電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドン「交響曲第95番」を聴く

2011年07月15日 06時04分11秒 | -オーケストラ
当地では、今月の11日に梅雨があけたそうで、暑い日が続きます。娘の話では、東京の夜の室内温度が30度を越しているそうですが、まだ盛夏前の当地では、このところの朝方の気温は21~22度というものです。これなどは、何よりの自然の恩恵なのかもしれません。節電を気にして悩みの元となるエアコンなどは必要がありませんし、北向きの窓を開けると、果樹園を吹き抜けてくる涼しい風が入ってきます。もちろん、太陽が照りつける日中は、30度を越す暑さに閉口してしまうのですが、朝晩が涼しいだけでも、だいぶ楽だと感じます。

こんな夜には、爽やかなハイドンの音楽を聴きたくなります。先にCDを購入して記事とした第93番第94番「驚愕」に続き、交響曲第95番です。添付のリーフレットには、次のように書かれています。

No.95 in C minor, the last of Haydn's relatively few symphonies in minor keys, is by no means a "tragic" or "fateful" work, but demonstrates what the composer had in mind when he spoke of this London symphonies as works that "reflect the mellowness of old age honorably won". Warmth of hearts is very much to the fore, particularly in the trio of the minuet, with its ingratiating dialogue between solo violin (written specifically for Salomon) and cello.

恥ずかしながら、例によって訳を試みてみると、こんなふうになるのでしょうか。

第95番ハ短調は、ハイドンには少ない短調の最後の交響曲ですが、どんな意味でも"悲劇的"あるいは"運命的"な作品ではなく、栄誉とともにかち得た晩年のまろやかさを反映した作品であることを示しています。心の暖かさが、とりわけメヌエットのトリオ部の、ザロモンのために書かれた独奏ヴァイオリンとチェロの間の愛想の良い対話に、よく現れています。

なるほど、なるほど。なんとなくわかったような、わからないような(^o^)/
でも、やっぱり自分で聴いてみるのが一番です(^o^)/

第1楽章:アレグロ・モデラート。まことに解説の通りで、出だしこそちょいと深刻そうですが、実はすぐに雰囲気が変わり、活力のある明快な音楽が展開されます。
第2楽章:アンダンテ・カンタービレ。主題と変奏曲の形式の、実に優美な、魅力的な音楽です。とりわけ弦楽パートの見事さには、感嘆してしまいます。
第3楽章:メヌエット。中間の、トリオ部のチェロ独奏が、チェロの音色の好きな当方にはたいへん印象的です。
第4楽章:フィナーレ:ヴィヴァーチェ。リズムが軽やかで、ファゴットの音が面白い。カノン風に熱気を増していき、終わりのところは、ああ、確かに大オーケストラなんだ、と感じさせる迫力があります。

楽器編成は、フルート(1)、オーボエ(2)、ファゴット(2)、ホルン(2)、トランペット(2)、ティンパニ、そして弦5部というものだそうです。突出する音が少ないという意味で「メロウな」響きは、この編成だけからはうかがうことは難しいです。もし考えられるとすれば、通常の二管編成よりもフルートが1本少ないことくらいでしょうか。

演奏は、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団。このコンビの特質によく似合う音楽だと感じます。1969年の1月、オハイオ州クリーヴランド、本拠地セヴェランス・ホールにて収録されたアナログ録音で、プロデューサーは Andrew Kazdin とのこと。公共の財産の仲間入りをするにはまだだいぶ間がある、最晩年の貴重な録音の一つといって良いでしょう。



■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管
I=6'53" II=5'33" III=4'32" IV=3'29" total=20'27"

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