僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

佐野洋子さん「死ぬ気まんまん」

2022年05月18日 | 読書

前回ブログでわが友ヒロさんにいただいたコメントの中に「人生100年時代」という言葉が出てきましたが、本当に今は長寿社会になりましたね。

日本人の平均寿命は女性が87歳で男性が81歳と、ここ10年近く、毎年過去最高を更新しているとのことです。

昔は「人生50年」と言われていました。夏目漱石は49歳で亡くなり(慶応3年~大正5年)、明治天皇は59歳で、大正天皇は47歳で亡くなられています。今なら「早世」と言われる年齢ですが、そういう時代ですから50歳そこそこで亡くなっても「早すぎる」という感覚はなかったのでしょうね。

その頃に比べると今は「人生100年」ですから、時代も変わりましたわ。

でも長寿社会と言っても、当然ながらあくまで平均です。だから自分も長生きするとは限りませんよね。僕だって明日死ぬか5年先なのか10年先なのかわからない。また、どんな死に方をするかもわからない。

しかし、長寿社会だと言っても、寝たきりやほとんど体が動かせない状態の人たちも結構いらっしゃるんじゃないか。90歳以上でも元気バリバリの方は大勢いらっしゃるが、80代で寝たきりの方もいらっしゃいます。だから平均寿命が延びたことが無条件にいいことだとは言えませんよね。

そんなことで僕もこの年になると、「死」ということがチラチラと頭に浮かびます。そんな折、佐野洋子さんのエッセイ集「死ぬ気まんまん」という本と出合いました。先月に図書館で借りてきて読んだのですが

図書館でその背表紙のタイトルが眼に入った時、ビックリしました。
「死ぬ気まんまん」!!

「やる気まんまん」はわかるけど「死ぬ気まんまん」とはね。
で、ビックリしたついでに借りて読んでみたのですが、これがメチャ面白くて時間の経つのも忘れ一気に読み終えてしまいました。

佐野さんはこの本を書いた時、がんで余命2年程度と宣告されていました。それでも、ひょうひょうと、自分のこと、まわりのことを綴られているんですよね。「人生は面倒くさいし大変なものがあるが、ごはん食べて寝て起きてさえいれば、どうにかなる」というようなことも書かれています。まぁ、言いたいことを気持ちいいほど遠慮なく書かれているのもこの本の大きな魅力です。

ただ、死ぬときは簡単に、コロッと逝きたい。
死に至るまでの苦痛が怖いのです。

とも書いておられました。つまり、死ぬのは全然怖くない(なにせ「死ぬ気まんまん」ですからね)。でも、死に至るまでの苦痛は怖いので、コロッと逝きたい、ということです。これは僕もそうですが、多くの人が共鳴するでしょう。僕なんかも、延命措置なんか絶対に受けたくないし。

そして、
佐野洋子さんはこのエッセイ集を書き上げた直後、72歳で亡くなり、その後にこの本が出版されました。今から12年前のことですが、まさに「死ぬ気まんまん」で遺作を書き上げたのですね。

今では僕は亡くなった佐野さんの年齢を超えてしまいましたが、この本を読んだことで、何となく自分が死ぬということを客観的に見つめられるようになった気がします。

まぁ「死ぬ気まんまん」とまではいきませんが、人はみな必ず死ぬのだからそれほど気に病むこともないやろ、という感覚のようなものでしょうか。

 


   

  光文社から出版された「死ぬ気まんまん」
  随所にゲラゲラ笑えるところもあって、
  まだお読みでない方には、お勧めします。

 

 

 

コメント (4)
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