僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

一転 恐怖のサイクリング

2010年11月05日 | ウォーク・自転車

昨日11月4日は素晴らしいお天気であった。
雲ひとつない…と思ったら、2つほど浮かんでいましたけど (笑)。

この日、モミィの初めての遠足だった。 絶好の日和に、天を仰いで感謝した。

行く先は、奈良県の二上山という山のふもとにある 「ふたかみパーク」。

正式には、 「二上山ふるさと公園 ふたかみパーク」 という。

園児の年長さん2組と年少さん1組の合計69人が、近鉄藤井寺駅から電車に乗った。

駅までモミィを送っていった妻が帰って来るのを待って、僕は外出の用意をした。
このさわやかな秋晴れの下、家に引っ込んでいるのはもったいない。

それに、毎日10時~12時に水泳に通っているコスパも、木曜日は休みだ。
ちょうどいい。 マウンテンバイクで、奈良方面へ出かけよう…

リュックを背負い、マウンテンに乗った僕がめざした場所は…

うふふ~。 二上山のふもとにある 「ふたかみパーク」 なのであった。
つまり、モミィが今日遠足で行っている場所である。

園児たちの様子を、遠目であってもひと目見たい…という誘惑もあった。
同じサイクリングをするなら、それのほうが楽しみが大きいだろう。

片道で1時間半ほどという手ごろな距離。
僕の家の近くに大和川とその支流の石川という川が流れていて、
そこの河川敷が、美しく整備されたサイクルロードになっている。
むかしマラソンをしていた頃、休日にはこの道を往復40キロ走などをしたものだ。

「ふたかみパーク」 へは、そのサイクルロードを通って行けるので好都合だ。

久しぶりのサイクリングに、ルンルン気分の僕であった。
「♪ サイクリング サイクリング ヤッホー ヤッホー 」 
などと、50年前にはやった流行歌などを口ずさみながら、地図を確かめる。

しかし、地図を見ると、サイクルロードより近道のコースがあった。
国道165号というのがあって、それを走って行くと、道なりで 「ふたかみパーク」 へ着く。

じゃぁ、往路にこの道路を走り、復路にサイクルロードを走って帰ろう。

…という選択が、とんでもないミスだったことに気づいたときは後の祭りだった。

が~~~~~ん。

国道165号線は大阪から山間部を奈良の香芝市の方に抜けて行く道である。
道路は狭い1車線で、しかも車の量が、ダンプカーなど、ものすごく多い。
さらに歩道などという気の利いたものもないし、自転車が走るスペースもない。
危険なこと、このうえもない。
対向車線にも、自転車などが走っている姿はまったく見えない。
誰もこんなところを、自転車では走らないのであろう。 あぁ、これは大失敗だった。

しかも山間部だからカーブが多い。 車から僕の自転車が死角になる恐れもある。

轟音を響かせて後ろから大型車が僕の自転車のすぐそばを追い抜いていく。
大げさではなく、僕の右の肘のすぐ横を、車がビューンと走り抜けるのである。
身体が少しでも右によれると、車にはね飛ばされかねない。
そう思うと、恐怖のあまり、よけいに自転車がぐらつく気がする。

まあ、車から見れば、僕のような自転車は危なっかしくて邪魔なんだろうけどね。

上り坂でハアハアと息切らせながらペダルを踏むが、身体の疲労などどうでもよかった。
僕を抜いていく何十台か何百台かの車の運転手の一人でも、ハンドル操作を誤れば…
その瞬間に大怪我か、最悪の場合、一瞬にしてあの世行きだ。 あぁ…。
体よりも神経のほうが恐怖で縮み、心拍が乱れ始め、不整脈が出る気配もした。

「えらいとこへ来てしもうたなぁ」

トライアスロンをしていた知人が、自転車の練習中に車にはねられ、
片足を切断して、義足になった、ということがかつてあった。 
そんなことが、ふと頭に浮かんだ。

後悔しても遅い。 戻るのも危険である。 この先、進むしかない。
「ヘルメットをつけて来たらよかった」 と、これまた悔んだ。
僕が被っているのは普通の野球帽である。
まさかこんなひどい道路だとは思ってもみなかったもんね。

