ようやく固い扉がこじ開けられた…といえるのか?
大相撲界に、これから新しい風が吹き抜けていくことがあるのか…?
大麻使用疑惑で、ロシア出身の露鵬と白露山が解雇処分になり、北の湖理事長が辞任した。これまで何度も大相撲の不祥事に直面しながら、世間の批判などどこ吹く風と、理事長の席に居座り続けていた北の湖にはホント~に困っていたけれど、弟子が大麻を認めたことで逃れなくなり、やっと辞任を口にした。まったく世話の焼ける理事長である。ここまで追い込まれなければ辞めないのかと呆れる。
健全であるはずの大相撲協会が、扉の中の闇に潜み込んで、社会の風を通さなかったのは、まことに遺憾の極みであったと言わねばならないが、これを機会に、まず、普通の常識が通る相撲協会としての第一歩を踏み出してほしいと思う。
…と、期待したいところだが、はたしてそう簡単に変われるだろうか…? 新理事長の武蔵川親方も似たり寄ったりではないのか。この武蔵川部屋には、かつて、まわしを意識的にゆるめて相手に相撲を取りにくくさせるのを「得意」とし、横綱貴乃花を卑怯な戦法で大怪我をさせて引退に追いやったあの「ゆるふん大関」武双山などがいた部屋である。ロクでもない部屋なんだ、あそこは。
まあ、それは今回の話とは直接関係ないけれども…。
しかし、こういう大きな不祥事がそのうち起きるであろうことは、何年も前から予測されていたことである。なんと言っても外国人力士をきちんと教育できる親方がいない。…というより、親方連中がほとんど、あの高砂親方みたいに無能だから、若い外国人力士が軌道を外していくのは当たり前の話である。おまけに、模範となるべき最高位の横綱朝青龍が札つきの不良とくれば、これはもうシャレにもならない。いくら改革を叫んだところで、こんな不良横綱がいる限り、穴のあいたバケツに水を注いでいるのと同じである。
先週、僕はこのブログで、相撲界が外国人力士によって「相撲道」と「日本の伝統文化」がズタズタにされてきた元凶は、朝青龍だ、と書いたばかりである。相撲界で禁止されている言動を平気でする、稽古はしょっちゅう休む、強ければ何をしてもいいと考える、行儀は悪い、反省はない、土俵で相手にダメは押す、私生活では無制限に遊び回る…というのが、最近の若い外国人力士の傾向らしいが、これらはすべて朝青龍が撒き散らしてきたものだ。「子」は「親」の背中を見て育つのだ。
そんなとき、横綱審議委員会の委員の内館牧子さんが、つい2日ほど前に、
「第二の朝青龍は作ってはならない…と私たちは口をすっぱくして言ってきた。
なのにまた今回の不祥事だ。諸悪の根源は、朝青龍なのです」
そう言ってくれたので、少しは気分がす~っとした。
朝青龍が「元凶」であることは、明々白々なのである。
しかし、そう言われながらも、当の朝青龍は涼しい顔の毎日である。最近のモンゴル巡業場所では、兄弟の経営する企業がそれで大儲けをし、相撲会場の壁の全面に仲のいい細木数子の「六星占術」のポスターを貼って彼女を大々的に宣伝するなど、相変わらずやりたい放題。北京五輪じゃないけれど「朝青龍の、朝青龍による、朝青龍のためのモンゴル場所」と呼ばれた巡業であった。そのうえ、この懲りない横綱は、写真集などを出して、マゲを崩したポニーテール姿でモンゴルの平原に立つ姿なんぞを見せ、「思ったことは、言わなければね…」などと、うそぶいているのである。「アホか、おまえの場合は言い過ぎじゃ」と突っ込みたくなる。
内館さんも、「第二の朝青龍を作ってはならない」と言うのであれば、「第一の」朝青龍が、今でも日本の相撲界で大手を振ってやりたい放題なのを、何とかしてもらわなければならない。巡業をすっぽかしてモンゴルでサッカーをし、謹慎処分になると「心の病」と称してモンゴルに帰って温泉でくつろぎ、またケロリとして日本に帰ってきて、はい、謹慎期間は終わりました…というあの話は、思い出すたびに腹が立つ。「謹慎処分」とはいったい何だったのか? 北の湖ら相撲協会も、前NHK会長の海老沢勝二が委員長をする横綱審議委員会も、知らん顔を決め込んだ。特に海老沢は当初、朝青龍を批判していたのに、ある時期から急に手のひらを返したようにかばい始めたのである。不思議である。だから内館さんだけが横綱審議委員会の中できちんとモノを言う人なんだと思う。なんとかあと一息、頑張ってほしい。そして「朝青龍元凶説」をもっと言い広めてもらいたいものである。
先日、貴乃花親方が、大麻疑惑が起きたときに、
「前代未聞の大変な問題。相撲界は、秋場所を休むことも視野に入れるべき」
そう言った勇気には、拍手を送りたい。
「心・技・体の揃った最後の凛々しい名横綱」といわれた貴乃花親方に、この際、理事長になってもらって、大相撲の将来を任せるくらいでちょうどいいのでは…と思うのだが、いずれにしても、今の横綱朝青龍がのさばっている限り、その悪いところを真似する外国人力士が後を絶たないので、改革はやっぱり望み薄である。
この出来損ないの横綱を「解雇」することが何よりも、これからの大相撲をよくする一番の方法だと思う。それくらいのこと、みんなわかっているだろうに…。
ずっと前から何回も何回も言っているけれど、関係者もマスコミも、肝心な部分になってくると、朝青龍への追撃の手をゆるめるのが不思議である。総理大臣には痛烈な質問を浴びせる記者たちも、朝青龍への会見ではなぜか質問も遠慮がち。なんでもっと突っこまないのだと横槍を入れたくなるほどである。
朝青龍には、一日も早く日本の国技と呼ばれるスポーツから引退し、格闘技に転身してもらって、ボクシングの亀田兄弟とつかみ合いのケンカでもしてくれたほうがよほど面白いし、ファンも喜ぶし、存在意義もあると思うのだけれど…。