老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

普天間問題の解決策

2010-02-19 15:18:53 | 民主党政権
2月17日のアサヒコムによれば、国民新党がここに来てキャンプ・シュワブ(同県名護市)陸上部への移設案を提示し、これに対しグアム案を検討していた社民党が抗議し、結局痛み分けのような形で社民党と国民新党の政府への提案も棚上げされた様である。結局連立の中枢政党である政府民主党案が提示されなければ何も進展しないということであろう。

http://www.asahi.com/politics/update/0217/TKY201002170454.html

民主党は先の衆議員選挙では県外、国外移転を選挙公約にして沖縄県の自民党議席を奪ったのだから、本来それを遵守するのが当然である。しかし必ずしも政権が取れるとは思っていなかったので、現在県外国外移転の候補地探しに苦慮していることも事実であろう。

ところでなぜ鳩山政権は移転先の候補地探しに苦心惨憺しているのであろうか。それは普天間問題の核心を捉えていないからである。そもそも普天間問題を基地の移転問題として捉えることは、米軍海兵隊を日本に必要不可欠な抑止力と位置づける自民党の考え方にある。この考えを踏襲する限り連立政権政党とも移転先の候補地探しの呪縛から逃れることは難しい。そのような自民党の外交防衛政策とは一線を画し、米軍海兵隊は沖縄に存続する必要はないという不要論に立つべきであり、それが普天間問題の核心である。

既に言い古されたことであるが、米軍海兵隊の役割はその機能から日本防衛のための軍隊ではなく、アジア大陸に何か有事が発生した場合の米国のアジア戦略のための軍隊と言われている。そのような軍隊は沖縄県民の日常生活を犠牲にしてまで日本には必要ないと政治決断しお引き取り願えば良い。これが沖縄で議席を得て政権交代した意義でもあろう。そうすれば代替基地を探す必要もないはずである。

そしてお引き取り願う海兵隊がグアム、ハワイ、サイパン等どこに再配置されようが、もとより日本防衛のための軍隊ではないのだから、日本政府が立ち入る余地も必要もない問題である。先般日本の連立与党の有志議員がグアムやサイパンを訪問し、現地の首長や現地の米軍司令官の意見を聞いて、受け入れの脈が有りや無しやを探ったと報道されているが、ナンセンスなことである。米国政府がアジアの軍事戦略上から次の最適な場所を決めればいいのである。

民主党は憲法9条を解釈改憲して集団的自衛権を目指す自民党とは違うはずであり、また米国との過去のしがらみもなく、発想のコペルニクス的転回が可能なはずである。 即ち民主党は日米安保体制は維持してもアジアの現状認識と外交防衛方針は自民党とは同じでないことを米国政府に示せばよいのである。

昨年11月に来日したオバマ大統領は「米国は中国を封じ込めるつもりはない、米中関係の強化は(他国との)二国間関係を弱めるものではない」と演説し、中国への敵視政策を採っていないことを明らかにした。これは日本の民主党にとってもアジア外交の根幹であり、渡りに船の演説だったと言える。事実小沢幹事長は先般140名の民主党議員を中国の国家主席に会わせているほどであり、このことも日本でのオバマ演説に反してはいない。

これらを含めて自民党とのアジア外交方針の違いを米国に示して、それを根拠に沖縄の海兵隊を断固お引き取り願えばよい。そのために今すべきことは、あたふたと普天間の代替基地を探し回ることではなく、5月までに米国と交渉するための政府民主党のアジア平和外交と防衛方針の策定であろう。

仮にそれが米国の外交防衛戦略と一致しなくても気にする必要はない。本より外交防衛は生き物であり絶対正解などありえない。米国のイラク攻撃、アフガン侵攻、古くはベトナム戦争、日本の日米開戦を見ても、よかれと思いやったことが失敗している例はいくらでもある。そして何れも軍事力を背景にした外交防衛の過信が失敗を招いている。

そこで最大の問題は日本が海兵隊の完全撤収を求めた場合、オバマ政権が自ら日米安保条約の破棄を求めて来るであろうかということである。結論は日本政府が求めない限りそれはあり得ないであろう。

なぜなら、そうした場合、戦後構築してきたアジア太平洋地域における米国のプレゼンスを失い、在韓米軍、米台アジア関係にも支障を来たす。何よりアジアにおける米軍の縮小を意味し、共和党や軍需産業の民主党ロビイストや軍需産業に従事している労働者に支持されている民主党議員が承知するはずはない。更に年間5兆円の日本の防衛予算を米国の軍需産業が見放すことはあり得ないからである。

そのことは先に国防省が新型爆撃機の日本への輸出中止を決定した際にも軍需産業の労働者が反対したことでも明らかであり、今回の台湾への武器輸出も軍需産業への配慮とその労働者の雇用維持からであることは明らかである。

その上今年中間選挙を控えたオバマ民主党は、今内政問題で剣が峰に立たされて、全方位の内政施策を敷かざるを得ない状況にあり、例え鳩山政権が海兵隊の沖縄からの完全撤収を願ってもオバマ政権が国内の軍需産業に打撃を与えることになる日米安保条約を破棄することはあり得ないであろう。

万一破棄されたとしても日本に在日米軍基地が無くなれば、米国の戦争に巻き込まれる危険性が減り、かえってその方が日本は安全な専守防衛が可能になるという国際政治学者も居るくらいで、それも一理あると思う次第である。

「護憲+BBS]「新政権ウォッチング」より
厚顔の美少年

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