ですが、「F」では果敢に「男気」を見せて絶賛されてしまっています。
キャラクターとしてブレてしまっている。

これが歪なのは、他の例に置き換えると分かると思う。
スカイが泣き出し、完全に戦意を喪失したのを見て「やっぱり女の子は守られてるのが似合うね。可愛い」と絶賛されたら、「変だ」と感じるんじゃなかろうか(弱い側面も見れて人間描写が深まったといった観点ではなく、「女子は泣くのが似合ってる」の観点)。
あるいはルミナスが床を殴り壊して黒白キュアを逃がしたら、キャラ崩壊と言われるのでは。過去にあったかもしれませんが。

そもそもでいえば「大人しい」と「プリキュア」が両立する概念なのかも疑問です。
(ルミナスやエコーのような例もあるとはいえ、かなり特殊な立ち位置なので参考にしづらい)

一方で「ぼくプリ」は練習動画などを見るに、とてもパワフルで見ごたえがあります。
とても良いことで好感度も高いのですが、上記の面倒くさいことを思うと、とにかくひたすらに面倒なことになる。

「パワフルだからプリキュアらしい」のであれば、「男の方がプリキュアに適している」という歪な結論に至ってしまう。

現実の問題として、生身で演じるとなると男性の方が「プリキュア」的には有利だろうとは思います。筋肉や体格の差はどうしてもある。
また、女性演者がフリフリのスカートで格闘をすると、そんな意図はなくても性的な要素がでかねない(男性演者でも性的な要素は出ますが、本題ではないので割愛)。

では「プリキュア」は「男子」がやるべきなのか?となると、もはやコンセプトの自己否定でコンテンツの死です。

・大人しい男子だと魅力を感じない
・パワフルな男子だとプリキュアとして認めがたい

これでは詰んでしまう。
「ぼくプリ」は舞台としては面白そうなので、何か突破口となるアイデアがあると願いたいのですが、私には思いつきません。

[追記]
腕力で勝てない敵幹部に、ダンスで挑むのは男子プリキュアとして納得できました。
失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、舞台ではそこまでパワフルさオンリーではなく、しなやかさ(可愛さ)もあったので上記の懸念はあまり当てはまらなかった。

【プリキュアではないもの】
プリキュアとは何かを描いた「F」で、紛い物のプリキュアが出てきます。

・変身シーンはあるが、プリキュアではない
・強いがプリキュアではない
・弱い民衆を守り、邪悪な敵と戦うがプリキュアではない
・破壊と創造だけでは、プリキュアではない

この4つだけではプリキュアらしさに繋がらない。
(上述の「パワフルさ」もこの文脈で既に否定されています)

「ぼくプリ」さんからすれば雁字搦めで、「プリキュア」として認識され得る要素がないように思う。

[追記]
最も感動したのはこの変身シーンでした。
脈絡なく現れたダンサーと一緒に変身するんですが、着替えの手伝いをすると共に、傘を開いたり舞ったりで華やかに盛り上げ、かつ「1人ではない」が伝わってきました。
この「1人ではない」で、シュプリームの偽変身シーンとはきっちり区別できた。

リアルでは不思議パワーが使えないのを逆手に取り、本来なら足枷になる「黒子」を見事に昇華していました。この解決策は全く思いつかなかった。素晴らしい。

【現時点の私の気持ち】
「男子だからダメ」といった単純な話ではなく、プリキュアファンとしては「やっぱりこれは厳しいな」と思う。
おそらく感想は「舞台としては面白かったが、これはプリキュアではない」か「プリキュアだと感じた。理由はパワフルさだ。これはコンテンツの死だ」のどちらかになりそうな気がしています。どっちも好ましくない。

20周年の「挑戦」である「F」や「オトナプリキュア」は、今までにない要素があるにも関わらずちゃんと「プリキュア」だと感じました。最初に3つの要素をあげたように、なぜプリキュアだと感じたのかの言語化もできる。

「ぼくプリ」さんもそうであって欲しい。
個人の主観の好き嫌いはさておき、公式に「プリキュア」を冠している以上は、「プリキュア」ファンとしては成功して欲しいと思います。

今までにも、比較して「好きではない」プリキュアも「好みではない」シリーズも勿論ある。80人弱もいて20年もやっていれば、好き嫌いの濃淡はある。
でもその子やシリーズを嫌悪して、「プリキュアではない。黒歴史として無視しよう」とは思わないように、「ぼくプリ」もプリキュアの一員として認識されるものであって欲しいです。


