評価 (4点/5点満点)
経理が守備だけでなく「攻める部署」としても活躍できることを理解し、社長も経理から数字を学び、経理も社長から経営を学ぶ。
本書では、そんな関係性を目指します。
また、「攻める経理」では、AIを使いこなして、数字のプロとしての価値が何倍にも跳ね上がる経理像を示しています。
経理は「数字のプロ」としての役割にこだわりがあるがゆえに、「自分の仕事は数字をミスなく作ること」がゴールだと思い込み、そこでストップしてしまっている会社は多いと思います。
本来、会計数値は「出来上がったら終わり」ではなく、出来上がった数字を経営に活かすことが本来の目的です。ただ数字を作るだけでは、経理部の目的・存在意義の半分しか達成できていないことになるでしょう。
【my pick-up】
◎経理は「現状維持」が好き
経理担当者は一般的に「均質採択」という行動特性で非常に高いスコアを示します。「均質採択」とは、同じことを実直に繰り返す能力が高いということです。ただ、「均質採択」には「今のやり方を変える」ということに強い抵抗をもつという弱点もあります。
◎数字は何のために作るのか
AIなどの自動化で「数字を作る」だけだったら、これまでの10分の1の時間で、仕事が終わってしまいます。また「過去の数字」を経営者に見せるだけでは、その場しのぎの対応しかできず、会社の「未来」を創り出していくことは難しいでしょう。本来の経理の仕事は、出来上がった数字を元に経営分析をしたり、社長に「こんなことができますよ」と提案を行ったりしていくことです。経理が「数字を作るのが自分の仕事」という時代は終わろうとしています。これまで、会社の中でどこか特別扱いされてきた経理も、そうした時代の変化にさらされているということです。