1ヶ月に一度、松原市の徳洲会病院に不整脈等の定期検査で通っている。
血液検査で不整脈薬の血中濃度や、不整脈から起きる脳梗塞を防ぐために服用しているワーファリンの「効き具合」の数値、あるいは糖尿病の HbA1c という数値や肝臓の数値などを毎回調べてもらっているのである。
ほとんどが標準の範囲内なのだが、毎回、必ず高いのが、肝臓の数値だ。
特に「ガンマGTP」というのが、高い。
これは、アルコールによる肝臓のダメージ度をあらわす数値だという。
酒好きの僕にとっては宿命のような高い数値ではあるが、やはり気になる。
基準値範囲は12から49なのだそうだが、僕は大体100前後と、かなり高い。
最近では159という数字もあった。
「少しお酒を控えられた方が、肝臓にも、不整脈にもいいでしょうね」
と、主治医はやさしく提言してくれる。
「お酒を飲むと気分が悪くなる薬もあるんですけど…そこまではねぇ」
主治医は僕の酒量ならまだアルコール中毒まではいかないと思ったのだろう。
それでも僕は、アルコールがなければ夜を過ごせない人間である。
禁酒どころか、週1回の休肝日も作れない。
これではいかん!
僕はついに「禁酒」を決意したのである。
…とまあ、年に一度くらいはこんな決意をするのであるが、いつも挫折する。
禁酒は3日と続いたためしがない。
しかし、今回は頑張った。
今月14日が検査日だったので、その1ヶ月前から禁酒を決意した。
決意したが、これも例によって挫折した。
挫折したが、くじけずに、再びチャレンジした。
これが今までと違うところだ(…と自分を褒めている。あはは)。
今月の1日から検査日の14日までの2週間、1滴の酒も飲まなかったのだ。
よ~くそんなことができたものだ、と自分でも感心する。
普通では、2週間もお酒を飲まない、なんて絶対にできない。
それができたのは、ひとえに「ノンアルコールビール」のおかげであった。
コスパのトレーニングから帰った時の食事には、特にビールは欠かせない。
そのビールのつもりで、「ノンアルコールビール」を一気に飲むのである。
これがまたよくできていて、本物のビールとほとんど味が変わらない。
最初の頃は、脳がビールと勘違いしたのか、軽い酔いを感じたほどだ。
ノンアルコールビールにはいろんな種類が出ているけれど、
僕が一番気に入っているのはキリンの「フリー」というやつだ。
何種類も試してみたけれど、これが一番僕の口には合う。
キリンの「フリー」が存在したおかげで、2週間の禁酒も可能だったわけだ。
ビールの変わりにウーロン茶、というような芸当はできない僕なので、
このノンアルコールビールには、大いに感謝しなければならない。
そして2週間の禁酒を終えて血液検査に臨んだ結果はどうであったか…
「これまでで一番いい数値ですよ」と主治医が感心した口調で言った。
即座に僕は「実はね、先生…」と、僕は医師の耳元でささやいた。
「今月に入ってから2週間、禁酒をしたんですよ。うひひ~」
「へぇぇ! そうなんですか。いやぁ、それで肝臓の数値が落ちたんだ」
そのガンマGTPの数値は、63であった。
たしかに、これまでで一番低い数値だった(まだ基準値には及ばないが)。
ガンマだけでなく、GOTとかGPTとかの肝臓数値もガタッと落ちた。
この2つは、いずれも基準値範囲内におさまっていた。
「頑張っているのですねぇ。禁酒はこれからも続けられるんでしょ?」
と医師が言ったので、僕は首を横に振り、
「そんなこと、できますかいな。また今日から飲みますねん」
と言ったら、医師は「わはははは」と大声で笑った。
それでも、これから休肝日を作ることに自信ができた。
ノンアルコールビールを飲めばいいのである。これなら、できる。
これはまさに、「のんアルコール」なのであります。