電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

NHKのTV番組でカタリン・カリコ&山中伸弥両博士の対談が興味深かった

2021年05月28日 06時00分36秒 | 健康
NHKのテレビ番組「クローズアップ現代+」で、mRNAワクチンの原理を開発した科学者カタリン・カリコ博士とiPS細胞の山中伸弥両博士の対談が放送されました。これが実に興味深く、また研究一筋の科学者らしい心にしみる良い内容でした。特に、不遇時代にどんなふうに乗り越えたかについて、正確な表現は忘れましたが、「自分が変えられないものは忘れて、自分で変えられる、できることに集中する」ようにした、と話していました。多くの場合、これはとても大事なことではなかろうか。しばしば他人をうらやんだり境遇のせいにしたりして、自分で変えられないものを嘆いて時間が過ぎていきがちですが、それをしていても仕方がない。自分でできることに集中することが大事だ、というのは実にそのとおりだと思います。

また、自分の研究に自信と確信を持ちながら、自分の研究の成果が先人の業績の積み重ねの上にあることを自覚し、科学の歴史に加えられたことを喜びとする態度には、久々に科学者らしい清々しさを感じましたし、実際に新型コロナウィルスに立ち向かう医師や看護師はもちろんですが、清掃作業員など現場で働く人々の勇気と努力を称賛し、自分はただ実験室にいただけだとする言葉に、これまでの人生遍歴を経た人柄、謙虚さを見たように思います。ふとドイツのメルケル首相のスピーチ(*1)を思い出し、東西対立の時代に東側から脱出した頃の経験が、最前線で、あるいは底辺で働く人たちへの温かな視点や共感という共通点をもたらすのかな、などと感じた次第です。

良かった〜! 久々にNHKらしい良い番組を見ました。

(*1): メルケル首相のスピーチについて〜「電網郊外散歩道」2020年5月

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