老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「恐れ」に振り回されないように

2017-01-24 22:00:18 | 社会問題
アメリカはトランプ政権となり、選挙中の言動と同じく大統領就任演説もアメリカの国益を第一にする強いアメリカを…という自国中心主義で、国際協調とは相いれない方向を目指すらしい。

トランプの選挙中の発言の7、8割は、根拠を持たない放言・嘘であったと聞く。しかし、それを是として6000万人がトランプを大統領にしたのだ。そのほとんどが移民への排他主義を唱える白人の中産階級だと聞く。

大西洋を越えた英国でも、EUを離脱し移民の制限を、という排他主義の政権となった。自国第一主義は政治家として当然でもあるが、これだけ世界とつながりを持っている社会で、短絡的な自国主義、エゴイズムは敵を作りはしないだろうか。

アメリカの富裕層はユダヤ系が多い。トランプはイスラエルの米国大使館をエルサレムに移すという。複雑な歴史を無視した行動は、パレスチナやアラブの国々の反発を招きはしないだろうか。

また、貧困層も医療保険に加入できるようにしたオバマケアをさっそく廃止し、2000万人の保険を吹っ飛ばした。これらの人々は高額な医療にどう向き合うのか。アメリカ人の自己破産の原因の8割が医療費だと言うのに。

米国民の半数はこうした政権を選んだわけだが、その心には「恐れ」があると思う。移民が自分の仕事を奪っていくのではないかと恐れ、異文化がアメリカの伝統文化を侵害していくと恐れ、もっと自国民の利益を図らないと自分の「中流」とする生活が壊れはしないかとの恐れがあるのではないだろうか。

日本でも「恐れ」が人々の行動を支配する例は多い。例えば、軍事力増強を求める人々の根拠は、隣国への恐れだろう。安倍政権、自民党の支持も、アベノミクスが経済を支えてくれるのではないかという幻影に頼るのも、自分の「中流」の生活が壊れはしないかと言う「恐れ」によるのではないか。

もちろん野党の問題はあるが、「恐れ」に囚われた守りの姿勢では、現在の問題も見えなくなるし、これではいけない、なんとかしなくてはと言う気概も生まれない。残念ながら日本社会の「長いものには巻かれろ」「出る釘は打たれる」といった臆病さが、今の政治を支えてはいないだろうか。

「恐れ」の気持ちが湧いたときは、それが何の根拠から来ているのかを検証したい。「自分は恐れてはいない」というなら、自分の依って立つ根拠を再考してみよう。故なき「恐れ」は、他者と自分自身の人権を侵害してしまう。そして他者への差別と憎悪の連鎖を招きかねない。

先週のコラムで「共謀罪(テロ等準備罪)」についての論考があったが、この法案も人々の心の「恐れ」を利用して成立させようとしているのではないか。真珠湾で首相が語った「敬意を表し」「理解しよう」とする心、「和解」や「寛容」と、この法案との乖離は、先の言葉が「嘘」ではないか?とすら思わせる。

「怯懦と傲慢」という表裏する心が私たちの社会の中に存在しないかと、今一度考えてみたいと思う。

「護憲+コラム」より




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