この種の全プリキュア本でも扱うべきだろうし、反発を予期して避けるのであれば、準備が整うまで「ぼくプリ」を企画すべきじゃなかったと思う。
(ぼくプリ公開前なので、今回は載せないことに言い分は立つけれど)

一つ明るい要素を挙げるなら、「全員男子」は「男女混合」よりプリキュア的には有利だと思います。
男女混合だと、異性同士の関係が発生してしまう。意識すると「接触を避ける」など描写に制約が出る。無視すると「年頃の男女が同棲する」など違和感のある展開になる。

一般にはこの制約や違和感を物語に組みこむのですが、未就学児とその親が見るコンテンツであるプリキュアでは、どちらも避けたい空気がある。
(「ドラえもん」のようなお風呂ネタは(覗きはもちろん男女別行動の動機づけなどの使い方でも)「プリキュア」では好まれない)

「ぼくプリ」は男子だけ。言い換えると「同性のみ」のチームなので、物語の制約的には従来のプリキュアにむしろ近い。
男女混合よりも「プリキュアらしさ」のハードルは下がるんじゃないかと思ってます。

本当に、いざ始まったら「確かにプリキュアだ。こんな見せ方があったのか!」と絶賛し、この記事を書いたのが的外れで恥ずかしくなるような、そんな舞台を期待しています。皮肉ではなく、本心から。

[追記]
残念ながら、悪い意味で的外れの分析でした。
舞台はとても面白かったのですが、上記のごちゃごちゃした理屈以前の問題で、私はこれをプリキュアとは認識できなかった。

夢や希望やプリキュアを、悪に利用されたまま終わる。そんな次元の心配は完全に想定になかったです。
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(第38話)ひろがるスカイ!プリキュア「大空を救え!浮き島のひみつ」感想

2023年10月22日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第38話)ひろがるスカイ!プリキュア「大空を救え!浮き島のひみつ」感想

未知の危機に対し、咄嗟に変身ではなく構えを取ったのは長年の鍛錬の賜物か。
変身後もこの構えを多用してたりするんだろうか。今更ながらに意識して見てみよう。


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第38話より)

終始不可解すぎて、さすがに私が何かを勘違いしていると思いたいので、とりあえず書き連ねてみる。

●少年の夢その1
ツバサくんの夢は「空を飛ぶこと」。原点は、自分を助けるために飛んだ父親の姿。
そこから「子を守ることが夢の根底だ」となり、エルちゃんのナイトを自称するようになった。
彼の夢の主眼は「子を守る」なので、プリキュアに変身して飛んだことは妥協ではないし、自力飛行に拘らなくてもおかしくはない。

さて今回、飛べない竜族が出てきますが、殊更にツバサくんが反応する描写はなし。
しかも竜族の面々は、知恵と工夫での飛行に失敗した後、自力飛行を果たします。
何故にこんな経緯をわざわざ入れたんだろう…?

●竜族の夢
竜族の皆様は、スカイランドに戻りたいといった欲求は口にしていません。
あの島が地獄の様相ならともかく、スキアヘッドを撃退した後は移住する動機がないように思う。
ツタが一体化したとかおっしゃっていたけど、通例であれば浄化したら元通りになりますし。

ハレバレジュエルはメンテナンスが必要なので、島に残る動機は大いにある。
島への飛行が困難なのは敵の仕業とかではなく、ただの自然現象ですから、今後は相当苦労するはず。

ツバサくんにより航路が確立された…のかもしれませんが、現地に住まう鳥たちが断念していた難所がそんなに簡単に攻略されていいんだろうか…。
また、簡単に行き来できるようになったのなら、スカイランド人が訪問すればよいのでは。伝説の地なんだから需要はあるだろうし。

「周りから怖い生き物だと恐れられた」を、「飛べない鳥だと笑われた」自分に重ねたにしても、プニバードのままではツバサくんは飛べておらず、笑われたのも事実です。ソラさんたちが笑っていないので、「受け入れる人もいる」を実感として語ってもおかしくないのかもしれませんが、それならもうちょっと描写があっても良いのでは…。

●少年の夢その2
ツバサくんが賢者になられた。何故にそんなややこしいことを…?

