とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「アマゾンからのメッセージ」南研子さん

2011-09-10 18:18:10 | 社会人大学
先日の社会人大学の講師は、NHKのあの「ひょっこりひょうたん島」の美術制作にかかわったという南研子さんだった。1989年に「アマゾンを守ろう」という団体を設立し、92年以降24回にわたりアマゾンのジャングルで先住民インディオと共に数か月現場に滞在し支援活動をしている人である。現在までの滞在日数は2000日を超えるという。

女性で、アマゾンの森林深く立ち入って支援活動をしているなんて体格からして凄いひとなのかなあと想像していたが、見た目はほっそりとスマートで若々しい感じがした。年齢は60歳を超えているそうだが、まだまだバリバリと仕事をこなすキャリアウーマン風の女性に見えた。

講演の内容は、アマゾンの森林保護活動をやることになった経緯やら、アマゾンでの生活の様子などだった。現在、ブラジル政府が国立公園として保護しているアマゾンの流域面積は日本の本州くらいの面積だそうだ。いかに膨大な面積であるかがわかる。衛星写真でその周辺の様子を見てみると、国立公園の地域はしっかり森林で覆われているが、その境界を外れると、驚くほど森林が無くなっていることがわかる。いかに森林伐採がおこなわれ広大なアマゾンの環境が損なわれているのかが一目瞭然だった。アマゾンの森林は地球上の二酸化炭素を吸収し酸素を放出する最大の領域である。ここが無くなってしまうことは、人類の存続すら危ぶませる事態となってしまうのである。

アマゾンでの先住民との生活は、日本で暮らしている我々にとっては想像もつかない生活だ。電気、水道、トイレ、風呂などまったくない。すべて自給自足で、トイレや風呂は命懸けだという。トイレや風呂などというものはないが、その行為はどこでもできるわけだ。ただ、どこでもいいとはいえ、常に猛獣や蛇、蚊、昆虫などの脅威にさらされている。ここでは、人間と動物とは対等の立場である。だから、自然に感謝しないと生きていけないのだ。蛇とにらみ合いしながら、トイレを済ませたとか、ワニの目が光る中での水浴びとか聞いただけでも恐ろしくなる話を平然と話されていた。自然と一体となり、自然の中で生きることが当たり前にできるようになった人だからこそ笑いながら話せることなのだろう。

また、足の指の間に小さな虫が入り込んで化膿してしまった話などもあった。アマゾンでは、人間の体内に虫が入り込んで体内で成長することがけっこうあるようだ。先住民は、そのことをよく承知しており、化膿した部分を切り裂き成長した虫を掻きだしたりするらしい。南さんも、その被害にあったことがあり実際鋭利な刃物で虫を掻きだしてもらったことがあるそうだ。麻酔も何にもなく一気に化膿部分を切り裂かれる痛さは、耐えがたい痛さであろう。これを聞いただけでも、アマゾンに行くのが憚れるくらいだ。

そんな、恐ろしい経験を何度もしてもアマゾンに通い続けている理由は何だろうと思う。アマゾンでは、科学では説明つかないような現象に何度も出会っているそうだ。神とか精霊のような存在と出会ったこともあるという。猛獣に出会った時でも、人に話しかけるように話しかけると相手も理解してくれたのか襲いかかることもなく立ち去っていくともいう。UFOも見たことがあるともいう。そして、美しい朝日や夕焼けの風景など、筆舌に尽くせないほどの景色にも出会えるという。また、禿げた頭に塗りつければ三ヶ月くらいでふさふさとした髪が生えてくる薬草も知っているそうだ。インディオには、禿げた人とか白髪の人がいないというのは、この薬草を使っていることらしい。まだまだアマゾンは人智では計り知れない神秘的な領域なのである。

最後の話で、アマゾン「行ったきりツアー」のお誘いがあった。アマゾンでは、病気や自殺、ストレスなど存在しない。インディオの社会では年長者ほど重要視される。これから定年を迎える人や既に定年を迎えた人などアマゾンに行ったきり骨をうずめたらどうかというお誘いだ。文明から離れた世界で人生の後半を過ごすことも幸福への近道かもしれない。生命の危険にさらされているとはいえ、案外五感が研ぎ澄まされ、病気知らずで長生きできるかもしれない。それにしても、行ったきりにするかは難しい決断だ。