つい2時間ほど前のこと。
午前8時前のことである。
テレビの「朝ズバ」をかけていたら、
「さて、いよいよ発売の時間ですねぇ」 と、みのもんたが言う。
何の発売かといえば、新しいスマホの発売である。
米アップル社の 「iPhone5」 という最新型スマホ。
テレビは東京銀座の、あるアップル販売店を映し出している。
午前8時に店が開き、販売が開始されようとしているところだ。
ものすごい人数の行列が画面いっぱいにズラ~り。
前日から並んでいる人も大勢いるそうである。
まるで、どこかのお祭りのような風景だ。
みんな、午前8時になるのを心待ちにしている。
報道陣も、店のまわりをぎっしりと取り囲んでいる。
なんだ、これは…?
それほどの大ニュースなのか…と画面を見ていると、
やがてテレビ画面左上の時刻表示が、
午前7時59分から8時00分に替わった。
…その瞬間、行列の群集から「さん、にぃ、いち~」と、
どよめくようなカウントダウンが起きたのである。
そして、「ゼロ~」 の大歓呼とともに店が開き、
並んでいた群衆がどっと店の中に吸い込まれて行った。
待てよ…?
ちょっとおかしい。
細かいことだけれど、8時ちょうどから販売が始まるのなら、
カウントダウンは8時になる直前から始めなければならない。
「さん、にぃ、いち、ゼロ~」 で8時になるんじゃないか。
それが、8時ジャストから 「さん、にぃ…」と 数え出したのだ。
いや、ほんと、細かいことだけれど、気になった。
後でその理由がわかった。
どうやらそれは店の側の演出だったようだ。
つまり、午前8時からテレビ各局でワイドショーが始まる。
午前8時に始まるワイドショーは冒頭にこの光景を生中継するはずだ。
なのに、8時で 「ゼロ~」 となっては、何のことやらよくわからない。
だから、数秒ズラせて、8時になった時点から 「さん、にぃ、いち~」
のカウントダウンを開始し視聴者にわかりやすくしたというのである。
アップル銀座店は、日本中の注目を浴びる瞬間をうまく演出したのだ。
なるほどね~
僕は 「朝ズバ」 を見ていたので、この番組は8時をまたいでいるけれど、
他局では、ほとんど8時からワイドショーが始まるので、
その視聴者に対し、より効果的な映像を見せるため、
こんな演出をしてみせた…というわけだった。
まったくぅ、アップルも宣伝上手だよね~
で、行列に並んでいる人々は東京の人だけでなく、
いろんな地方からやって来た人も相当いるということだ。
中には札幌からはるばるやって来たという人もいたのに驚いた。
新型スマホは全国で発売されるのになぜ東京銀座のアップルへ…?
と思いたくなるが、銀座の行列に並ぶのが目的という人も多いという。
テレビの生中継も、この店で行われるのですからね。
つまり、これは、本当にお祭りなんだ、と思う。
お祭りであれば、遠方から来て、前日から並んで、
カウントダウンを叫んで盛り上がるのもわからなくはない。
ただ、テレビを見て、ヒマな人たちだなぁ、と思う視聴者もいるだろうね。
(行列に並んでいた方、すみません)
新型スマホ発売! というニュースは、ある程度の年配者で、
スマホを詳しく知らない人たちにとっては、関心を抱きにくい。
なんとなく気にはなっても、新型が欲しい~という人は少ないと思う。
僕みたいにスマホを持っていても、わずかな機能しか使えない人間には、
「データの処理速度を高め、動画撮影機能や音声認識機能も強化」
という宣伝文句も、あまり自分とは関係ないな、という印象である。
わかるのは、「薄型軽量化を実現」 というところくらいである。
まあ、そんなことで、朝から演出効果たっぷりの
「新型スマホ発売風景」 の実況中継を見せてもらった。
僕のほうも、去年に携帯からスマホに替えてほぼ10ヶ月が経った。
もう少し、いろんな機能を使えるようになればなぁ、
…と思い、マニュアルや市販の解説本を買ってはいるのだが、
なかなかじっくり研究する余裕がなく、限られた機能しか使えない。
(読んでもわからない単語が多く、すぐに挫折するのだ。トホホ)
テレビの長蛇の列を見て、なんでそこまでして、と思いながらも、
新型に飛びつこうとする人たちが、ある一面ではうらやましい…
若い人たちはスマホを自在に使いこなしているんだろうな…と。
それが今朝のテレビを見ての、正直な感想である。