電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

あるソフトウェアの歴史~MS-Worksのこと

2006年09月17日 10時31分49秒 | コンピュータ
MS-DOSの時代、MS-Works2.5は驚異的に便利なツールでした。ThinkPad220 という携帯可能なサブノート型の MS-DOS パソコン上で、ワープロ、表計算、データベース、通信機能を持つ統合ソフトです。メディアはFDで、Setupディスクとプログラムディスクと学習ディスクの3枚、それに立派なマニュアルが2冊、入門ガイドと活用ガイドがついていました。特にこの学習ディスクに収められた自習プログラムが秀逸で、ハードディスク上でストレスなく Works の機能を体験できるようになっていました。データベースの機能は、ここで覚えたといってよいと思います。

Windows3.1の時代、FDは4枚に増え、マニュアルと学習プログラムは相変わらず秀逸なことに加えて、MS-Works3.0 は表現力を獲得しました。Win3.1のTrueTypeフォントを用いたワードプロセッサの機能を生かし、表計算の集計表やグラフを文書中に貼り付け、データを訂正すると報告書も変わるようにして、ずいぶん労力の軽減を図ることができました。ありがたかったのは、MS-Works2.5 の文書がほとんどそのまま引き継げたことで、文字のフォントを変えたり書体を変えたりして見ばえをよくしただけで、ずいぶん好評になりました。パソコン通信で Nifty-Serve の MS-Works会議室に定期的に出入りし、ノウハウを吸収したのもこの頃です。

Windows95/98の時代、メディアはCD-ROMとなり、マニュアルはいたって簡便なものになりましたが、MS-Works99はほぼ完成されたツールとなりました。特にインターネットでクリップアートを探し、文書中に挿入することで、センスのよい雰囲気のある文書も作れるようになりました。ワープロ文書の.WPS、表計算の.WKS、データベースの.WDBファイルなど WORKS3.0 のデータ資産をそのまま継承することができ、助かりました。マクロウィルスの心配もなく、MS-Worksの歴史上一番便利に使えた時代だったように思います。実際、このときまでのほぼ十年近い期間、MS-Worksは間違いなく私のトップツールの一つでした。

そして Windows2000/XP の時代になって、MS-Works2001 は私のトップツールではなくなりました。理由は、MS-Works の出来が良すぎると MS-Office の販売に影響が出るからと考えたのでしょうか、入門者でも扱いやすくベテランには使い慣れた「コンパクトなビジネス・ツール」から、葉書ソフトと抱き合わせた「家庭用ツール」として販売されるようになりました。ワードプロセッサ機能は Works3.0 以来の.WPSデータ資産を生かせないばかりか、MS-Works99の文書でさえ再現性が低く、前作よりはるかに完成度の低いものと感じました。ハードディスクのMS-WORKSデータ専用フォルダのうち相当数が開くことができないファイルになってしまっているとき、Windows95/98機をMS-WORKS専用機として残すべきでしょうか?答えは「いいえ」でしょう。現在は、MS-Access で管理するほどでない、個人的なデータベースのいくつかを、わずかに MS-Works2001 で継続して管理しているだけとなっています。

そして今、MS-WORKS はオンライン提供を検討されている(*)といいます。コンパクトなコードを生かし、広告つきでオンライン提供することで、WEB2.0の時代を乗り切ろうということでしょうか。長く MS-WORKS を愛用してきた者として、この愛すべきソフトウェア・ツールの行く末が気になります。

(*):マイクロソフト、WORKS のオンライン提供を検討へ~CNET Japanの記事より
(*2):と同時に、重要なデータの継承は私企業の営業戦略に左右されにくいものにすべきであるとも感じます。
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12 コメント

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ご無沙汰してます。 (みー太)
2006-09-17 11:23:37
narkejp様 こんにちは

昨日はコメントを頂き、ありがとうございました。心から感謝してます。

 以前、narkejp様がCDデーターをWorksで管理されている記事を、興味深く拝見したことを思い出しました。あの時もコメントすることを迷ってました。

 私は現在、CDの購入管理をAccessでしてますが偶々手元にこのソフトがあったので利用する程度です。(最近は、さっぱり整理してませんが・・・)

 ちなみに私は、LotusをDOSの2.1Jから使い始めたせいもあり、EXCELへの切り替えが随分と後になった経験があります。

これからも、宜しくお願いします。
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みー太さん、 (narkejp)
2006-09-18 06:50:18
こんにちは。コメントをありがとうございます。

