電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

映画「シン・ゴジラ」を観る

2016年08月21日 06時03分14秒 | 映画TVドラマ
過日、映画「シン・ゴジラ」を観て来ました。「ゴジラ」といえば、小学生の頃、体育館で行われた映画教室で観た白黒の映像が怖かったという記憶が強く残り、夢にまで出てうなされたことも数知れず。その後、数多く作られたゴジラ映画では、ゴジラが「シェー」をするなどというふざけた演出が多く、単なる怪獣バトルにも違和感があって、「卒業」しておりました。アメリカ映画で作られた「ゴジラ」も、「ジュラシック・パーク」の影響か、生物としての生々しさや多数の卵を産みつける繁殖の恐怖などは理解できるものの、初代ゴジラのテーマ性~核と放射能の恐怖から遠ざかっている点は今ひとつと感じられました。

で、今回の「シン・ゴジラ」は?
なかなかおもしろく、楽しめました。とくに、未知の災害発生の際の国家的な対応をシミュレートしているところ、内閣官房や各省庁の合同会議等、やけにリアルです。洋画であれば、スーパー優秀な幾人かの関係者(個人)の動きで単純に描かれるところですが、関連する多方面にわたり対応することを余儀なくされる点を、会議の人数で表しています。あれは、絵空事ではないリアルさだと思います。おそらくこのあたりは、単純な怪獣映画のファンは退屈するところだと思いますが、東日本大震災など大規模な災害への対応を経験した者として、見過ごせない点です。

いくつか、ツッコミどころも感じました。例えば、強烈なエネルギーを発した後に、エネルギーがたまるまで一休みするという想定は、むしろスマホ等の充電池のイメージで、海底に投棄された放射性廃棄物を食って進化した、原子力をエネルギー源とする怪獣のイメージとはいささか異なります。原子力なら、原潜と同様に、休みなく動き回ることができるでしょうから。

でも、怖さ、不気味さは充分に伝わります。黒いゴーヤみたいな質感の肌荒れ皮膚の下に、赤い光が血管のように見えています。あれが大画面いっぱいに広がると、本当にすごい迫力です。また、転倒したゴジラの口の中に、クレーン車で血液凝固剤や特殊微生物を注入するところは、まさに福島第一原発のイメージと重なります。この映画が、「フクシマ」以後に作られたことを如実に感じさせる場面です。

また、物語の始めの方で登場し、後にゴジラ対策のヒントを与えてくれる孤高の偏屈科学者・牧教授は、なぜゴジラの細胞膜の何かの分子構造を知っていたのだろう? ゴジラの細胞のサンプルがなければ、あの分子構造は知りえないはず。ゴジラ登場以前にゴジラの細胞膜の秘密を知っていたとすれば、タイムスリップでも想定しないと無理なのではなかろうか(^o^)/



映画館では、パンフレットが売り切れていました。人気もあり、観客動員も相当の数になっている模様です。初代と同様に、原子力や放射能との関わりを深めた「シン・ゴジラ」は、先祖返りの映画であると同時に、まさに「フクシマ」を経験した現代の物語であると感じます。


コメント    この記事についてブログを書く
« 若い頃、なぜ小さい字を書い... | トップ | 天童市の西沼田遺跡公園で孫... »

コメントを投稿

映画TVドラマ」カテゴリの最新記事