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2020年171冊目『ほめるのをやめよう』は、アドラー心理学も踏まえた民主的なリーダーシップを提唱する

2020-08-23 15:15:04 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

ベストセラー『嫌われる勇気』の岸見一郎さんによる、リーダーシップをテーマにした著書です。

この本で提示するのは、一言でいえば、民主的なリーダーシップです。リーダーと部下は「対等」であり、リーダーは「力」で部下を率いるのではなく「言葉」によって協力関係を築くことを目指します。

リーダーとして必要なことは次の3点です。

・リーダーは教育者でなければならない。

・上司は部下を一人の人間として尊敬し信頼しなければならない。

・リーダーは部下の仕事に責任を持たなければならない。

リーダーシップは、対人関係全般について学ぶ必要があります。職場では部下から尊敬されているリーダーが、家庭では家族から疎まれているというようなことは本来ありえません。

対人関係について他のどの心理学よりも具体的に明らかにするアドラー心理学を学んできた著者が、リーダーシップについても述べることはある意味当然と言えるでしょう。

新しいことに挑戦する姿勢を若い人に見せることは大切なことだと思います。多くの職場の変革は若い人から起こりますが、リーダーが率先してこれまでとは違うことを始めると、職場はたちまち変わります。

リーダーの勇気は部下に伝染し、職場を変えるきっかけになります。部下はリーダーという「人」ではなく、リーダーが語ることや行いから学ばなければならないのです。

そうすれば社員の主体性が発揮され、リーダーが全面に出てこない組織を作ることができるでしょう。

タイトル『ほめるのをやめよう』は少し誤解を招きますね。中身を読んでみると「叱るのをやめよう」もあり、では何をすべきかは本書をご覧ください。

【my pick-up】

◎叱るのをやめよう

部下にぞんざいな言葉遣いをしないことです。「~してくれると助かる」とか「~してくれませんか」というふうにです。叱るというのは部下を対等に見ていないということです。同じ失敗をしないために、なぜ失敗したかを叱らないで言葉で説明すればいいだけのことです。部下を叱ると劣等感は強められ、自分は無能である、自分には価値がないと思うようになります。たとえ今は失敗をすることがあっても、部下に可能性を見て取り、部下の力を伸ばすために的確な指導をすれば、部下は上司から対等に見られていると思えます。

◎嫌われてはいけない

嫌われる勇気は上司の顔色を見ていうべきことをいえない部下にこそ必要であって、上司がこの勇気を振りかざしてはいけないのです。

◎ほめることの弊害

自分に価値があると思えなくさせるのがほめるということだと私は理解しています。ほめるというのは対等ではなく、能力のある人が能力のない人に、上から下に下す評価の言葉であると、アドラー心理学では考えているのです。「あなたは無能だけれど、よくできたじゃないか、すごいね」という意味になって、対人関係の構えが縦、上下関係になるからです。自分に価値があると思えなかったら、対人関係に入っていく、あるいは仕事に取り組む勇気が持てません。だからほめることは逆効果なので、ほめるのをやめましょう。ほめられていると、それを基準に行動を選ぶようになります。その意味では、叱ることとほとんど同じような弊害があると考えていいと思います。

「ありがとう」という言葉をかけるのにはわけがあります。自分が役立たずではなくて、誰かの役に立てていると感じられる時に、自分に価値があると思える。ですから、ありがとうはほめ言葉とは違う言葉だと理解しています。貢献感を持てることで自分に価値があると思えたら、対人関係の中に入っていったり、仕事に取り組んだりする勇気を持てます。だから、あらゆる場面を見つけて、ありがとうといってみると、職場の雰囲気は必ず変わります。

◎叱ることとほめること、そしてしつけについて

そもそも怒ることと叱ることを区別することはできません。叱っている時には必ず怒りの感情を伴っていると考えて間違いないでしょう。大切なのは、怒りに代わるやり方を学ぶことです。私はしつけにすら怒ること、叱ることは必要でないと考えています。とにかく言葉を使えばよく、感情的になる必要は一切ないのです。怒りの感情を作り出し、部下を叱りつけても、部下は反発するだけです。怒ること自体がなければ、パワハラか、パワハラでないかを気にする必要もない。それぐらい思い切らないといけません。具体的には、命令形を使わないことです。「お願いがあります。コピーを取ってきてくれませんか」です。

感情を混じえずに、本当に行為そのものを評価するという意味で「今のはよかった」というのは一つの方法としてあると思います。あなたがほめてほしい、承認してほしいと思うのは、リーダーが上で、あなたをそのずっと下に置いているからです。あなたは私の子分である、家来であることを私に認めてほしい。だからほめてほしいというのです。でも、私はあなたを家来にはしなくない、子分にしたくない、だからほめませんと伝えるといいでしょう。

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