電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

日本海の地震とプレートテクトニクスと「フォッサマグナ」

2019年12月22日 06時04分55秒 | 手帳文具書斎
中学や高校の、たぶん地理の時間に、「フォッサマグナ」というのを習いました。日本列島のうち、本州を東西に分ける大地溝帯で、糸魚川〜静岡構造線を含み、南北に走るベルト地帯です。50年前の中高生時代は、プレートテクトニクスなどという学説も習わず、「そこにそういうものがあるのだ、覚えろ」と言われて、存在を不思議に思いながらも「そういうものか」と思っただけでした。

近年、テレビ等でもプレートテクトニクスの解説が頻繁に登場します。太平洋の海底には南北に連なる東太平洋海嶺というものがあり、これを境に東西に海底がゆっくりと移動しており、その片方が太平洋プレートとなって日本列島の東日本の下に沈み込んでいる。これが東日本大震災を引き起こす原因となった、という説明に、なるほどと思ったものでした。同様に、西日本にはフィリピン海プレートが北上し、南海トラフを中心として大きな地震の発生が予想されているとのことです。

一方で、日本海で発生する地震については、あまり明快な解説を耳にすることもなく、新潟地震や日本海中部地震、北海道南西沖地震、さらに今年の庄内地方の地震についても、原因は何なのだろうと不思議に思っていました。太平洋プレートの沈み込みによる影響と言うには、太平洋側を震源とする地震の震度分布から見ても距離が離れるほど影響はずっと小さくなっているではないか、何か、日本海側に独自の理由があるはずだ、というわけです。



最近、プレートテクトニクスに関する解説を調べながら、通販で購入した白地球儀(*1)に概略を書き込んでみて、はたと気が付きました。北海道・東北地方は北米プレートの西端の上にあり、日本海においてユーラシア・プレートに接触ないしは乗り上げている。そのために日本海側は隆起傾向にあるようだ(*2)。サハリンと大陸の間にある間宮海峡は、北米プレートとユーラシア・プレートの境界を示しており、シベリア最東部はユーラシア・プレートと北米プレートがぶつかり、おそらくはこのために、シベリア東部の河川は南北に流れているのだ、と。


(Wikipediaより)


そうすると、日本列島は北米プレートとフィリピン海プレートが南北にぶつかり、太平洋プレートとユーラシア・プレートが東西からぶつかっている「しわ寄せ列島」だということになります。そこで、はたと気が付きました。「フォッサマグナ」は、北米プレートとユーラシア・プレートの境界なのだ。なるほど、そうだったのか。それで「フォッサマグナ」などというものが存在するのか!



では、ユーラシア・プレートが西から日本列島を圧迫しているのはなぜなのか? 白地球儀を北極側から眺めて、理解しました。要するに、大西洋中央海嶺から東西に移動しているプレートの動きが、まわりまわってユーラシア・プレートを圧迫する力になっており、東太平洋海嶺から東西に移動するプレートの動きが太平洋プレートになっている、ということなのでしょう。このあたり、平面の地図では生まれにくい、全体的な認識かと思います。





日本海の地震から始まり、現代のプレートテクトニクスも北極海の下やアフリカから南極あたりの状況がよくわからない面があるらしいとか、「フォッサマグナ」の存在は日本海東縁変動帯(*3)に位置づけるとよく理解できるとか、思わず「わーお!」と叫びたいほどよくわかった出来事でした。

(*1):白地図があるなら白地球儀はあるか?あった!〜「電網郊外散歩道」2019年12月
(*2):松尾芭蕉が奥の細道で「松島は笑うがごとく象潟は憾むがごとく」と読んだ象潟海岸が今は隆起して陸地になっているように、東日本の太平洋岸は沈降傾向ですが、日本海側は隆起傾向だそうです。
(*3):日本海東縁変動帯〜Wikipediaの解説

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