彼は「空を飛ぶ」「ナイト」と夢がブレているように見えてしまっています。
先ほど書いたように、この二つは繋がっているのでおかしくはないのですが、分かりにくいのも確かです。
そこに更に賢者が加わった。

空を飛ぶために勉強したことが別の形で実ったのだ…と言えなくもないのですが、ヨヨさんが補足している通り最も評価されているのは「竜族を連れてきたこと」です。航路を切り開いたことでも、葉っぱ飛行のアイデア等々でもない。直接には知識が絡んでいない。そもそもツバサくんの知識は飛行関連が中心で、広範に何でも知ってる博学キャラでもない。

飛べない種族として気持ちを理解した、といった理由づけも出来なくはないものの、そこは劇中でたいして触れていません。同じ境遇なことが理解の理由なら、勉学による知識とは遠ざかり「賢者」とは違う性質な気がする。
あまりに唐突すぎて、何かヨヨさんからの「ナイトは諦めろ」的な意図があったんじゃないかと勘繰りたくなる。

●その他
マジェスティを放置して竜族を助けるのに躍起になるのは、絵として奇妙に見える。
到達困難な島だったはずなのに、スキアヘッドはあっさりやってきてしまった。
ずっと飛べなかった初心者の竜族が、極めて危険な空域をさっくりと突破できた。

これらは「そういうものだ」「細かな部分はカットしただけ」と言われてしまえばそれまでなので、上述の疑問点と比べれば些細なのですが、話の運び方としてどうなんだろう。

まぁ勝手に深読みするのなら、竜族を男子プリキュアに引っ掛けて、「男子でもプリキュアになれる。批判する人もいるが受け入れてくれる人もいる」的なことをやりたかったのかな。
そんなつまんないことを疑いたくなるほど、よく分からない回だったように思う。
これがツバサ君の総決算回だったなら、制作サイドで彼の扱いが定まっていなかっただけかもしれない…。
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(第3話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「ココロノキオク」感想

2023年10月21日 | オトナプリキュア
■(第3話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「ココロノキオク」感想


(「オトナプリキュア」第3話より)

美翔さんがブラウン管に帰ってきた!
もう何度書いたかもわかりませんが、今こそ明らかに疑いようもなく帰ってきてくれました。
SS最終回の「またどこかで会おうね」から20年近く。こんな形で続編を見られるとは夢にも思わず。

現時点では美翔さん達の詳細な近況は分からず。変身可能かも不明。
夢原さんらと違い、SS組はフラチョピが不可欠なので「当然、変身はできない」が彼女たちの認識のはず。
「気が付けばアイテムが消えていて、いつの間にか変身できなくなっていた」的な感傷はなさそうです。

逆に言えば、フラチョピがいさえすれば「当然、変身できる」と思っていてもおかしくない。
夢原さんが何故、若返って中学生姿で変身したのかは不明ですが、今回わざわざ言及していましたから物語的に意味があるのかもしれない。
だとしたら、SS組は若返らずにそのまま変身とかも変化としてありえるのかも。

夢原さんが変身できたのは、建付けとしては「タイムフラワーが過去からバタフライを呼び寄せたから」かと思われます。
それならば過去からフラチョピがやってくる…?直感的には違和感はあります。バタフライと違って喋れるので、時間移動的な妙な話になりかねない。
ならフラチョピ抜きで変身する?もしもそうなら、タイムフラワーは時間を操作しているのではなく、幻影や幻覚の一種なのかもしれない。

てっきりGoGo組の再変身が終わってからかと思いきや、いきなり次回で美翔さんメイン回のようです。日向さん抜きで変身したら驚天動地。
素直に考えるなら次回はひたすらに美翔さんが鬱屈するのみで、再変身者は出ないとかかしら。
何か激務らしいですね、美翔さん。ぱっと見た感じでは絵の専門職というより、ITや事務系の仕事にも見えるのですけど、何やってるんだろう…。編集系の仕事とか?

【2人目と3人目】
再変身者2号と3号は、かれんさんとミルクさんでした。

患者の気持ちが前を向かないと、医者がどんなに頑張っても良い結果にはならない。
かつての「私一人が頑張れば」の別側面の壁です。あの時は自分が拒んでいた。でも現実には他者の方から拒まれることもある。

今にして思えばプリキュアバタフライに拒絶されて変身失敗したのも、義務感での変身がまずかっただけでなく、そういう文脈もあったのかもしれない。
かれんさん一人が空回りして頑張ろう頑張ろうでは、患者さん(プリキュアバタフライ)もうんざりするばかりで近づいてこない。

