めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

山の魅力は安全登山から

2014-08-16 14:21:34 | 山登り

今の時期、子どもたちがまだ小さい頃、毎年アルプスの山々を巡ったものでした。
最初は東京近郊の奥多摩や丹沢の、標高1500m前後の足慣らしを行ない、
次第に高い山へと挑戦していきました。

まだ、小学生にもならない末娘は、低い山とは言え、時に泣きの涙での登山となりました。

月日が経って、長男も次女も次第に体力が付き、夏のアルプスや八ヶ岳は毎年恒例の
ファミリーイベントとなりました。

私達夫婦も若かった事も有り、何度も登っていると、3000mを超える高山であっても

何処でも登れるような錯覚に陥り、いつの間にかに家族を危険なコースへ連れて行き
危険な目に合わせる事も有りました。

北アルプスの山にも少し慣れてきた頃、家族で岩山のやや上級のコースにチャレンジを

する様になりました。
尾根伝いの岩盤にしがみついて、道なき道を登る道は、見下ろせば足元から1000mの断崖です。
家族一人一人がゆっくり岩につかまり進みます。

そんな時、私の後をついてきた娘がコースを間違い、我々の頭の上の岩盤に登ってしまいました。

掴るところも無く、そのまま降りるのも難しく、娘は恐怖に泣き叫ぶばかりでした。
妻と私は娘の下まで行くと、励ましながらゆっくり元来た道をたどる様に促します。

しかし、岩にしがみついた状態で下を見ることも出来ず、動くことも出来ません。

私達のいる岩の棚の幅30センチ程の道は、足をかけているだけでやっとで
自分たちも片手を岩から離すので精一杯でした。

どうしたものか途方に暮れている時、突然娘が3mほど上から落ちてきました。

私達夫婦は、とっさの事で片手で落ちてくる娘を捕まえるのがやっとでした。
妻は娘の雨合羽を、私は娘のリュックをつかまえましたが、岩から身体を離すことが出来ず、
片手で落下する娘を必死で止めようとしました。

しかし、大人と変わらない体重の娘の勢いは止められません。

娘は目の高さから勢いよく下に落ちていきます。
その瞬間、私の頭は真っ白になり、とんでもないことをしてしまった後悔の念が渦巻きました。

とその直後です。娘の身体が私の膝の高さで止まりました。

妻と私の間に断崖へ飛び出ていた岩に娘がぶつかって止まったのです。
ちょうど尾てい骨に直撃したため、娘は落ちた事よりその痛さで泣き叫びました。
でも、絶体絶命の窮地から救われたのです。

その危険な岩場から急いで離れ、少し広い岩のテラスの上に上がると、真下に

山小屋がみえています。なだらかな滑り台の様な斜面が続いています。
その時、私の頭はその危険地帯から逃れる事しかありませんでした。
ここから下の山小屋まで下りよう!そう叫ぶと、家族を真下の小屋に向かう斜面に
リードしようとしました。
その直後、妻が私を強く引き止めました。そして、息子も私の異常な行動に
慌てて私の手をつかまえました。

そう、娘を死の淵に追いやった後悔で頭の中は正常に考えられなくなっていたのです。

しばらく休憩して落ち着くと、私の暴挙が自分でも解って来ました。
もし、その道を選んでいたら、家族全員が間違いなく遭難する所でした。
今になれば、懐かしい思い出でもありますが、その時を思うといまだに身体が
寒くなります。

富士山が世界遺産に登録されて、様々な人が世界中から頂上を目指します。

外見的に美しいと言っても3000mを超える高山です。
一つ間違えば大事に至ります。

また、日本一の山に登ったから、それよりも低い山には簡単に登れると思ったら

大間違いです。
沢山の山を登っていると、こんな低い所で、こんな安全な所でと思う場所で
慰霊塔を幾つも見かけます。

時には日帰りのピクニックで来れるような低山での遭難も有ります。

私達家族は幸い生かされることができました。
でも、ちょっとの違いで大怪我をしたり命を落としたりしたりします。
自然と対峙するときは、謙虚な気持ちで、最大限の準備と注意を払って
大自然の恵みを体感することが大切であると思われます。



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