老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」を読む

2024-06-15 10:14:55 | 社会問題
1,はじめに

今回と次回で、ダグラス・ラミスさんの「本」を基に、日本の憲法政治の問題点を明らかにします。(いつもながら、コラムとは異質な論稿になる。)

ラミスさんの指摘で、日本の政治がかなり危ない状況になっていることが明白に理解できました。ラミスさんの警鐘はかなり的確であり、今回はその文章を引用、紹介します。

2,「タイタニック現実主義(本文、第1章)」

1999年9月22日の「ジャパンタイムズ」の4面に、国連環境プログラムが、「地球環境展望2000」という報告書を出したという記事があり、報告書には現在の地球環境がどれだけ危機的な状況にあるかが書いてある。そして、「先進工業国の資源消費を90パーセント減らすことを目標にすべき」と提言している。「そうしないと未来の世代は大きな生命の危機に直面するであろう」というのが報告書の結論である。

次の面は経済面、その5面に「日本経済は不景気から少し復活し始めた」という記事がある。電気の消費量が増えているのだから、経済は回復しているということだ。

4面の記事は陳腐になるほど、みんなが聞き飽きてしまったほど出ているが、この経済面には少しも影響を与えていない。

ラミスさんは、この新聞記事の二つの対比によって、「現実主義」の言葉のまやかしに異議を唱えている。

4面の国連の「報告」は国民多数が「聞き飽きた警告」であり、実際に、地球温暖化や水不足による農産物の被害の拡大などが深刻になっているのだが、世間の「常識」は、経済成長を求めて、電気の消費量が上がっても、不景気からの回復が優先されることが期待されている。

(「冷戦後でも紛争は108件も増えている」という大事な問題が書かれていますが、引用が長くなるので、省略します。)

そういう中で日本政府の「現実主義者」たちは、周辺事態法を可決させたり、憲法調査会を作って憲法第9条の廃止を準備したり、日本の半世紀ぶりの戦争への直接参加を凄まじい勢いで準備しています。(2003年当時の事項です。)

ラミスさんは、ここで、日本政府の「現実主義」をタイタニック号の比喩を使って、次のように表現しています。

3,「誰もエンジンを止めようとしない」

多くの人にとっては唯一の現実は、「タイタニック」というこの船だけなのです。
タイタニックの中にはいろいろなルーチン(日常の作業)があります。みなそれぞれにルーチンを持ち、それをやり続ける人が「現実主義者」なのです。(中略)
国連の報告を聞くまでもなく、このまま進めば氷山にぶつかるということはほとんど決まっていることなのですから。

4,今回の結論

ラミスさんの本は、新書であり、普通サイズですが、政治と経済の重要問題に言及していて、情報量は多く、日本と米国の「戦後史」に独自に視点から分析されており(私のコメントは今回は、言及できませんでした)、21世紀の現在、ウクライナ戦争とイスラエルのガザ侵攻の問題にも適用可能な論理が本書に表現されています。

特に今日のニュースでも国連の決議があり、イスラエルは「人権侵害国家」という認定があり、ラミスさんの理論はこの問題にも適用可能であるとの解釈を、次回コラムでは詳述したいと思います。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵

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