電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

澤田勝雄『藤沢周平・とっておき十話』を読む

2011年07月21日 06時03分28秒 | -藤沢周平
地元紙「山形新聞」には、日曜日に書評が掲載されます。山形県に関連した出版物は、さすがに的確に取り上げられるため、愛読しています。少々前のことですが、澤田勝雄編『藤沢周平・とっておきの話』(大月書店)という本が紹介されました。それで、関心を持って探していたところ、たまたま図書館で見つけ、借りてきて読みました。なかなか興味深い内容でした。構成は次のとおりです。

序章 夫として、父として
 ハダカの亭主(妻・小菅和子)/父が望んだ普通の生活(長女・遠藤展子)
1章 とっておき十話
 「社会学の大学」だった/いきなり「編集長」の名刺/受賞の後先/少年の頃の「原風景」/文学の魔性との距離/恩師ふたりとの出会い/腹ペコ・青春・文学/"父帰る"教え子との再会/母親のこと・私の血筋/時代小説には人生の哀歓が・・・
2章 政治と文学
 史実と小説/高村光太郎と斎藤茂吉~二人の作品と戦争との関係/雪のある風景/祝辞
3章 私のみた藤沢周平(澤田勝雄)
 訪問そしてインタヴューへ/政治と政党の関わり/又八郎と二〇年/無名の人々への思い込め/遺作『漆の実のものる国』を読む/作品の女性像にみるやさしさ/魅力の原風景ー詩人の眼

興味深いのは、第3章「私のみた藤沢周平」でしょう。著者は、どうやら藤沢周平の親族の一人らしい。比較的つっこんだ内容のインタビューができているのは、そのせいかも、と感じます。晩年の藤沢周平が、石川啄木を取り上げる計画があったことなど、本書で初めて知りました。うわー、それなら読んでみたかった!なんとも惜しい話です。

コメント