めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

経済力だけでは幸せになれない日本人

2016-11-24 15:48:37 | 日本人

いつの時代も、世の中は、人々の予想に反して、
進んで行くものです。
私たちは、生きて行くにあたって、自分なりの予想の元、
様々な計画をし、殆ど変わらない日々を送って行くのですが、
その、当たり前に進んでいくと思われる日々が、突然に
代わってしまうのが、人類の歴史なのです。

今や、世界は、大きく変わろうとしています。
近年の、世界的なテロや地域の紛争が、単に、限られた所で
偶発的に行われているのではなく、世界中の国々を巻き込み
地球規模で人類を不安に陥れています。
更に、経済活動においても、アメリカの新大統領の選出は
世界における超大国の有り方を、根本的に変えてしまう可能性すら
有るのです。

かつて、アメリカとソ連の二大超大国に依る世界支配は、
両国のバランスを持って、世界経済を支えてきましたが、
二つの国の力が衰えるにつれ、世界経済も、大国中心から
世界の物流支配の国が中心となる様になって来ました。

単に、軍事力支配だけでない、世界経済を如何に支配できるかで
世界のバランスは変化してきているのです。
この事は、資源を持ちながらも経済的にその資源を生かせなかった
発展途上国が、自らの経済力を増す事に依り、世界の流通を
コントロールし、大国と対等に渡り合う力を持った事にもよります。

例え、軍事的に強い力を持っていたとしても、経済力が不足していれば
国民の支持は得られず、かつての様に、軍事力をもって、世界から
あらゆる物資を調達する時代では無くなっているのです。
アメリカは、すでに、自国産業を国民の力で維持する力はなく、
多くの産業に、諸外国からの移民やマンパワーによって支えられ
今や、瀕死の巨象と言った印象です。

そんな中、アメリカ大統領に選出されたトランプは、正に、現代社会を
象徴するかのようなパフォーマンスで現れました。
これまでのアメリカ大統領とは全く違った生い立ちを辿り、アメリカにおいて
経済社会のカリスマの様な存在で出馬しました。
かつてのアメリカならば、出る事すら考えられない存在であったのでしょうが
今の時代は、彼の様な、アメリカ社会の現実を変えてくれるかもしれない
可能性が求められたのです。

かつては、伝統的な政治家が、企業家と結びつき、社会を動かしていたのですが、
今や、企業家自身が、経済を立て直す事を求められ選出されたと言えるのです。
本来、政治家は、どちらかと言えば、世界の様々な諸国と、その国の内政を考え
お互いにバランスを取りながら政治を行うものですが、何よりも、自らの
経済性を考えて地位を成したトランプにとって、利益の得られない仕事は
請け負えないのが本分です。
アメリカ経済にとって、一番の利益を考えるのが彼の本音ともいえるのです。

この、新大統領の政治によっては、世界が大きく変わってしまう可能性も
非常に大きいのです。
様々な状況を考え、段取りを踏まえて交渉すると言うより、まずは、自国の
利益を優先して、単独で判断する場合も考えられるのです。
つまり、アメリカのこれまでの外交政策は一変し、アメリカ経済を守り
復活させる事が最優先されるかもしれないのです。

我が国に対する態度も、一変する可能性も有るのです。
アメリカ社会の経済力を持って、我が国の経済も上向きとなるかも
知れませんが、下手をすると、簡単に切り捨てられる事も有り得るのです。
これまで、軍事上アメリカの東アジア諸国に対する堤防としての役目を
果たして来た日本であっても、中国や北朝鮮などの軍事力の台頭は、
日本の力を使っても、簡単には抑えられない状況です。
アメリカの資本を投入する事も、軍隊を派遣して防衛体制を維持する事も
アメリカにとって本当に有益なものであるか、利潤を最優先するトランプは
簡単に、我が国を見捨てる事も可能なのです。

これまでの様に、膨大な軍事費を日本に投じる事が、果たして、衰弱する
アメリカにとって有益となるのか、歴代の大統領が思いもしない行動に
移される事も考えられるのです。
例え、日本が中国の支配下となっても、はたまた、北朝鮮の挑発で
軍事紛争となっても、利益のない日本支援を、多くの犠牲を伴いながらも
実行できるのかは、彼の胸一つとも言えるのです。

