テレビを見ていると、最近の老人のパワーには驚くばかりだ。
この間も…
登山が趣味で80歳でモンブランに登ったという大学名誉教授。
毎朝冷水摩擦をして、駅でも階段を使い、電車内ではつま先立ちをして脚力を鍛えているという。「よくやるよねぇ…」としか、言葉が出てこない。
95歳を過ぎてまだ現役の医師である日野原重明先生も、1日18時間、病院の仕事に加え、講義・講演、執筆などをこなし、睡眠時間は5時間。やはりエレベーターを使わず、階段を活用する。70歳でジェットコースターを初体験、88歳でミュージカルの脚本を書いたというスーパー老人である。
しかし、こういう老人になりたいか…?
と、質問されたら、正直言って、なりたくない。
(もちろん、なりたくてもなれないだろうけど、なれたとしての話である)
なにもそこまで…という気持がある。
年をとったらエレベーターを使ってラクをしたいと思う普通の老人でいい。
世界に目を転じると、もっと生臭い老人パワーが漂ってくる。
その昔、イギリスにオールド・パーという男がいた。
スコッチウィスキーの「オールド・パー」の元になった名前の男である。
結婚したのは80歳を過ぎてからだった。
子どもを2人つくったが、いずれも幼くして死んだという。
100歳で婦女暴行をし、逮捕されたというのだから、あ然とする。
あ然、というか、げげぇぇっ、というか、ほんまかいな、というか…
122歳になって、後妻をもらった。
150歳ぐらいまで、生きたそうである。
ウィスキーのかつてのオールド・パーのラベルの男の絵が思い浮かぶ。
なぜそんなことを思い出したかといえば、昨日の夕刊に驚くような記事が載っていたからだ。
ナイジェリア…といえば、先日の北京五輪のサッカーで銀メダルをとった国。
そのナイジェリアでのニュース。
86人の妻を持つ男がいた。86人ですよ、86人。
イスラム教では「妻は4人まで」となっているそうだ。
86人の妻は、その教えに反するとして、
「3日以内に4人を残して、あと82人の妻と離婚しなければ死刑」
との判決が下された…という記事である。
その男性の年齢は、これまた驚きの84歳 !
30年前から結婚を繰り返し、今は妻86人で子どもは170人以上いるという。
2000年にイスラム法に基づく司法制度が導入されて、妻の人数は「妻を平等に扱うことを条件」に、「4人まで」とされ、この男性は、法律の規定から82人も上回ることになってしまった。
「82人と3日以内に離婚しないと、死刑だぞ~ん」と言われても…
82人をどう選ぶのだろう。
だいたい、みんな名前、覚えているんか?
自分の妻の名前を、全部挙げられないんじゃないか…と思うんだけど。
離婚届も大変だろうな。82枚、書類を作成して、ハンコを押すのだろうか。
離婚に反対する裁判を、82人の妻から起こされたら大変だなあ。
…と、他人事ながら心配する。
しかし、男はこれくらいのことではめげないようだ。
「まだ結婚したい女性がいる。妻の数はもっと増えるだろう」
世界は広い。
ものすごい人がいるものである。
で…、こういう老人になりたいか…?
と質問されたら…?
うぅぅ…。
なりたくないこともないこともないこともない。