嫌われ役として登場している指導医さんもそうなのかも。
投げやりのように見える彼ですが、患者さんはあの人一人ではないわけで、過剰に入れ込んでいては他の患者にも迷惑をかけてしまう。医者の身だってもたない。
彼なりにかれんさんを気遣って、あえて気楽に振舞っていたとすら思えます。「難しい若手だ」と愚痴るのも仕方ないんじゃないかしら。
これも一種の「かれんさんの変身失敗」な気がする。「私がやる」と空回りして、距離を置かれてしまった。

前進のきっかけになったのは、そもそもの夢の始まりであるミルクさんの御世話の思い出。
まずはとにかく必死にできることをやろう。なまじ手段を得ていたせいで忘れていたこと。

再変身は存外あっさりだったようにも思えましたが、学生時代をなぞるかのような経緯を見れば、変身できて当然だなとも。

ミルクさんはもっとシンプルで、かれんさんの危機に即座に変身なされた。
というかパルミエのお世話役は、夢原さんらとは違う仕組みで変身していましたし、今も別に変身できなかったわけではない?
若返ってはいるもののタイムフラワーの描写も特にはなく、何かその辺を曖昧にごまかされた気もする。
ミルクさんが「オトナ」の何やかやで変身できなくなるのは、微妙に釈然としないものがあるものな…。

かれんさんが一人でシャドウを撃破してしまったら「私がやらなきゃ」のまんまですから、同時にミルクさんも変身したのは良い思い切りだったと思う。
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(第37話)ひろがるスカイ!プリキュア「ふたりは仲良し♡思い出の木!」感想

2023年10月15日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第37話)ひろがるスカイ!プリキュア「ふたりは仲良し♡思い出の木!」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第37話より)

ちょっとミラクルリープも想起した、あげはさんとましろさんの幼少時のお話。

あげはさんにとっては、帽子を取るのに失敗したのに、成果とは無関係に優しく認めて貰えた思い出。
ましろさんにとっては、我が身を危険に晒してまで助けようとしてくれた人との思い出。

2人とも詳細は忘れてしまっていたけれど、現在の2人の根幹を象徴するかのようなエピソードです。

さて一緒に行動していたソラさん。彼女は幼少時の子供らしい思い出が希薄です。
今回は2人がメインだったからか、ソラさんの心情は特には描かれず。
そのせいで先日のバッタモンダーの脳内図のような、いまいち内面の見えない不思議な生き物のよう。

ソラさんは特には嫉妬だとか後悔だとかはせず、純粋に探索を楽しんでいたと思う。
新たな思い出作りや、今日一日が楽しかったのも間違いない。

のだけれど、何か根本のところを実体験として分かってらっしゃらないような気がする。

他者2人だけの思い出は、ただでさえ言葉だけでは伝わらない要素もあるのに、ソラさん自身が幼少時の経験に乏しいので、表面的な部分しか認識できていないような。
冒頭に引用した画像のシーンも、おそらくソラさんは本心から楽しんでいてそれを感情豊かに語っているのに、何か「大事なところを分かってない」感がしてならない。
多分、ソラさん自身には理解する背景がないにも関わらず、過剰にはしゃいでいるように見えるので不自然に感じるんだろうか?

それが悪いとかではなく、今後に関わるかも分かりませんが、子供時代が薄いソラさんの不思議な特徴が妙に印象に残りました。

【その他】
オトナプリキュアを見て思いましたが、ソラさんは大人との思い出は強い。
仮に彼女がオトナプリキュアをした場合、「シャララ隊長。あげはさん。貴方達はこんなにも厳しい重責の中で笑っていたのですね…」と噛みしめ、次は私の番だと立ち上がりそう。
歴代のプリキュアと随分と毛色が違う、特殊なプリキュアだなと思う。

一方で、変身を起動すると中学生に戻る描写を見ると、あげはさんの立ち位置が何とも微妙な感じです。
今後何かネタが隠されていそうなのであまり踏み込んだ書き方をするのは時期尚早だとは思うのですが、若返りは「子供時代の自分を思い出して、大人の今の力に変えた」といった理解でいます(オールスターズメモリーズやハピネスチャージでも描かれた文脈)。
その理屈でいうと、あげはさんがそのままの姿なのは奇妙といえば奇妙。
大人であることにストーリー上の意義がある夢原先生に対し、初の成人プリキュアの意義が怪しいあげはさんは、ちょっと厳しい環境が続きそう。

厳しいといえば、スキアヘッドの立つ瀬がありません。
ほぼ無言で出てきて、怪物を召喚して倒されて去っていくだけ。
そういうキャラクターだと言ってしまえばそれまでですが、あまりに戦闘ノルマ要員然としていて、もう少し何とかしてあげられないかしら。
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(第2話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「ケツイノスガタ」感想

