電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ブリテン「ヴァイオリン協奏曲」を聴く

2018年01月28日 06時01分17秒 | -協奏曲
このところずっと、通勤の音楽として、ベンジャミン・ブリテンの「ヴァイオリン協奏曲」を聴いています。ブリテンと言えば、当方にとっては「青少年のための管弦楽入門」ではなく「シンプル・シンフォニー(*1)」の作曲者として記憶している人です。しばらく前に購入していた数枚のうちの一枚で、999 円の限定版 EMI Classics シリーズの廉価CD、型番は TOCE-16334 です。演奏はマキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)、ロストロポーヴィチ指揮ロンドン交響楽団。

曲については Wikipedia にも詳しくはありませんで、CDに添付のリーフレットが頼りです。高木正幸さんによる解説によれば、1939年、フランコ政権から追われアメリカに亡命していたスペインのヴァイオリン奏者アントニオ・ブローサのために書かれたもので、ブリテンもやはりアメリカに渡っていたようです。初演は1940年春、ブローサの独奏、バルビローリ指揮ニューヨーク・フィルにより、カーネギーホールで行われたのだそうな。この録音は、何度かの改訂を経て完成した1965年改訂版により演奏されているとのことです。

第1楽章:モデラート・コン・モート。ティンパニで、ごくひそやかに始まりますので、ここはロードノイズの多い雪道のカーステレオ向きではありません。でも、やがて1939年という作曲当時の風潮だったのか、プロコフィエフなどとも共通するモダンな響きの音楽に変わっていき、ここからはカーステレオでも十分に楽しめます(^o^)/
印象的なのは第2楽章:ヴィヴァーチェ〜カデンツァ。活発で、様々な奏法を試み、表現力豊かな音楽になっています。グリッサンドというのか、カデンツァでのキュウゥ〜と下降する表現などは、雪道の悪条件の下でも、とても印象的です。
第3楽章:パッサカリア、アンダンテ・レント(ウン・ポコ・メノ・モッソ)〜ラルガメンテ(レント)〜レント・エ・ソレンネ。この、「ウン・ポコ・メノ・モッソ」という語感がなんとも笑い出しそうですが、どうやら「少しテンポを遅くして」という意味らしい。「ラルガメンテ」は「豊かに」で、「レント・エ・ソレンネ」は「遅く、そして荘厳に」というような意味でしょうか。なるほど、演奏を聴くとこのような指示の意味がわかります。特に、曲全体の終わり方が。

参考までに、演奏データを示します。
■ヴェンゲーロフ(Vn)、ロストロポーヴィチ指揮ロンドン響
I=10'05" II=8'25" III=15'10" total=22'20"

画像は、Windows10機で使っている音楽再生ソフト foobar2000 です。

(*1):若い頃、この曲がお気に入りでした。
Britten: Simple Symphony

(*2):この曲に対するヴェンゲーロフのマスタークラスの動画もありました。
Vengerov: The Two Sides Of Britten's Violin Concerto


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