ご参考までに南米の地図を載せます。
●赤く塗っているところが、僕たちが滞在したブエノスアイレス。
●黄色く塗っているのが、イグアスの滝。
●青く塗っているのは、この旅行とは関係ありませんが、
先日五輪開催を決めたブラジルのリオデジャネイロです。
ブエノスアイレスの街は、大西洋に面しています。
僕はつい最近まで、この街は太平洋に面していると思っていました。
チリとアルゼンチンがごちゃごちゃになっていたみたいです。
ほんと、わかっているようでよくわからないのが、この南米の国の配置ですね。
今日は世界最大の滝と言われるイグアスの滝へご案内します。
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アルゼンチンに着いた翌日、現地の旅行社に電話を入れた。
「明日3人で、イグアスの滝へ日帰り旅行をしたいのですが…」。
そして往復の飛行機を予約してもらい、夜にチケットをホテルに届けてもらった。
イグアスの滝は、アルゼンチンとブラジルの国境にある。
ブエノスアイレスからイグアスまで、飛行機で2時間弱である。
翌日、朝の7時にホテルを出て、国内線の空港へ行き、9時の飛行機に乗った。
11時前にイグアスに到着。
空港には、旅行社の手配による現地の案内人が待ってくれていた。
フェルナンデス君という若い男性だったが、顔は日本人の顔をしている。
僕たちはフェルナンデス君の車に乗せてもらい、さっそく滝の場所に向かった。
「日本の方ですか?」と僕が尋ねると、フェルナンデス君は、
「おかあさんが、にほんじん、です」とたどたどしい日本語で答えた。
彼はイグアスの対岸のブラジルに住んでいるのだが、昨夜連絡があり、
急きょ、今日、僕たちのガイドをするように言われ、国境を越えてきたという。
すんまへんなぁ、急に仕事作って。
「イグアスの滝は、ブラジルから見る人が多いです。
わたしは、いつも、ブラジルで滝のガイドをしています」
「でも、悪魔ののど笛は、アルゼンチンから見られるのでしょう?」
“悪魔ののど笛”というのは、イグアスの中でも、最も大きな滝を言う。
その滝は、アルゼンチン側からしか見えない、とガイドブックに書いてあった。
「そうですねぇ」とフェルナンデス君。
「あっ、そうだ」
と僕は、昨日旅行社の人から電話で聞いた重大なことを思い出した。
川が増水して、昨日は「悪魔ののど笛」へ行くルートが閉鎖された、という。
「ひょっとしたら、明日も見られないかもしれませんが…」と旅行社の人。
「えぇっ? う~ん、まぁ、仕方ありませんけどねぇ」と昨日、そんなやりとりがあった。
イグアスの滝は、それ一つではないのだから、他を見ればいいのだけれど、
やはり、最大の滝である「悪魔ののど笛」は、ぜひ見たい。
「今日は、それは、見られそうですか?」と、恐る恐るフェルナンデス君に聞くと、
「さっき、ともだちの電話で、悪魔ののど笛は、見られるのことです」
「あ、見られるのこと…ですか。よかった、よかった~」
思わずぱちぱちと、手を叩く僕であった。
ここまで来て、イグアス最大の滝が見られない、となると残念だもんね~。
フェルナンデス君とそんな話をしながら、車に揺られて行く。
密林を切り裂いた道路が、周りの緑との美しいコントラストで伸びる。
イグアスの滝に向かう。 フェルナンデス君の車の助手席からの風景。
国立公園内に入ってしばらく行くと、道が果て、駅が出てきた。
公園内を走る汽車の出発駅である。
駅から汽車に乗る。
予想に反して、暑い。
ブエノスアイレスは冬だったが、ここは夏である。
半袖1枚で十分である。
汽車には多くの観光客が乗り込んでいた。
横を流れる川には、なんと、野生のワニがいて、びっくりした。
人の数が多いからピンとこないが、ここははやり、本物のジャングルなのだ。
一番端の駅まで行き、そこで汽車から降りる。
ここが、「悪魔ののど笛」へ行く入口である。
↓
ここから、橋が続く。 1キロ以上、続く。 橋、橋、橋である。
いつ着くのだろうか…? と思うほど、橋、また橋を歩き続ける。
まだですかぁ、「悪魔ののど笛」は…?
下は濁流である。
「いつもは、もっと水は透き通っています」 とフェルナンデス君。
橋のすぐ下にまで水が来ている。
な~るほど。
昨日はきっと水量がもっと多かったのだ。 だから、橋が渡れなかった。
この橋々が閉鎖されたら、当然「悪魔ののど笛」は見られない。
昨日でなくて、本当によかったなぁ。
橋から川を見るとぞっとする。吸い込まれていきそうだ。
さて、橋の上を歩くこと20分以上。
どんどん川が広くなっていき、やがて前方に煙のようなものが見えてきた。
上の写真のほぼ中央に煙が上がっています。
これが、煙ではなく、「悪魔ののど笛」の滝から上がっているしぶきなのです。
そして、そのしぶきが、目の前にまで迫ってきた。
やっと到着です。
「悪魔ののど笛」
滝の高さは80メートルだというが…
舞い上がるしぶきで、滝の高さが(深さが)実感できない。
朦朦たるしぶきを写真に撮るが、どこまで雰囲気を伝えられるか…?
滝の向こうにレストランのような建物がある。
肉眼では、人影も見ることが出来た。
これがもう、ブラジルなのである。
「悪魔ののど笛」 をあとに、また元の橋を引き返す。
汽車の駅まで戻って、汽車に乗る。
途中の駅で降りて、昼食をとる。
そしてまた汽車に乗り、次のスポットへ向かう。
すべて、密林を切り開いて作られた「遊歩道」のような橋を歩いて巡る。
トコトコ歩いて行くと、急に視界が開けた。
おお~っ。見えた。超ワイドに広がる、無数の滝。
う~ん。 壮観! それ以外の言葉は、思いつかない。
さらに、ずんずん歩いて行くと、くっきりと滝に虹がかかっていた。
これがまた、幻想的で、絵画の世界に迷い込んだかのようであった。
壮麗無比。
イグアスの滝は、ナイアガラの滝・ビクトリアの滝と共に、
「世界三大瀑布」と称せられるが…
アフリカ南部にあるというビクトリアの滝は見たことはないけれど、
アメリカとカナダの国境にあるナイアガラの滝は、今年1月に行ったばかりである。
都会の中にあるナイアガラの滝より、イグアスの方がはるかにスケールが大きい。
まったく勝負にならない…という感じである。
イグアスの滝を訪れたかつてのアメリカの大統領(誰だったか忘れた)の夫人は、
あまりの景観の素晴らしさに、思わず 「ナイアガラがかわいそう」 と言ったとか…。
イグアスには、まさに、圧倒的な大自然の轟々たる響きがある。
いやぁ、参りました~。 参った、参った。
おまけ ↓