2023年10月14日 | オトナプリキュア
■(第2話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「ケツイノスガタ」感想


(「オトナプリキュア」第2話より)

キュアドリームが顕現なされた。夢見るものには希望を、それを邪魔するものには絶望を携えて。
長年「最も出会いたいプリキュア」と「最も出会いたくないプリキュア」としてドリームを挙げてきたのだけど、それが間違いではなかったと改めて確信しました。
この夢原さんは強い。

子供時代は何でもできると思っていた。だけど大人になったら様々などうにもならない問題に溢れていた。

カワリーノさんが見せた悪夢。「鏡の国」でダークキュアたちが語ったこと。
夢を叶えて何になるのか。
久々に集まった一同はみな悩んでいた。傍目には成功しているように見える。が、各自が劣等感を覚えている。

例えばこまちさんの悩みは、ダークミントやこまちちゃん人形から指摘されたことそのもの。
誰かの代わり。誰かの予備。自分は空っぽの人形で、損な役回り。
町内会の手伝い。家業の手伝い。手伝い手伝い手伝い。確かに貢献してる。小説も何かの賞を取った。で、それが何になるのか。

プリ5の精神は「夢を目指すとき人は一人きり。だけど同じように夢を目指して頑張っている人がいれば、私も頑張れる」。
たとえどんなに離れていても、見えない糸でつながっている。私たちは同じ空の下にいる。

それが今や逆に自分を追い詰める。みんなはあんなに立派なのに、それに引き換え私は…。
プリ5の続編として、この上ない完璧な心の折り方だと思う。

夢の無意味さ。変化の悲しさ。
ナイトメアとエターナルがここにきて心に忍び寄る。

そんな状況で遭遇したシャドウの群れ。たまたま居合わせた教え子を守るために夢原先生は奮闘なさる。
的確な指示と共に発せられる「大丈夫」の言葉が胸を打ちます。
際立って強調して発せられた台詞ではなかったのに、あの頃のイントネーションや響きそのもので、ああもう「大丈夫」だと謎の確信が沸いてくる。

シャドウに捕縛され、夢の終わりを囁かれる中。夢原さんを奮い立たせたのは、るみちゃんと交わした「未来で会おう」の約束。
かつてフローラさんとの「だって会いに行くって約束したから」と同じ精神です。
夢の先で会いに行く。だからうずくまっている暇はない。

舞い降りたプリキュアバタフライを、夏木さんも認識してたのがさりげなく好き。
何が起きるかはよく知っている。あの蝶だ。

細かな設定的なところで言うなら、バタフライで変身したのは5の夢原さんで、キュアモは蝶(パルミエ)と薔薇(ローズガーデン)の力で変身してる。
今のキュアローズガーデンの主は夢原さんですから、彼女はローズガーデンの力的なものを行使はできるはず。
ただもうそんな設定は今はどうでもいい。野暮というもの。

若返ったから変身できるというより、変身できるのだから若返った。
これについては今後何かありそうなので先走って踏み込むのは避けた方が良さそうですが、今はそれで納得できます。

無邪気に何でもできると思っていた子供時代とは違う、現実のままならなさを知った上でのキュアドリーム。恐ろしく強いです。
「大人って辛いんだよ」的な負の描写が、綺麗に反転して強さに繋がるのは見事としか言いようがない。本当に強い。大人だから強い。子供時代の想いを、大人の今、昇華して取り込んで変身したその姿。希望のプリキュアと同時に絶望のプリキュアとすら思う矛盾しまくった感動が巻き起こるほど、とにかく強い。

本当に今、プリキュア5の続編を見てるんだなと感動しまくってます。
ちゃんと「オトナ」であり「プリキュア」でもある。凄いなこれ。本当に凄い。

【変身】
変身時には子供の姿に戻った。

子供時代の自分と、大人になった自分は全く別の人間ではない。
昔の自分は消え去ったのではなく、今の自分を構成する大事な要素になっている。
だから昔の気持ちを取り戻せば、昔の自分の姿にもなれる。
乱暴に情緒もなく言うなら「昔取った杵柄で、昔を思い出したら上手く行った」みたいなものか。

「大人では解決できないことを、子供なら解決できる(大人になったら解決できなくなった)」のではなく、「私の中にいる子供時代の大事な思いが、今を切り抜ける力になる」。

