ホウレンソウはいらない!―ガラパゴス上司にならないための10の法則 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2011-11-10 |
評価 (3点/5点満点)
レバレッジシリーズなどのベストセラー本を持つ本田直之さんの最新刊は、ここ数年の新しいプレイングマネージャーの仕事の仕方について述べています。ちなみに、タイトルの「ホウレンソウはいらない」は、完全にホウレンソウをなくすのではなく、システム化して時間をかけないようにしようという意味です。
部下に対するマネジメントがうまくいかないことで悩んでいるのは、新しくマネージャーになった人だけではなく、今までうまくマネジメントしていた人でも増えています。
それは、世代間のコミュニケーションギャップがさらに激しいものとなり、右肩上がりの時代を生きていた世代と、不景気な社会の中で教育を受け生きていた世代では、根本的な考え方が違うためです。また、IT環境が拍車をかけ、パソコンが使えなければ学校で授業を受けられない、モバイルがないと友だちづきあいもできないといったカルチャーの中で育ってきた世代とのギャップは、これまでのジェネレーションギャップの中でもかなり激しいものと言えるでしょう。
よって、プレイングマネージャーに求められているものが大きく変わり、今までやっていたマネジメント、マネージャーの仕事術が時代遅れになってきています。本書の意義は、そこの気づきと具体的な対処策にあります。
この本の最後には、逆説的にガラパゴス上司に「なる」ための10の法則も紹介されています。時代が求めるマネージャーになるための最低限の心得です。
【my pick-up】
◎メンバーのレベルは選べない→どっちつかずの6割を目覚めさせる
やり方を教えたりモチベーションを高めるようなサポートをして解決できればいいのですが、「やる気がない」「会社や人のせいにする」など、能力以外の問題で足を引っ張る人たちを変えることはできなかったのです。ですから、そこを変えようとするのはやめて、モチベーションが高く、自分で動ける2割の社員たちと、できるだけコミュニケーションをとることにしました。
私が気がついたのが、「できる2割の社員を思いきり育てれば、この2割がどちらにでもなる6割の社員に影響し、全体がレベルアップできる」ということでした。全体がレベルアップすると、できない2割の社員は、「自分は後れをとっている」と気づいて動き始めるか、そのまま辞めてしまうかのどちらかです。逆に、できない2割に力を入れてしまうと、どちらにも属さない6割も「私もケアしてほしい」と、仕事ができないほうに流れてしまいがちなのです。できる2割で会社全体を引っ張っていくのはなかなか難しいため、その2割がどちらにも属さない6割の社員をうまく引っ張ってくれるような形にしたほうが効率がいいのです。
全体の中でのレベルから見ると低いのに、「自分はできている」と思っている人が案外にいるのです。そういう人たちは「自分は問題ない」と思っているため、そうではないということに「気づかせてあげる」ことが上司の重要な仕事なのです。