音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ 作曲家リゲティについて ■

2007-12-24 13:32:08 | ★旧・私のアナリーゼ講座
■ 作曲家リゲティについて ■

2006/7/11(火)

★作曲家のジェルジ・リゲティが2006年6月12日、ヴィーンで亡くなりました。


83歳でした。


ハンガリー人の両親の下にルーマニアで、1923年5月28日生まれました。


コロジェヴァール(現ルーマニア領)とブダペストで、音楽を学びました。


1950年より、ブダペスト音楽院で音楽理論を担当しました。


ユダヤ人として、ナチスドイツの強制労働キャンプに収容された経験もあります。


1956年のハンガリー動乱の後、ヴィーンに亡命し、以後西側で作曲活動をしました。


経歴からも明らかなように、バルトーク(1881~1945)の様式で書くことから出発しました。


以後、西側の作曲家と交流し、トーン・クラスター(音を塊としてとらえる)の大オーケストラ作品

などが有名です。


詳細に作品を検討しますと、彼の作品は一生涯、対位法から離れることがありませんでした。


音の塊のようにみえるオーケストラの響きも、個々の楽器については、彼独特の対位法で動いて

おります。


そのオーケストラ的「音響」だけを取り出し、真似をしたその後の世代の作曲家の作品とは、

大いに異なります。


リゲティの作品は、古典として定着する可能性をもっています。


チェンバロ独奏曲の「ハンガリアンロック」「ハンガリアンパッサカリア」「コンティニウム」は、

優れた作品です。


チェンバリストから愛好されています。


特に、「ハンガリアンパッサカリア」は、ミーントーン調律を指定しております。


平均率の調律とはまた、異なった味わいがあります。


私が昨年、作曲いたしましたチェンバロ独奏曲「ウルフ・イン・ザ・スカイ」や、

能管とチェンバロのための「水辺の西王母」も、ミーントーン調律を採用しております。


古典調律は、バロック時代だけの占有物ではなく、現代作品においても、よい楽器、よい調律師に

恵まれれば、素晴らしい効果を発揮します。


リゲティの出発点であるバルトークは、もし、彼がいなかったら20世紀の音楽は、

全く違う形をとっていたであろうと思われるほど重要な作曲家です。


9月24日(日)の午後、日本ベーゼンドルファー・東京ショールームで、バルトーク

「ミクロコスモス」とバッハ「インヴェンション」を対比しながら、分りやすくアナリーゼ致します。


バルトークもリゲティも作曲の根幹は、バッハに拠っています。


バッハの対位法がどのようにバルトークに影響をあたえたのでしょうか。


私はこの夏休み、楽しみにそれを探索してみたいと思います。


▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲

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