神融心酔 

中国茶・台湾茶を中心とした素敵な出会いの数々を綴っていきます

熊本釜炒り茶をたずねて その4

2010-11-04 | 茶旅
さて、翌日は熊本釜炒り茶の重鎮とも言うべきFさん宅へ。
熊本南部で、伝統製法の釜炒り茶を作り続けていらっしゃいます。

最寄の高速インターまで迎えに来てくださったFさんの車は山の谷間を走り抜けていきます。
ところどころに点在する村落。
里山の暮らしがそこにはあります。
しばらくして、山の中腹にあるFさん宅に到着しました。

Fさんのお宅の裏手には、茶畑が広がっています。
やぶきた種のほかにもいろいろな品種が植えられており、もちろん在来種の畑も。
製茶場には古い金子式の丸釜が。




Fさんの住む地域では釜炒り茶が盛んな時期もありましたが、
今ではほとんど蒸し製に切り替わり、
Fさんのように昔ながらの釜炒り茶にこだわる茶農家さんはほとんどいらっしゃらないそうです。

理由は釜炒り茶は手間がかかり生産性が低いこと、
機械化されたとは言え、生産量は蒸しに比べるとかなり少なくなってしまいます。
また、煎茶や蒸し製玉緑茶を作ったほうが売れる、そういう時代が長く続いてきたのも一因です。

今年のお茶を入れながら、釜炒り茶の良さを熱く語ってくださるFさん。
その味は中国緑茶とも違う、どこか懐かしさを感じさせる味でした。

昔のこのあたりの農家さんでは、
庭にある茶の木から葉を摘んできて、
台所の釜で炒って仕上げ、日常的に飲む風景があったのでしょう。

前述した茶農家のHさん、Kさんのお宅でも、
お祖父さんの代まではそれがあったと言います。
昔ながらの釜炒り茶の作り方と味が今の時代にうまく継承されていないのが少し残念です。

この昔ながらの釜炒り茶の味が、東京などの都会で広く受け入れられるか?
となると、現状では少し難しいかもしれません。
でも、今回お会いした茶農家の方々は、
どうしたら消費者のニーズに応えられるか、
どうしたら煎茶とは違う付加価値を付けて、いいものを作り出せるか、
そのあたりを熱心に模索していらっしゃいました。

今後の熊本釜炒り茶、私も楽しみにしていきたいと思います。

最後になりましたが、今回お世話になりました皆様に、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

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