10周年のハピネスチャージでも15周年のハグプリでも、同様のことは大事な要素になっていました。
子供時代のイノセントな気持ちを忘れないで。私が憧れたのはこんなことで心折れる私じゃない。
幼き頃の思い出を胸に立ち上がるのは、子供番組たる「プリキュア」の未来の戦いとしてとても納得がいく。

ただ、きっかけとなったタイムフラワーは、見た目の感じが何やら怪しいです。
「時を戻す」のは「先に進む」に主眼のある夢原さんとは合わないとも思う。
なのでここから何かもう一捻りありそうな気がする。

【スプラッシュスター】
現時点で「プリ5」の続編として完璧なだけに、美翔さん達がどう割り込むのかさっぱり分かりません。
出オチかに思われたダークナイトライトが、事態を把握して暗躍してるっぽいのは素直に胸が高鳴ります。あの霧生さんたちが、密かに戦ってる…!
で、美翔さんはどうするんでしょうか。これからしばらくはプリ5メンバーの再始動が続くとして、そこから登場するのかしら。
実はもう花鳥キュアとして影で戦ってますとかもあるのかもしれない。
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(第36話)ひろがるスカイ!プリキュア「あげは、最強の保育士失格!?」感想

2023年10月13日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第36話)ひろがるスカイ!プリキュア「あげは、最強の保育士失格!?」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第36話より)

美翔さんがお若い…。
オトナプリキュアの余波で「過去の話」と認識されていくのだろうか。

●あげはさん
初の成人プリキュアの触れ込みで登場した、あげはさん。
今回は園児の引っ越しネタで、奇しくも同じく成人のオトナプリキュアの引っ越しネタと被ってしまった。

大前提として、引っ越しは悪いことではない。
オトナプリキュアのるみちゃんも前向きに捉えています。そちらで描写されたような金銭問題や離婚などの負の要素の言及すらありません。

保育園の事情もある。
一般に、学区選びや小学校入学後の転校は不利との判断から、保育園の内にマイホームを購入し引っ越す方は多いです。
転勤も未就学児なら単身赴任より帯同を選ぶ人が増えるだろうし、2人目の出産での働き方の変化など、保育園児は入園から卒園まで、必ずしもずっと通い続ける性質のものではない。

あげはさんが引っ越しを悲しむのは人間心理としては普通の感情ですが、上記を踏まえると保育士としてズレているように見えてしまう。
実際、彼女が悩んでいたのは「引っ越しを悲しむたけるくんの気持ちをケアできないこと」であって、「引っ越すから悲しい」といった単純なものではなかったとは思います。その点に本編描写も触れてはいる。
ただこの状況は説明が難しく、伝えることを放棄していたように思う。

あげはさんが高校生だったら「別れが悲しい」でも全く問題ないのですが、「初の成人」を謳ってしまっているとどうしてもプロとしての未熟さが強調されてしまう。

間が悪いことに、オトナプリキュアの夢原先生は、不発だったとはいえ事態を解決するための案を携えて具体的に動きはした。
その上で「どうにもままならない」ことを描写していました。

オトナプリキュアは想定年齢が高いので、そこまで踏み込むことができ、成人の意味がある。
本編プリキュアは、小さな子がメインなのでややこしいことは省略するので、成人設定が足を引っ張る。

だったら本編プリキュアには成人はそぐわないのでは?

課題を浮き彫りにしてしまったように思う。

●ツバサくん
「ナイトなのにプリンセスに守られるなんて」。

この台詞は正直厳しい。

(1) プリンセスプリキュアやキュアプリンセスがいるのに不用意。
特に彼の場合、映画「F」で特別にフローラと共演しています。

(2) これまでマジェスティが戦うことに反対していない。
プリズムは反対していましたから、その機会はあったのに、今まで気にせず戦わせています。しかもマジェスティの方が強い。

(3) 「男なのに女に守られるなんて」の意味に取れてしまう。
男子プリキュア故に余計な要素が含まれてしまい、上記二つも悪化させています。女子だったら(1)(2)もさほど気にならなかったかもしれない。

ツバサくんがナイトを自称しているのは、「子を助けるために飛んだ父鳥」に憧れたことの派生で「子(エルちゃん)を守る」からだと思います。
それが「ナイト」だけが独り歩きし、「F」の影響でただのナイトに憧れる少年かのようになってしまっている。

