とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「聞く、語る、沈黙する」山折哲雄氏

2010-10-01 22:58:53 | 社会人大学
第8回目の社会人大学の講師は、宗教学者である山折哲雄氏だった。山折氏は宗教学者であると共に評論家でもあり、国際日本文化研究センター名誉教授(元所長)、国立歴史民俗博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授、 平城遷都1300年記念事業評議員。大佛次郎賞、和辻哲郎文化賞、山本七平賞選考委員などを務めている方だ。

講演の内容は、人間の生と死にまつわる宗教的な話だった。

出産においては、帝王切開をするケースが最近増えているという。山折氏は、本来子供を出産するという事は母体の死を伴うものであって、帝王切開によって痛みや死の恐怖を取り除いてしまうことは、生命の冒涜ではないかという話をしていた。簡単に生命を誕生させてしまうことは、子供を生むことの幸せ(痛み)をなくしてしまう。すなわち、人間性を失わせるものではないかという話だった。医学が進みすぎてしまい、自然に出産する事が少なくなっている事への危惧かもしれない。

死ということに関しても日本人の捉えかたが変わってきているという。昔の日本人は、死を身近に感じながら生きていた。ところが、今の私たちは、死は遠いものになってきている。だから突然、死という事態に直面すると、慌てふためき、どうしていいか分からなくなってしまうのである。人生80年といわれる中、「死」はますます身近にあらねばならないのに、何故か私たちは「死」から離れていっているように思える。もう一度「死」をとりもどすことで、人生が充実してくるのではないかと話されていた。

人間の生と死について考えると、なかなか難しいものだ。普段からあまりそんなことを考えたことがなかったので、私にとってはハードルが高い話だったかもしれない。