電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を聴く(2)

2008年04月12日 11時47分08秒 | -協奏曲
この春から、単身赴任で金帰月来の生活になっておりますが、週末に自宅に戻り、ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を、自宅のステレオ装置で聴いております。ノートパソコンに接続した小型スピーカの音とは、やはり格段に満足度が違います(^o^)/

今は、イタリア合奏団による全曲版(DENON COCO-70510~1)のDisc-2を中心に聴いていますが、明るく華やかで幸福な音楽であり演奏である、という基本的な印象は、再生装置のレベルを超えて、ほとんど変わりません。違うのは、チェンバロの通奏低音が明瞭に聞き取れること、響きのバランスが自然にふくらむことでしょうか。

この2枚目のCDには、次の6曲が収録されています。

(1) 協奏曲第7番 ヘ長調 RV567、(4つのヴァイオリンとチェロのための)
(2) 協奏曲第8番 イ短調 RV522、(2つのヴァイオリンとチェロのための)
(3) 協奏曲第9番 ニ長調 RV230、(独奏ヴァイオリンのための)
(4) 協奏曲第10番 ロ短調 RV580、(4つのヴァイオリンとチェロのための)
(5) 協奏曲第11番 ニ短調 RV565、(2つのヴァイオリンとチェロのための)
(6) 協奏曲第12番 ホ長調 RV265、(独奏ヴァイオリンのための)

前回も書きましたが、ヴィヴァルディの音楽は、単身赴任の部屋をぱっと明るくしてくれるような気がするほど、美しい幸福な音楽だと思います。女子救貧院に付設の合奏団の指導にあたっていたヴィヴァルディは、彼の音楽の力で不幸な少女たちが美しさや幸福感を味わえるように、努めていたのかもしれません。通奏低音のない、集中力に満ちた静かな緩徐楽章を聴くにつけても、質素な食事、質素な衣服に甘んじる日常生活を送る少女たちが、演奏用の晴れ着を着て、一途にひたむきに演奏に没頭する姿を想像してしまいます。

添付の解説書によれば、イタリア合奏団の編成は、ヴァイオリンが6、ヴィオラが2、チェロとコントラバスが各1、それにチェンバロが1、というものだそうです。高音域がふわっと明るく華やかな特徴は、このあたりからくるのかも。アカデミー室内管弦楽団の演奏で感じる、中低音のバランスの違いは、指揮者のネヴィル・マリナーが指示したものかもしれませんし、あるいはそもそも編成が違うからかもしれません。

イタリア合奏団のCDは、1988年の6月から7月にかけて、イタリアのピアッツォーラ・スル・ブレンタのコンタリーニ宮でデジタル録音されたもの。自宅のステレオ装置で聴くと、豊かな響きが素晴らしいことがよくわかります。今は、クレスト1000シリーズに入り、こうした全曲盤もたいへん入手しやすくなりましたので、ありがたいことです。
マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団のほうは、録音データの記載がありませんが、おそらく60年代末から70年代初頭のものかと思われます。もちろん、アナログ録音です。

参考までに、第8番と第10番について、演奏データを示します。

【第8番】
■イタリア合奏団
I=3'29" II=4'23" III=3'18" total=11'10"
■マリナー指揮アカデミー室内管
I=3'37" II=3'11" III=3'29" total=10'17"

【第10番】
■イタリア合奏団
I=3'30" II=2'24" III=3'09" total=9'03"
■マリナー指揮アカデミー室内管
I=3'47" II=1'57" III=3'29" total=9'13"

ヴィヴァルディについては、過去にも何度か記事を書いていますので、備忘のためにリンクを張っておきます。
(*1):ヴィヴァルディは女子校音楽部の顧問の先生?
(*2):1ダースなら安くなるってもんじゃない~協奏曲集12曲の謎
(*3):ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」Op.3を聴く(1)
コメント (4)