「F」は他にも「スカイたちを逃がすために玉砕特攻する」シーンも問題です。
あのシーンはとても格好よく、まさに「男を見せた」といえる名シーンなのですけど、名シーンであるがために「結局は男子に求めるのはこういうのだよね」が可視化されてしまっています。
ひらひらと飛んで、危なくなった女子を助けてまわるのではなく、身を捨てて拳で戦え。ただこれは「結局は荒事は男頼りなのか」「男は力強さが評価ポイントなのか」となってしまい、反転すると「女子はおしとやかに守られているのが一番なのか」に至ってしまう。

しかもこの問題は、間もなく公演の「ぼくプリ」からも降りかかってきそうで、ひろプリさん的には悪材料が続きそう。
「F」「オトナプリキュア」「ぼくプリ」と、立て続けに包囲されてる感がある。
ちゃんと着地してくれると信じたいですが、何せ「今のところ本編に直接は関係しなさそう」「あげはさん高校生、ツバサくん女子であっさり改善」な要素なのでかなり苦しく見えます。大丈夫だろうか…。
コメント (4)
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(第1話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「ミライノカタチ」感想

2023年10月07日 | オトナプリキュア
■(第1話)キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜「ミライノカタチ」感想

謎の配信者・ダークナイトライト。
もしやこれが暗躍する今回の敵か…?と思いきや。


(「オトナプリキュア」第1話より)

即座のオチがついた。霧生さん達、お元気そうで何よりです。

舞台はあの激闘の本編から何年後か。
我らの夢原さんは小学校教師になっていらっしゃった。まずいきなり驚愕。何となく中学校(何ならサンクルミエール)で教師をやってるイメージがあったので。

いつの間にかキュアモは失われ、今や変身もできない。そのことを意識もしていない。
大人になったからなのか。それとも別の理由があるのか。だけど今はそれは重大事ではない。
彼女たちは目の前の今を生きている。

夢原さんの目下の悩みは、教え子のるみちゃん。ダンスを頑張ってたけど、ご家庭の経済状況が芳しくなく転校することに。転校先にはダンス部はない。

どうにか応援しようと、夢原先生は考えた。学校に掛け合ったり、親御さんに相談したり。
無策ではなく、一定の筋を通した現実的な案や、様々な補助政策も携えて。
だけど現実はままならない。新たな制度を作るには時間がかかるし、目先をしのぐだけでは生活は成り立たない。

まだ明確に描写はされていませんが、るみちゃんのお家は金以外の問題も抱えていそう。
今回未登場の母親は、一家の危機にさっさと離婚して一抜けで知らぬ存ぜぬです。
何か描かれていない事情があったにせよ、お父さんが自棄になるのも分かる。

プリキュアだったときは何でもできると思っていた。
しかしながら現実は、敵を殴り倒して解決することばかりではない。

ハピネスチャージの「人形の国」。
スマイルプリキュアの続編小説。
ハートキャッチのデザトリアン療法。

思い返せばプリキュアさんは、どうにもならない現実の問題に苦しめられてきた。
10周年の「人形の国」で吹っ切ったかに思えた壁が、成長した夢原さんの前に立ちふさがる。

謎の存在・ベルは語る。「時間は止まらない、戻らない」。これが何を意味するかは分からねど、街には蠢く謎の影たち。不思議な偶然か必然で再集結したプリ5の面々。
世界に溢れかえる「殴っても解決しない」問題の片隅で、夢原さんはどうなさるのだろう…?

【お帰りなさい、プリキュアさん】
プリキュア5にスプラッシュスター。
美翔舞役の榎本温子さんもおっしゃっていたように、驚くほど違和感なく当時のままで見ることができた。
それでいて感じる、あの頃には戻れない空気。

随所に溢れるオマージュや引用が謎の感情を掻き立てます。
OPにED、アイキャッチや登場人物。もうそれ一つで幾らでも語ってしまいそうな演出が次々と。

SS組からの初登場はいきなりの満さん・薫さんで、その後は健太・優子。
そして彼女らを「日向咲・美翔舞の関係者」と夢原さんは認識していない(おそらく)。
こういう距離感はとても好き。

卒業した一同がいつの間にか疎遠になってるのも良いです。
「プリ5」「GoGo」の物語は、視聴者的にはそれが全てでも、夢原さん達にとっては数十年の人生の1,2年のこと。
私達の知らない何倍もの時間を歩んで、今ここにいる。
それに何より「離れていても同じ空の下にいる」はプリ5で描かれたこと。ずっと仲良しべったりより説得力がある。

