電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第193回定期演奏会を聴く

2008年12月21日 06時03分32秒 | -オーケストラ
開演1分前にようやくすべりこんだ山響第193回定期演奏会、シャブリエの「田園組曲」第1曲「牧歌」が、トライアングルの静かな音で始まります。心の準備もなく、いきなり始まってしまいましたが、どこかで聴いたことがあるような気がする、しゃれた感じの優しい音楽です。第2曲「村の踊り」、クラリネットのかっこいいソロから始まる、活発な音楽です。工藤俊幸さんの指揮ぶりは丁寧なもので、素人目にもたいへんわかりやすいです。フルートは一部ピッコロ持ち替えで。第3曲「森の中で」。チェロのブンブンいう導入は、クマンバチの羽音でしょうか。なるほど、森の中ですね。第4曲「スケルツォ・ワルツ」。あ、この曲、知ってる!ピアノ曲でしょ。「絵画的小品」の中にある曲。素人音楽愛好家の、ちょいとうれしい発見です。そういえば、「牧歌」も「イディール」という題で、このピアノ曲集にあったような気がします。なるほど、ピアノ曲が管弦楽曲になると、こんなふうになるのですね。ピアノ演奏の軽やかさはやや後退するかわりに、多彩な音色の変化、ダイナミクスの変化が大きく、楽しい。

さて、こんどはチェンバロの登場です。楽器としても美しいものですね。曽根麻矢子さんは、白を基調とし、少しグリーンの浮かんだパンタロン風のドレスです。曲目はプーランクの作品で、チェンバロと管弦楽のための「田園のコンセール」。
第1楽章、アダージョ~アレグロ・モルト。チェンバロのソロから始まります。いつもバロック音楽で聴き慣れたチェンバロの音楽とは異なり、20世紀の音楽、しかも難解で不機嫌なタイプではなく、どちらかというとモダンで軽快で楽しい音楽です。途中、印象は一変して、ゆっくりとした、やや悲しげな音楽に。そして急速にテンポを変じて、最後はオーケストラが全開でドカン!と爆発。
第2楽章、アンダンテ、第3楽章、プレストでフィナーレ。チェンバロと弦楽合奏や大太鼓が一緒にならない、チェンバロのソロや音色を聴かせる時は、オーケストラを全休止させるのもいとわない、あまり多くの楽器を重ねない。オーケストラの音色的な魅力もふんだんに生かしながら、異質なチェンバロの魅力を生かしています。引き算の効果でしょう。プーランクさん、うまいもんですねぇ!

ここで魅力的なフランス音楽の前半部が終わり、休憩に入ります。単身赴任先からノンストップで山形テルサホールに向かいましたので、食事をしていませんでした。腹ペコでしたので、ホットコーヒーでようやく一息つきました。そういえば、新しい2009/10年のシーズンの定期演奏会等のパンフレットが出ています。新シーズンも、意欲的&魅力的なプログラムになっています。山響定期、ますます楽しみです!

後半は、ブラームスの交響曲第3番です。第1楽章、ずいぶんゆっくりしたテンポで、リズムはやや重めの表現です。第2楽章、ホルンとヴィオラとチェロの響きの中に、オーボエのひとふし。いいですねぇ!平安を感じさせる魅力がありました。第3楽章、チェロやホルンが見事な旋律を聴かせます。テンポが全体に遅めで、やや重いブラームスです。第4楽章、弦の透明な響きはさすがです。あまり大きくはないオーケストラで、大きなブラームスを表現しようとしたのでしょうか、響きは重厚なブラームスのものでしたが、さて。身長196cmくらいのブラームス(^o^)になっていたような気がします。素人音楽愛好家のブラームスの印象は、あまり大男ではなくて、身長は174cmくらい(^o^)、もっさりしているようでいて、おどけてワルツを踊るステップはもっと軽快さのある、そういう人物なのでは、と思います。とはいえ、生ブラームス3番は初めてで、充分に響きを堪能いたしました。

うーん、今日は腹ペコだったせいか、後半やや辛口の感想だなぁ。でも、アンコールは同じくブラームスのハンガリー舞曲第1番。こちらは切れ味のよいリズムで、ほんとに体が踊り出すよう。ちょいと軽薄な言い方になりますが、とってもナイスな音楽、演奏でした。よかったです!

ところで、ブラームスの身長って、ほんとはどのくらいだったのでしょう(^o^)/

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4 コメント

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ブラームスの身長 (pfaelzerwein)
2008-12-21 08:44:38
昔のベットは概ね小振りなのでなんとも言えませんが、バーデンバーデンにあるベットの大きさは精々165CM以下の小太り男性向きのものでした。160-164ぐらいか?

マルクスとかそう言った感じのユダヤ人的な身体特徴がありますよね。
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TBさせて頂きました (balaine)
2008-12-21 10:03:21
同じプログラムを酒田と山形で違うホール、違う人が聴いての感想、面白いですね。まあ、素人の勝手な感想ですが、どちらも響きの良いホールなので少しテンポが遅めになったのでしょうか。
H18年の酒フィル定期のメインは、工藤さんの指揮でブラ4だったのですが、それほど遅めのテンポではなかったように記憶しています。

ブラ3、大好きな曲で、生で聴けてとても嬉しかったのですが、「田園」をテーマにするならブラ2じゃなかったの?いや、それこそベー様の「6番」では?
おそらく、山響でしばらくやっていない曲、初めてやる曲にこだわったのかと思います。曽根さんは、かっこ良かったですね!
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pfaelzerwein さん、 (narkejp)
2008-12-22 05:37:30
コメントありがとうございます。ブラームスの身長は、それほど大きくはなかったのですね。赤いハリネズミ亭のシルエットを見ると、あまり大男という印象はなかったのですが、やっぱりそうですか。さすがの現地情報であります。
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balaine さん、 (narkejp)
2008-12-22 05:41:05
コメントありがとうございます。なに、私の辛口の感想など、実は腹ペコだったせいかもしれません(^o^)/
人間、満腹だと満足し、空腹だとイラつきますからね~(^o^)/
曽根さん、カッコよかったです!まったく同感であります。
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