しかしながら、これだけ不安定なアメリカに、さらなる、希望を託しているのが
今の日本政府の態度です。
もしもの時は、アメリカが守ってくれると言う幻想を抱き続けている政治家が
余りにも多いのです。
アメリカとの堅い絆と条約が、私達日本人を守ってくれると言う考えは、
もう、過去の物と言っても過言ではないのです。

ならば、日本からアメリカを棄てて、アジアの一国として最も有益な方法を
目指す事が、果たして、国民を幸せに導くのかと言えば、これもまた、
期待薄と言ってもいいのです。
寄らば大樹の陰と言う政策は、世界の国々からしたら、やはり、信用できない
三流国のレッテルを貼られるのが落ちと言えるのです。

私たち日本人は、長い歴史の中で、多くの時代、この小さな島で、日本人としての
生活を守り生き甲斐を見つけてきました。
この事は、世界の国々が、多くの内戦を経て、争いの中で分裂統合を繰り返した
歴史の中で、非常に特異な存在で、日本人の生き方を創り上げた歴史でも
有ったのです。

明治以降、欧米社会の資本主義経済の影響を受けて発展して来たものの
日本人の心には、過去、数千年に渡って築き上げられた日本人としての心が
根強く残っているのです。
今や、世界は、一国で生きて行くには難しい社会となっています。
折から、異常気象や世界経済の衰退に依る食糧危機は、多くの国々の人々を
飢餓の苦しみの中に置いています。
これからも、難民は増え、世界の紛争は絶えることは無いのです。

そんな中、日本は、どうあるべきか、また、何処かの大国の傘に入るのか。
今や、大きな転機を迎えていると言えるのです。
日本人は、日本人であって、他のどの民族でもないのです。
経済的に世界の先進国になったとは言え、日本人の心に流れる思いは、
何だ変わってはいないのです。

経済的に豊かな時代を経ても、不況に苦しむ時代に生きても、私達日本人は
人として築き上げた日本人の魂をもっているのです。
例え、次期大統領が日本を見捨てても、このままの関係を続けて行っても
どちらにせよ、日本人が本当に心から満足できる生活を守り、そこから、
日本経済を立て直すことが一番大切なのです。

思い悩んでいる人に、飯を沢山食べれば元気になるよ!と言った
安直な経済政策では、心は全く救われないのです。
今や、日本人は、日夜、つま先立ちで、自分の生活を維持するだけで
必至の状態です。
一部の富裕層には考えられない事かも知れませんが、大多数の日本人は
明日の生活に夢を抱けなくなっているのです。
幾ら経済的に豊かになっても、基本的に、つま先立ちの生活では、
心も身体も休まらないのです。

消費経済を推し進める日本社会は、メディアを通じて、より豊かな生活が
幸せを呼ぶかのように国民を挑発します。
経済的豊かな生活をする為に、大量出費を強いられ、人々は疲弊していきます。
今や、心に余裕のない日本国民がいかに増えているか、リーダー達は、
全く理解していません。
一見、豊かな生活をしている様にしている人々も、生活を覗けば、
火の車である事は、決して珍しい事ではないのです。

日本人とアメリカ人は、心の持ち方が基本的に違っているのです。
幸せの価値観が違っているのです。
衣食住に於いて、欲求の持ち方は同じかもしれませんが、その生活で
感じる心の価値観は違っているのです。
アメリカと同じ経済政策を真似たとて、しょせん、今までと同じ、
苦しみの国民を増やすだけなのです。

今や、日本人の一番の不幸は、私達国民が選んだリーダーたちが、
私達日本人の本当の幸せが解らない事です。
アメリカの傘の下で、これまで通り傘をさしてもらえると
甘い考えでいると、あっと言う間に、傘から追い出され、土砂降りの
雨の中でたたずむ事になりかねないと言う事を肝に銘じて
欲しいものです。