電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

凹み気分にメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」

2021年08月27日 06時00分36秒 | -オーケストラ
日々の暮らしの中で、例えば桃の収穫最盛期なのに雨ばかり降っているとか一日ドックの指定日になっているとか、物事が思うように進まず凹み気分のときは、仕方がないので好きな音楽を聴いて過ごします。そんなときは、元気いっぱいな曲のパワフルな演奏に心惹かれるとは限りません。むしろ、基本的には前向きな音楽をしっとりと演奏する、古楽ブーム以前のよく馴染んだ音楽に手が伸びます。今回は、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」を、カラヤン指揮ベルリン・フィルの録音で何度も繰り返して聴きました。

この録音、たしか私が学生時代の1970年代初頭のものではなかったか。音楽雑誌では、黒田恭一氏あたりは積極的に評価していましたが、一部の評論家やライター氏は色々なことを言っていました。ナチスに加担したカラヤンが、ユダヤ人だからと弾圧されたメンデルスゾーンの音楽をいまさら取り上げるのはどういうつもりだとか、そんなような批判です。今の年齢になってみると、当時この録音を批判した評論家やライター氏は、もしかしたら単に言ってみただけなのではないかと思ってしまうのです。今の時代とは異なり、インターネットなどという情報もなかったわけで、既存の情報をつなぎ合わせるしかなかったでしょう。逆に、日本語の文章に対してヨーロッパから苦情を言われる心配もなかったでしょう。その意味では、一つの発言に世界中から批判が飛んでくる現代のレスポンスとはまるで違う環境ではありました。

カラヤンは、なぜか第1楽章での繰り返しを省略しています。また、第3楽章のゆったりしたテンポが特色かもしれません。流麗の極みとも感じる音楽を聴いていると、凹み気分が少し前向きになります。そういえば、私はこの曲をかなり取り上げています(*1)し、山響の定期演奏会でもかなりの回数聴いています。やっぱり、好きなんだなあ、この曲。

■カラヤン指揮ベルリンフィル、1971年録音
I=8'04" II=6'25" III=7'59" IV=5'36"



YouTube では、現代のいろいろな演奏を聴くことができます。その中から、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団の動画を。
Mendelssohn: 4. Sinfonie (»Italienische«) ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Paavo Järvi


(*1): 例えば メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年8月


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