電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月」を観る

2011年05月17日 06時05分02秒 | 映画TVドラマ
5月15日(日)の夜10時から、教育テレビのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月」(*)を観ました。これは優れたドキュメンタリーだと感じました。ぜひ再放送してもらいたいものです。

番組では、放射線医学研究所の研究官だった木村真三博士が、辞表を提出し、今回の福島原発事故の独自調査を行うところから始まります。放射能汚染に関して最弱者の立場にある女性や子供の健康を考えれば当然の調査が、辞表を出してからでないと実施できないのかと驚きますが、とにかく京都大学、広島大学、長崎大学の放射線観測、放射線医学を専門とする科学者達のネットワークと連係し、震災の3日後から放射能の測定を始め汚染地図を作成する経過を、カメラが追います。

当方も、新聞の発表数値をもとに、天気図の等圧線を描く要領で、福島第一原発から北西方向に汚染地域が広がっていると推測していました(*2)が、それが実際に福島第一原発の周辺地域の土壌をサンプリング調査したり、自動車内でリアルタイムに線量を計測する装置を使って、道路地図上に汚染状況を描くことで、部分的に高い放射線量を示すホットスポットの存在が実証されます。しかも、そのホットスポットには、自主的な避難所があり、避難者が生活しているのです。情報から取り残された人々の事情は、家畜であったりペットであったりするわけですが、日常生活を投げ捨てなければならない人々のやるせなさが、痛いほど伝わります。

莫大な予算をつぎ込んだシミュレーション・システムとは違い、手作りの測定機器を使って、現場に実際に入って得られたデータは貴重です。価値あるものだと思います。現場を大切に、実際のデータを重視するという姿勢は、自然科学の本質に関わるものだと思います。あとは、茨城県や千葉県など、関東地方のデータがどうなっているのか、さらに続報を知りたいものです。

(*):ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月」
(*2):各地で観測された放射線量をどう見るか~「電網郊外散歩道」2011年3月22日
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