老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

生きるために必要なもの

2024-07-01 12:47:46 | 社会問題
数か月前に知人が「社会の中に隙間がなくなっている気がする」とインタビューで話していた。これを読んだ自分は、現在の社会には隙間はそれなりにあるけど、その隙間に入るために金銭や能力などが必要とされていて、何もしなくてもいられるところが少ないのではないかと思った。

かつては無人の待合室のような場所を設けていた駅が、駅前を整備してカフェやサウナ、さらには宿泊施設を設け、金銭を支払わないと利用できない空間に変化していた。

観光を主とした場所だけでなく、都市部においても通行人か消費者以外の存在を許さないような街づくりが目立ち、財産や目的を持たずして立ち寄れる隙間を探すことの難しさを感じている。公共施設の中で無料の休憩スペースだった場所を、飲食物を注文しないと利用できないようにするなど、物と交換するための貨幣を持たないものを排除する動きは現在進行形で起きている。

何かを必要とせずに楽しめる隙間や余白は、数は多くないが今でも探せば存在する。そういった隙間の存在を人々で共有し伝えていくこともできる。しかし、こうした空間を許さず誰かが所有して管理するべきであると考える人たちの目につき、取られてしまうのだろうか。

何も持たず何の目的もないままでは隙間を享受できず、無為に漂う者を参加させようとしない社会に未来はあるのかと悲観的に考えてしまう。

管理し支配する側も多様性を受け入れることをしきりに叫んでいるが、支配する側から見て包括すべきマイノリティと好ましくないマイノリティに線引きされていないだろうか。マイノリティ性を持ち合わせていても、社会の中で与えられた役割を果たせる人だけを社会参加させようとしていないだろうか。

能力があって世の中の役に立つ人にとっては、隙間を水か空気のように活用できていて、もはやその存在に気づけないのかもしれない。しかし、能力や財産がないとみなされた人間には、目の前にある隙間に入り込めないことこそが問題なのだ。なにより、こうした分断を解決していく必要があるだろう。

「護憲+コラム」より
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コメント (1)
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