電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

コレルリ「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集Op.5」選集を聴く

2011年07月06日 06時05分36秒 | -室内楽
このところ、通勤の音楽で聴いていたのが、コレルリの「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集Op.5」です。といっても全曲集ではなくて、後半の第7番~第12番までの6曲を集めた選集です。第7番から第9番までが4楽章、第10番と第11番が5楽章からなり、第12番「ラ・フォリア」は単一楽章の音楽です。

バロック音楽の中でも、ヴィヴァルディには、若い娘たちに似合う陽気な華やかさがありますが、コレルリの音楽には、もう少し別なものを感じます。激しさを内に持った若者が波乱の中で年齢を重ね、一見すると古典的でストイックな音楽を展開している、そんな情景です。

寺神戸亮のバロック・ヴァイオリンは、奏法のせいもあってか、伸びやかで澄んだ音が楽しめます。ルシア・スヴァルツのバロック・チェロも、現代楽器のような押し出しの強さはありませんが、低音部をしっかり支え、ヴァイオリンと対比されます。通奏低音は、第10番と第11番はオルガンで、他はチェンバロです。この威圧的でないオルガンの音も、実にいいのですね。

特に第12番「ラ・フォリア」は、イベリア半島に起源を持つ舞曲「フォリア」の主題をベースに、これを様々に変奏するもので、ニ短調という調性もあって、一種独特の緊張感を感じさせます。たぶん、ヴァイオリン学習者が一定の段階に達したとき、挑戦する曲として愛奏されているのではなかろうかと推測しています。たしかに、数百年にわたって引き継がれてきた、魅力を感じさせる音楽です。

CDは DENON のクレスト1000シリーズのうちの一枚で、COCO-70459 という型番のもの。バロック・ヴァイオリンが寺神戸亮、バロック・チェロがルシア・スヴァルツ、通奏低音にチェンバロまたはオルガンを採用し、シーベ・ヘンストラが演奏しています。1994年、オランダのデン・ハーグ、旧カトリック教会でのデジタル録音で、響きがたいへんに自然で魅力的です。

通勤の音楽として、カーステレオで聴いた後に、自宅のパソコンに取り込み、Ubuntu-Linux から USB オーディオプロセッサを経由し、ミニコンポで鳴らしております。早朝に、コーヒーを飲みながら、音量を絞って小型スピーカで聴くコレルリの音楽は、なかなか良いものです。
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