どれくらい、こんなコースが続いただろう。 長~い、長~い時間だった。

ようやく山間コースから、前方の景色が大きく開けてきて、道幅も広くなった。

やれやれ…
一命を取り留めた…という正直な感想であった。
こんな緊張を覚えたのは、1年半に仕事を退職してから初めてのことである。
考えてみたら、体力は酷使することはあっても、精神的な緊張は今の生活にはない。

さて…
そこから、また道を間違え、あちらをウロウロ、こちらをウロウロ。
二上山を目印に、狭い村の中の道を走っていると、畑に出てしまったり…
ふと気がつくと、二上山が後ろの方に遠ざかって行ったり…
なにせ、道はわかっているものと思っていたから、地図は携帯しなかった。

ずいぶん遠回りしたあと、やっとのことで「ふたかみパーク」へ着いた。

動悸はまだやまず、デパスを飲み、不整脈の薬を飲んだ。

二上山麓の、広い広い芝生の運動場のような場所に、幼稚園児たちが遊んでいた。

一般の人たちも、レジャーシートを広げてお弁当などを食べている。

僕は芝生にぺたんと座り込み、グッタリとなりながら、幼稚園児たちのほうを眺めた。
70人ほどの園児の中に、モミィもいるのだろうけど、遠目なのでむろんわからない。
まあ、どうしてもモミィを見たい、というより、遠足がどんなのものなのか見たかっただけだ。

広場に散らばって走り回る園児たち。
そのうち、「お弁当ですよ~」 という先生の声が響き、園児たちはまた歓声を上げた。

野球帽にサングラスをかけて、じっと園児たちを観察している自分に気がついた。
「あ…。あんまりこんなことをしていたら、怪しげな男に間違われそうだ」

お弁当の時間だから、もう12時である。

モミィたちは2時に藤井寺駅に帰ってくる。
駅前に直接保護者たちが迎えに行くことになっており、今日は僕が迎えに行く。

急いで帰らなければならない。

よっこらしょ…と、重い身体を起こして立ち上がり、僕は園児たちを見ながら、
自転車を置いてある場所に戻って、帰途についた。

今度はよく知っているサイクルロードを走っての帰路だから、問題はなかった。
ただ、長い間サイクリングに出ていなかったので、肩や首のあたりが痛かった。

帰宅したら1時半近くになっていた。
「どうだった…?」 と聞く妻に、「死ぬかと思ったわ」 と答えながら、
あわててシャワーを浴びて身体と髪を洗い、髭を剃って、着替えた。

そして、今度はマウンテンではなく、前後に子どもの座席の着いた自転車を出して、
大急ぎで藤井寺駅に向かった。 あぁ、せわしな。 あぁ、しんど。
まだ、お昼御飯も食べていないやんか。

2時前にギリギリに駅前に着くと、大勢のお母さんたちが集まっていた。
そこへ、電車から降りてきた園児たちが、ぞろぞろと歩いてくる。

その中からモミィを見つけ、担任の先生と園長先生にお礼を言いモミィを引き取った。

「どうやった、ふたかみパークは面白かった…?」と僕。
「うん。駅からねぇ、ず~っと歩いてねぇ、芝生でなぁ、いっぱい遊んでん」

「あぁ、ほんまにあそこはきれいもんね~」
「のんちゃん、知ってんの…?」
「え…? 知らん、知らん。 知らんで。 ふたかみパークに1回行ってみたいわ」
まさか、つい今しがた、こっそり見に行ったとは言えない。

「今日ね、あやしいおじさんがね、ふたかみパークの芝生におったで…」
と、モミィが…な~んて言うはずは、ありませんけどね。 あはは。

まあ、それにしても、行く時の自転車の恐ろしかったこと。
もう、二度とあの道は走らないぞ~。 ほんまに、怖かった


 

コメント (8)
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