中国茶の茶席を作るようになってから、物の素材や成り立ちに目が向くようになりました。
例えばひとつの茶碗をとってみても、
以前は姿形の美しさや手に持った感じだけをみていたのが
どこの土で作られ、どう成形され、どう焼かれたのかまでに思いを馳せるようになりました。
そして、どんな人が作ったのか、まで。
中国茶を愛好する人が行き着くところはまず古玩(骨董)でしょうか。
先人の知恵と物語をまとった古玩は人を惹きつけてやみません。
しかしながら、古玩は数も限りあり、真贋のほどの判定も難しい。
そこで数年前から注目されだしたのが日本の作家ものです。
台北、北京、上海などでは陶磁器のみならず、木工、ガラスなどの展覧会も増えてきました。
先日工房を訪問させていただいた
羽生野亜さんもそんな注目株の作家さんのお一人です。
私が羽生さんの作品を知ったのは一昨年のエコ茶会でヒロエさんと組んだとき。
ヒロエさんが急須と茶杯を置く台としてこれを使いたい、と言って見せてくれたのが羽生さんの作ったプレートと茶台でした。
その後、柏の
萬器に行った時にお店の棚やテーブルなどインテリアが全て羽生さんが作ったものだと知り、
木とスチールを使い、スタイリッシュだけれどどこかぬくもりのある素材とデザインのマッチングにとても興味を持ちました。
羽生さんの作品は自然の木の風合いを生かした仕上げで、
上に陶磁器、ガラス、金属、どんな素材のものを載せてもしっくりときます。
デザインから出発している方なので、立体的な発想も豊かで、
木とスチールを合わせた花台なども素敵です。
工房には羽生さんのファンであるヒロエさんと一緒に訪問。
中国茶の話を中心に、昨年の北京での展覧会のお話なども伺い、
作業場も見せていただいて、楽しく刺激的な時間を過ごさせていただきました。
今年も各地で展覧会が予定されているとのこと。
まずは5月の東京・桃居での個展が楽しみです。