中国茶をちょっとかじるようになると、まず知識として学ぶのが「六大茶類」と言う言葉ではないだろうか。
私がこの言葉を初めて知ったのは
日本華泰茶荘さんの初級講習会を受講した時だったと思う。
色で分ける、というのが結構新鮮に感じたし、
それまで烏龍茶と自分が呼んでいたお茶が「青茶」と言うのも何だか不思議だった。
(烏という字は「黒い」という意味も含んでいるので)
使い始めるとなかなかこれが便利。
なにしろ中国茶の種類は多すぎる上、紛らわしい名前もたくさんあって、
同じ種類の茶樹で同じ製法で作るお茶でも村が変わると名前まで変わってしまったりする。
頭の中で整理するには6つくらいで分けるのは適当かもしれない。
台湾では以前は「全発酵茶」「不発酵茶」「部分発酵茶」という分け方をしていたようであるが、
大陸との交流が盛んになり、いろいろな種類のお茶が入ってくるようになったこともあってか、
5月に台北の書店でお茶関係の売り場を見たときは六大茶類に関する本がたくさん売られていた。
日本でもこの分類はかなり定着したのではないだろうか。
私自身もブログのカテゴリーをこの分類で分けている。
しかしながら、最近疑問に思うことがある。
この六大茶類の範疇にぴったり収まらない中国茶もままあるのだ。
例えば、この「易武山春尖散茶2006年」。
プーアール茶.comさんからサンプルとして送っていただいたものだが、
今年の春に摘んだばかりの新芽を使った生茶の散茶だ。
これが、なかなかイケる。
グラスに茶葉を少なめにいれて、お湯を注ぐだけ。
少し渋味もあるけれど、ほのかにフルーティな風味があって、
マイブームの雲南緑茶に通じる美味しさがあるのだ。
いや、待てよ。
このお茶は黒茶なの?緑茶なの?
製法としては晒青緑茶(殺青、揉捻のあと、天日により乾燥する製法)だろうから、緑茶になるのだろうか?
これを倉庫で熟成させ、微生物発酵が行われれば黒茶になる?
「渥堆」という工程を経て微生物発酵させたものが「黒茶」の製法としての条件であるなら、
プーアル茶の生茶、青餅などは厳密には「黒茶」とは言えないのであろうか?
年月を経て、後発酵したものは「黒茶」と見なされるのであろうか?
最近は雲南で作られている若い生茶をあまり寝かせずに飲むのも人気があると聞く。
中国の識者の中でもそれらを「緑茶」で分類している人もいるらしい。
美味しく飲めれば分類なんでどうでもいい、と思うけれど
茶藝師やインストラクターの授業を受けているとやっぱり疑問は沸いてくる。
六大茶類の理論が生まれたのは1970年代後期。
まだ30年弱の歴史しかないわけだ。
それに対してお茶には何千年もの歴史があって、その形態も多くの変遷があり、これからも変わっていくだろう。
30年もしたら、また違った分類も生まれているかもしれない、なんて思う。
とりあえず、黒茶について知りたいならこの本がオススメ。
中国黒茶のすべて―微生物発酵茶