老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「教育と愛国」こんなことになっていたのか!

2022-05-28 09:56:52 | 社会問題
「教育と愛国」

予約を入れようとして驚いた。1日先の席は満席。2日後の予約で観ることができました。

小さい劇場ですが、観た日も13時50分からの上映が、10時には満席。「早めにご予約を」と係員が来場者に謝りながら説明をしていました。
みんな、教育の在り方が心配でならなくて、この映画を観に来たのでしょう。

教育は、学びの中で、個人として自由に考える力を付ける。しかし集団だから違う意見も尊重し、聞き合い一緒に考え、その上で共に暮らす知恵を学ぶ。

だが、一方的にこれは良い、これは悪いと政府が決めて、刷り込んでいくことは、自由に考える力を損なってしまう。
そういう教育が行われている国もあるが、日本は憲法の三章第十九条で、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」第二十三条では「学問の自由は、これを保障する。」とある。

映画は、時系列で教科書の変化や、政治がどのように介入してきたかを描きます。「こんなことにまで、なっていたのか?」と改めて驚かされました。

教科書の日本の戦争の記述に、政治家が口を出し、検定で曖昧にさせていく。
政治家が自治体に圧力をかけて、自分たちの気に入った教科書を採択させる。
建国神話をたっぷり、戦争は仕方が無かった、日本軍は良いこともした…。

そうした方針に従わない教科書は採択させないよう、それまで教師が選んで採択数1位だった教科書会社を、倒産に追い込んだ。
「間違ったことを外国が言っている」「自虐史観」という主張は、間違っているか、自虐なのかなど検証もせずにただ主張するだけ。

戦場となった沖縄で、日本軍兵士が住民に自決を勧め多くの住民が死んだ。「集団自決は神話だ」と、その証言も認めない。
沖縄戦での死者は約20万人。米軍は1万2520人、19万人弱が日本の犠牲者で、そのうち 県外出身将兵 65,908人、沖縄県出身将兵 28,228人、最も多いのが住民で 約94,000人。軍が渡した爆弾で住民は自爆という証言があるのに…。

慰安婦の授業をした教師や、ジェンダー論の中で取り上げた社会学者には、ネットや葉書で脅しをかける。葉書を出した中に籠池泰典氏もいて、インタビューが可笑しい。安倍晋三氏ら多くの政治家のいる「日本会議」が動いている。

東大名誉教授の歴史学者の「歴史に学ばなくてもいい」発言には唖然。
この方、長年、学生に歴史を教えて来た自分を否定しているのか?
歴史を学ぶことが左翼とは知らなかった。ということは、右翼は歴史すら学ばない?

国家が愛国を唱える時に、様々な発言の矛盾がこんなに零れ落ちてくるとは。
事実の検証もせず信じ込めること、解釈は如何様にも歪めることが可能なのだと。
これは誰しもに起き得ることだと、歴史を学ぶ必要性をひしひし感じた。
そのためにも歴史や学問、教育に、政治を介入させてはならない。

「愛国」についていうなら、他国の悪口雑言を吐いて敵対心を煽る人は、国を愛してはいないと思う。
私は「留学生の母親」運動に参加していた。アジアからの留学生たち他国の人と仲良くして、彼らは「日本はいい国だね」と話してくれた。
日本を好きな人達になって貰う方が、ずっと愛国的だよね。

――――――
この映画の公式サイトは一見の価値がある。一部をご紹介。
https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/

ひとりの記者が見続けた“教育現場”に迫る危機
教科書で”いま”何が起きているのか?

いま、政治と教育の距離がどんどん近くなっている。
軍国主義へと流れた戦前の反省から、戦後の教育は政治と常に一線を画してきたが、昨今この流れは大きく変わりつつある。2006年に第一次安倍政権下で教育基本法が改変され、「愛国心」条項が戦後初めて盛り込まれた。

2014年。その基準が見直されて以降、「教育改革」「教育再生」の名の下、目に見えない力を増していく教科書検定制度。政治介入ともいえる状況の中で繰り広げられる出版社と執筆者の攻防はいま現在も続く。

本作は、歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、保守系の政治家が薦める教科書の執筆者などへのインタビュー、新しく採用が始まった教科書を使う学校や、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師・研究する大学教授へのバッシング、さらには日本学術会議任命拒否問題など、⼤阪・毎⽇放送(MBS)で20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代ディレクターが、「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録した。

教科書は、教育はいったい誰のものなのか……。
――――――

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “リニアには乗りません宣言”... | トップ | ブチャ虐殺事件はどこにいっ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

社会問題」カテゴリの最新記事