Lotus1-2-3、懐かしいですね。私もプライベートでは20/20(アシストカルク)やMS-WORKSでしたが、職場ではLotus1-2-3 2.1J→Plus→2.2J→2.3J→2.4J と来て、Windows版に切り替わりました。当時、データベースは dBASE III Plus でした。マイクロソフト社が Access を買収して、Windows とともに普及させたのでしたね。私は触れる機会がありませんでしたが、Paradox などというDBMSもありました。ビジネス・ソフトウエア産業も、なかなかたいへんですね。

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いまだ現役 (棒銀)
2013-10-23 18:56:13
いまだに現役で使っております。
シートが1枚のみ、というのが残念ですね!! 
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棒銀 さん、 (narkejp)
2013-10-23 20:54:25
コメントありがとうございます。いまだ現役でお使いとのこと、それはすごいですね。ヴァージョンは何なのでしょう。
表計算で、ワークシートが1枚だけなのは残念ですが、以前は表の位置を工夫することで、行や列の挿入・削除の影響を避けるような工夫をしたものでした。
簡便なカード型データベースは、なかなか便利でした。
私も、WindowsXPのWorks2001を削除して、Works99を再インストールしてみようかな。

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返信 (棒銀)
2013-10-28 17:11:06
narkejpさんへ
バージョンは4.0です。w95のパソコンを購入したときに付いて来たワークス4.0で今はXPに入れて使ってます。
やはりシート1枚で使いにくいのでオープンオフィスに変えよおかなとおもっています。
一寸質問ですが
他のバージョンもシートが1枚でしょうか?
4.0&その他のバージョン等は W7でも使えるのでしょうか?
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某銀 さん、 (narkejp)
2013-10-28 21:13:19
お使いのバージョンは Works4.0 ですか。
私の Works99 は、バージョンが4.5aだそうで、なんとか WindowsXP でも動きました。ワークシートはやはり1枚で、これはずっと変わりがないですね。
出来の悪い Works2001 は、思い切って削除してしまいました。代わりに Works99 を導入して、古いファイルを開くことができるようになりました。
でも、Windows7/8 で動作するかどうかは、不明です。
Windows8 のノートパソコンでは、フリーの LibreOffice を使っていますので、複雑な表の作成にはこちらの方が便利のようです。
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narkejpさんへ、返信御礼 (棒銀)
2013-10-29 16:52:29
返信有難う御座いました。 
ワークスは使い易くずっと使ってましたが、やはりシート1枚がネックになり他に移植中です。
LibreOfficeもググッて参考にさしてもらいます。
いろいろ有難うございました
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棒銀 さん、 (narkejp)
2013-10-30 05:47:13
コメントありがとうございます。当方のささやかな経験が、何かのお役に立てれば幸いです。LibreOffice は、個人使用にはなかなか便利です。私は、確定申告もこれでやっています(^o^;)>poripori
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XP終了で困っています (MS-Works 4.0 ユーザーです)
2014-03-28 15:37:54
WIN3.1(平成7年頃?)の頃にMS-WORKSでデータベースを覚え、いまだに切れ目なくXPで毎日使っています。 膨大な資料で、使わないわけにも行かず、WORKS専用パソコンを残そうかとも思っています。
今までの積み重ねたデータベース(このソフトではこれ以外は使ったことがありません)を移行するソフトってあるのでしょうか?
私は「使うだけ」でパソコンのことも詳しくないので、困っています。
質問にも要領を得ませんが、このままXPで使い続ける以外、方法はないのでしょうか? 
2000年にも日付の変更などで往生したことがあり、憂鬱な日々です。
もはや周囲にMS-WORKSを知る人すらいない状況でつくづく自分の年を感じます。
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MS-Works 4.0 ユーザー さん、 (narkejp)
2014-03-29 20:03:16
コメントありがとうございます。MS-WORKS は、たいへん便利なツールでしたが、親会社の営業戦略の都合で消えてしまっているようですね。同様に、残念でなりません。
さて、おたずねの件ですが、私もかなりのデータがありましたが、次のようにしました。
(1) .WDBファイルを開き、「名前をつけて保存」のファイル形式としてCSV形式で保存。
(2) CSV形式のデータを、表計算(MS-ExcelやフリーのLibreOffice)や他のデータベースソフト(MS-AccessやFileMaker等)で読み込む。
(3) 表計算では、一覧表形式でしか表示できませんが、DBソフトであれば、入力フォーム等をそのソフトで作り直せば、データの継承は可能だと思います。
結局、ソフトが大切なのではなくて、データが大切なのだと思います。
WindowsXPなど動作する環境を残すのも一つの方法ですが、今、Windows3.1を残している人はごくごく稀であることを考えると、決め手にはなりません。ハードの寿命もありますので、しばらくXP環境を残しても、その間にデータのコンバートを図るのが現実的な方法ではと思います。

(*):CSV形式とは、カンマ区切りで表したテキストデータです。
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