他にも大事なことやしょうもないこと、細々いろいろ気なることが溢れてくる。
夢原先生は、教え子にプリキュアが混ざってる可能性は考えてるんだろうかとか。慌てて物陰に走って行ったり、何やら蠢く鞄を押さえてアタフタしてたら、「ああ、うん、そうだよね…」と見て見ぬふりするんだろうか…。

SDGs絡みとのことでかなり不安にはなっていたのですけど、「大量消費はダメ」とか「個人の価値観優先」とかの安易な方向には行かなさそうでまずは安心。

ベルの語る「時間は戻らない」はスプラッシュスターのテーマ。
宇宙開闢前の静寂に戻りたかったゴーヤーンの夢は、全ての物に宿る命の前進により潰えた。時間は止まらないし戻らない。

これまでのプリキュアの文脈で行くなら「温暖化を食い止めよう!」とか「私達ひとりひとりが意識しよう!」のような方向ではないはず。るみちゃんを救うために皆で寄付しよう!とならないのと同じで。(いやもしかしたらその展開なのかもしれないけれど)

温暖化(不幸なアクシデント)は起きる。それは事実として受け入れるしかない。ただ無駄に悪化させる必要はないんだから避けられることは避けよう、備えよう。そしていざ起きても挫けず夢を見つめなおそう。そんな方向かしら。
夢原先生も、児童の問題を何でも解決するスーパー教師の幻想から卒業し、「できないことがある」を受け入れた上で「立派な先生」の夢を改めて目指すとか。

るみちゃんも転校先でダンス部を作ると宣言し、空元気かもしれませんが前を向いています。
夢原先生の想いはちゃんと伝わっている。彼女本人は納得できていないけれど。

OPの「夢原先生を助けに舞い戻ったかのようなキュアドリーム」の絵は無性に泣けてきます。
かつての自分。「夢」を冠するプリキュアに、現実に惑う自分自身が救われる。
実際にそういう展開なのかはともかく、子供時代のあの時の自分に救われる感覚は実感として分かる。

次回は「ケツイノスガタ」。決意の姿として変身なさる…のだろうか?
とんでもないものが始まってしまった。
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(第35話)ひろがるスカイ!プリキュア「助っ人ソラ!エースとヒーロー」感想

2023年10月06日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第35話)ひろがるスカイ!プリキュア「助っ人ソラ!エースとヒーロー」感想

映画宣伝EDに風月キュアさん登場。
風月なのにスパイラルハートらしきものを撃ってるのは、「花鳥で戦ってスパイラルハートを撃ち、間髪入れずに風月にチェンジして追撃している」熱いシーンだからだと勝手に思い込んでる。
そんな無茶をしなきゃいけないくらい、今回の敵は強かった。あと多分、そこまでやっても倒しきれてない。本当に強かった。


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第35話より)

時期的にソラさん個人回の総決算回、かしら。
自分一人で重責を背負い、身を壊しても期待を全うしようとする野球部エース様は、シャララ隊長やソラさんのバッドルート。その彼女を、自身の体験を踏まえてソラさんが支えた。

綺麗に着地したとは思うのですが、これをやるならもっとあちこちに顔を出し、「色んな場所に色んなヒーローがいる(ヒーローとは戦う人のことだけではない)」を描写した方が分かりやすかったような気はする。
何せ「まだ学校に行ってたのか」とすら思いましたし。今回の話、草野球チームとかでやった方が一貫性はあったかもしれない。

蛇足ながら、ちょっとドキプリのマナさんを思い出した。
彼女は何でもできる方ですが、他者の指導はやっていなかった。かなり特徴的に。
モチーフの「幸福の王子」も、直接的な金銭支援を重視し、教育のような先々を見据えた動きはしなかった。
「教えている時間の余裕はない(危機は待ってくれない)」ので、間違っているわけではないのですが、そのままだといずれ破綻してしまう。

この「幸福の王子」のバッドエンドルートをどう回避するかがドキプリのテーマの一つになってましたが、ひろプリさんにも似たことが言えそう。
ヒーローが一人で戦う必要はない。
「F」で描かれた「繋ぐ」にも通じることで、ましろさんのような友人や、青の護衛隊のような同僚や、野球部のメンバーなどなどがいる。
ヒーローの頑張りは周囲にも伝わり、ヒーローその人が一人で頑張らなくてもいい。

思えば、シャララ隊長を見てソラさんが、ツバサ父を見てツバサくんが、そしてましろさんやマジェスティへと連鎖しています。一人ひとりがそうやって繋いでいくのが、ひろプリさんの中心なのかも。
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