電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

退職して農作業に親しむ意味

2023年03月23日 06時00分12秒 | 週末農業・定年農業
春は別れと出会いの季節といいますが、冬将軍とお別れして春の女神と出会うのであれば大歓迎です。ですが、定年退職だったり事情で依願退職したり、この時期をきっかけに仕事をやめる方も少なくないことでしょう。私の場合は、専業農家だった父の死去により、50代でやむなく週末農業を始めたのがきっかけでしたが、退職して年金受給年齢になっても果樹園農業を続けております。サクランボや桃などは、農協等に出荷もしています。また、自家用ではありますが、妻と共に亡母から野菜作りを受け継ぎ、サトイモやジャガイモ、ナス、トマト、ネギ、白菜などを作っています。



退職してこうした農作業に従事しながら考えるのは、「毎日することがあるというのはいいものだなあ」ということ。もし、定年前に農業をやめるという決断をしていたら、今頃はおそらくすることがなくて暇を持て余していたに違いありません。散歩や外出、旅行などと言っても、毎日のように出かけられるほどの体力も気力も経済力もありません。かといって常時デスクの前に座っていれば、生活不活発病で具合を悪くするのが関の山だったでしょう。果樹の剪定や施肥、防除、選果、出荷とそれぞれにノウハウが必要でしたが、覚悟を決めて一つずつ覚えていくのも張り合いがありました。また自分で作った果物が多くの人に喜ばれるのは楽しく嬉しく、経費に大半は持っていかれるけれど、自分で得た収入は張り合いと喜びがあります。



たしかに、種をまいて育てるのではなく80円のキャベツ苗を買って植えても、育てたキャベツを収穫する頃にはスーパーで98円で売っているという現実がありますので、苗を買って育てては商売にはなりません。そもそも単価の安い野菜で商売をしようと思ったら、かなり大規模にやらないとペイしないでしょう。そういう職業としての農業ではなくて、退職後の楽しみに農作業に親しむ場合の話です。




少し早目に退職した非農家のいとこは、小さな区画の畑を借りて小さな耕運機を買って野菜作りを楽しんでいるそうな。もしかすると退職して農作業に親しんでいる人は意外に多いのかもしれません。お天気の良い日に畑に出て体を動かすのは、なんとも言えない爽快感があります。ラジオで音楽やおしゃべりを聞きながら休憩するひとときも良いものです。昔、「三ちゃん農業」という言葉があり、「爺ちゃん・婆ちゃん・母ちゃん」だけが農業に従事している現実を表したものでした。けれども今は母ちゃんは働きに出ていることが多く、農作業をやっているのは「爺ちゃん・婆ちゃん」の「二ちゃん」だけではなかろうか。実際にその年齢になってみて、「爺ちゃん」にとって農作業は楽しさ、面白さ、張り合いのあるものだと感じます。お天気が悪いと大変ですし、気象災害に泣くこともありますが、年金生活の基盤があるため、生きるか死ぬかと言った切羽詰まったものではないからでしょうけれど。

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